【弁護士による法的サポートと民事・刑事一体型の損害賠償請求のメリット】警察が「民事不介入」を理由に対応を渋る場合でも、弁護士が代理人として法的根拠に基づく告訴状を作成・提出することで、捜査機関に対する強いアプローチが可能になります。さらに、刑事告訴と並行して、発信者情報開示請求による加害者の特定、投稿の削除請求、損害賠償請求などを一気通貫で進めることで、被害回復と再発防止の可能性を最大化することができます。
インターネット上の悪質な書き込みや誹謗中傷被害に遭ったとき、「犯人を処罰してほしい」と考え、警察に刑事告訴を検討される方は少なくありません。しかし、警察の窓口に相談に行っても、「証拠が足りない」「民事不介入なので対応できない」といった理由で告訴状の受理を断られてしまうケースが後を絶ちません。
警察官に動いてもらい、告訴状をスムーズに受理させるためには、警察が捜査を行いやすい形に被害事実を整理し、「被害事実の特定」を完璧に行う必要があります。ここでは、事件化のハードルを大きく下げるための具体的な証拠のまとめ方と、告訴状受理に向けた実務上のポイントを詳しく解説します。
なぜ警察は「被害事実の特定」を厳しく求めるのか
警察は、犯罪の嫌疑があると認めるときに捜査を行います。しかし、インターネット上の誹謗中傷は情報の流動性が高く、投稿が削除されたり、アカウントが非公開化されたりすることが日常茶飯事です。
もし被害者側からの申告があいまいであると、警察は以下のような懸念を抱きます。
- 本当にそのURLに該当する書き込みが存在したのか確認できない
- どの発言が名誉毀損や侮辱にあたるのか特定できず、捜査のしようがない
- 後から「そんな投稿はしていない」「言いがかりだ」と被疑者に争われた際に立証できない
警察の捜査リソースには限りがあるため、「捜査をすれば確実に証拠が集まり、立件できる」という見通しが立たなければ、積極的に告訴状を受理してくれません。そのため、告訴状を提出する側が、誰が見ても一目で犯罪事実が理解できる資料(証拠目録や被害整理シート)を準備しておくことが極めて重要なのです。
警察が事件化しやすい「完璧な証拠目録」の4大要素
告訴状に添付する、あるいは告訴の前提となる相談時に持参する資料として、以下の4つの要素を満たした証拠目録を作成することが理想的です。
1. 投稿された正確な「日時」
誹謗中傷がいつ行われたのかは、公訴時効(名誉毀損罪であれば3年)の確認や、発信者情報開示請求のタイムリミットを判断する上で最も重要な要素です。
- 投稿が表示されていた正確な日時(年月日、時分秒)を記録します。
- SNSのリツイートや拡散によって被害が拡大している場合は、最初の投稿日時と、被害が大きくなった日時を分けて整理します。
- 画面上の表示(例:「3日前」「5時間前」など)ではなく、可能な限り具体的な日時を確認して記載します。
2. 正確な「URL(パーマリンク)」
どのインターネット上の空間で被害が発生したのかを特定するため、対象の投稿が存在するページのURLを正確に記載します。
- 掲示板のスレッドURLだけでなく、個別のレス番が指定されたパーマリンクを特定してください。
- X(旧Twitter)などのSNSであれば、該当するツイート(ポスト)の個別URLを記載します。
- 短縮URLではなく、ブラウザのアドレスバーに表示される正式なURLをそのまま記載、またはテキストデータとして用意します。
3. 該当する「投稿内容(全文)」
誹謗中傷にあたる文言を、一言一句違わずに正確に書き起こします。
- 部分的な抜粋ではなく、前後の文脈が分かるように書き込みの全文を記載します。
- 画像や動画が添えられている場合は、その画像に何が写っているのか、どのようなイラストや写真を用いた侮辱であるかも文字で説明を加えます。
- スラングや隠語が使われている場合は、それが何を意味し、被害者に対してどのような社会的評価の低下をもたらすのかを補足します。
4. 権利侵害(犯罪該当性)の解説
「なぜこの投稿が犯罪にあたるのか」という理由を、法律の構成要件に照らし合わせて簡潔に説明します。
- 公然性:不特定多数の人が閲覧できる状況にあったこと。
- 事実の適示:具体的な事実を挙げて社会的評価を低下させたこと(名誉毀損罪の場合)。
- 社会的評価の低下:自身の社会的信用、名誉、あるいは業務が害されたこと。
警察官は法律の専門家である刑事課の捜査員であっても、すべてのネットスラングや個別企業の業務内容に精通しているわけではありません。そのため、「この書き込みによって、被害者の社会的評価がどのように傷つけられたのか」を論理的に解説した書面を添えることで、警察官の理解が格段に早くなります。
証拠を保全するための実務的なテクニック
告訴状の準備を進めている間に、加害者が投稿を削除したり、アカウントを凍結・削除したりするケースは非常に多いです。証拠が消滅してしまうと、告訴の受理が極めて困難になります。以下の手順で確実に証拠を保全してください。
スクリーンショットの正しい撮影方法
単にスマホの画面を撮影するだけでは、証拠としての信頼性が不十分と判断されることがあります。以下の点に注意してスクリーンショットを保存しましょう。
- ブラウザのアドレスバー(URL)が画面内にしっかりと映り込んでいる状態で撮影します。
- 対象の投稿だけでなく、その前後の文脈や、投稿者のアカウント名(ID)が確認できるように全体を収めます。
- PCやスマートフォンの印刷機能を用いて、PDFファイルとして保存しておくことも有効です。
タイムスタンプの活用
デジタルデータの改ざん可能性を排除するため、証拠データのハッシュ値を取得したり、信頼性の高いタイムスタンプサービスや証明サービスを利用したりすることもあります。特に法人名誉毀損や悪質な風評被害の事案では、専門の調査会社や弁護士を通じてデジタルフォレンジック的な手法を用いた証拠保全を行うことも検討されます。
弁護士を通じて告訴状を提出するメリット
警察に被害を訴える際、被害者本人が単独で交番や警察署の窓口に行っても、前述の通り「民事不介入」を理由に対応を後回しにされるケースが少なくありません。
弁護士が代理人として作成・提出する告訴状には、以下の強みがあります。
- 法的に完璧な構成:刑法各条文の構成要件に合致した告訴状を作成するため、警察側がそのまま捜査に移りやすい。
- 証拠目録のクオリティ:実務で多数のネット中傷事件を扱ってきた弁護士が、警察の捜査に必要な情報を過不足なく整理して提出する。
- 警察との円滑な折衝:弁護士の名前で事前協議や提出を行うことで、警察側の受け入れ体制や本気度が大きく変わる。
夕陽ヶ丘法律事務所では、ネット上の誹謗中傷や風評被害に関する刑事告訴のサポートを数多く手がけております。「警察に行ったが取り合ってもらえなかった」「確実に犯人を処罰するための告訴状を作成したい」という方は、ぜひ一度当事務所の弁護士にご相談ください。適切な証拠の特定と、確実な告訴受理に向けた全面的なサポートを提供いたします。