ネット上のデマで「企業の社会的評価」が著しく失墜した信頼回復と信用毀損罪告訴

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、ネット上の誹謗中傷削除・発信者情報開示命令(IPアドレス特定)・仮処分裁判実務に基づき、プロバイダ責任制限法および最新の判例に沿ってわかりやすく解説しています。

Q ネット上の悪質なデマで会社の売上や社会的信用が落ちました。名誉毀損や信用毀損罪として警察を動かし、犯人を特定して損害賠償請求するにはどうすればいいですか?
A 【法的判断基準と刑事告訴のポイント】虚偽の風説を流布して企業の経済的信用を低下させた場合、刑法第233条の信用毀損罪としての刑事告訴が可能です。警察に告訴状を受理してもらうためには、売上の急減や取引停止といった客観的な実害や営業損害の証拠を緻密に揃えることが不可欠です。
【弁護士による法的措置と解決へのメリット】弁護士を通じて法的に構成された告訴状を提出することで警察の動きを促すことができます。さらに、プロバイダ責任制限法に基づく発信者情報開示請求で投稿者を特定し、民事上の損害賠償請求や悪質レビュー・デマ記事の削除仮処分を並行して行うことで、企業の尊厳と営業基盤を迅速に守り抜くことが可能です。

インターネットやSNSの普及により、企業に関する情報は一瞬にして拡散されるようになりました。しかし、中には競合他社や悪意あるユーザーによる事実無根のデマや、製品・サービスの安全性に関する悪質な虚偽情報が含まれているケースも少なくありません。

このようなデマによって企業の社会的評価が著しく失墜し、売上の急減や取引停止などの実害が生じた場合、民事上の損害賠償請求だけでなく、警察に対する刑事告訴を検討する必要があります。

本記事では、企業の尊厳と営業を守るための信用毀損罪による告訴の手続きや、警察を動かすための実務的なポイントについて詳しく解説します。


1. 企業に向けられたデマが「信用毀損罪」に該当する理由

インターネット上に書き込まれたデマや誹謗中傷が、個人の名誉を傷つける場合は「名誉毀損罪(刑法第230条)」が問題となりますが、企業や事業者の経済的な信用を傷つける場合は「信用毀損罪(刑法第233条)」が適用されます。

信用毀損罪の成立要件

信用毀損罪が成立するためには、以下の3つの要素を満たす必要があります。

  • 虚偽の風説を流布すること: 客観的事実に反する情報を不特定多数に広めること。インターネットやSNSへの投稿はこれに該当します。
  • 人の信用を毀損すること: ここでいう「信用」とは、経済的な側面における社会的評価、すなわち「その者に支払い能力があるか」「提供する商品やサービスが安全で信頼できるか」といった経済的評価を指します。
  • 公然性: 不特定または多数の人が知ることができる状態に置くこと。

企業の場合、「商品の品質に重大な欠陥がある」「反社会的勢力と関わりがある」「経営破綻寸前である」といった根拠のないデマを流されると、取引先が離れ、株価が下落するなど、莫大な経済的損害が発生します。これらはまさに企業の信用を根本から揺るがす行為であり、厳正な処罰が求められる犯罪です。


2. 名誉毀損罪との違いと企業特有の被害

企業の誹謗中傷対策を行う際、「名誉毀損罪」と「信用毀損罪」の区別を理解しておくことは非常に重要です。

名誉毀損罪は、事実であってもなくても、人の社会的評価を低下させる情報を流布した場合に成立します(公共の利害に関する事実で公益目的があり、真実である場合などを除く)。一方、信用毀損罪は、特に「経済的な信用(経済的側面での評価)」を低下させる行為に特化しています。

企業が受ける被害の多くは、この経済的信用の失墜を伴います。そのため、警察に対して被害を訴える際や、のちの損害賠償請求を見据えた場合においても、単なる悪口ではなく「企業の営業活動や経済的基盤を破壊する悪質な犯行」として、信用毀損罪の観点から立証を組み立てることが極めて効果的です。


3. 警察に「信用毀損罪」の告訴状を受理してもらうためのポイント

警察は日々多くの事件を扱っており、ネット上の誹謗中傷やデマの事案に対して、最初から積極的に動いてくれるとは限りません。単に「ネットで悪口を書かれたので処罰してほしい」と相談に行っても、「民事不介入」として対応してもらえないケースが多々あります。

警察に捜査を動かし、告訴状を受理してもらうためには、以下のポイントをクリアする必要があります。

(1) 客観的な証拠の網羅的な収集

投稿されたデマの画面保存(スクリーンショット)だけでなく、URL、投稿日時、アカウント情報などを保全します。さらに重要なのは、そのデマによってどのような実害が生じたかを示す証拠です。

  • 取引先からの解約通知や、取引停止に関するメール・書面
  • 顧客からの問い合わせや苦情の急増を示す記録
  • 売上の急激な落ち込みを示すグラフや財務データ
  • 風評被害対策や謝罪対応に費やした労力・費用の見積もり

(2) 弁護士を通じた法的に整えられた告訴状の提出

一般企業が独自に作成した告訴状では、犯罪構成要件の記載が不十分であったり、証拠の整理が甘かったりするため、受理されないことが少なくありません。

弁護士が代理人となり、判例や法的理論に基づいて構成された「告訴状」を警察署に提出することで、警察側も正式な刑事事件として捜査を開始しやすくなります。告訴状が受理されることは、犯人の特定に向けた捜査(発信者情報開示請求の連動や、捜査機関によるプロバイダへの照会など)を大きく前進させる原動力となります。


4. 企業の尊厳と営業を守るために弁護士ができること

インターネット上のデマを放置すると、悪評が検索エンジンのサジェストやキャッシュに残り続け、中長期にわたって企業のブランド価値を傷つけ続けます。弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所では、企業の社会的評価を守るため、以下のような総合的なサポートを提供しています。

迅速な投稿の削除と発信者特定

まずはこれ以上の被害拡大を防ぐため、プラットフォーム事業者やプロバイダに対する記事削除請求を行います。同時に、デマを投稿した人物を特定するための発信者情報開示請求を申し立て、法的責任を追及する準備を整えます。

刑事告訴と民事賠償の連動

犯人が特定された段階で、信用毀損罪に基づく刑事告訴の実行と、民事上の損害賠償請求(慰謝料および営業損害の補償)を並行して進めます。これにより、加害者に対して「企業の信用を傷つけることは重い代償を伴う」という強いメッセージを示すことができます。

再発防止とブランドイメージ回復の助言

法的な措置だけでなく、必要に応じてプレスリリースの発出や、ステークホルダーに向けた説明の法的チェックなど、企業の信頼回復に向けた総合的なアドバイスを行います。


5. まとめ:デマ被害は早期の法的対応が企業の未来を守る

ネット上のデマによる信用失墜は、企業の努力を一瞬にして水泡に帰す深刻なリスクです。「そのうち鎮静化するだろう」と放置していると、デマが既成事実化し、回復不能な打撃を受けてしまうおそれがあります。

企業の尊厳、従業員の雇用、そして長年築き上げてきたブランドを守るためには、信用毀損罪を視野に入れた迅速かつ断固たる法的措置が不可欠です。

ネット上の誹謗中傷や悪質な風評被害にお悩みの経営者様、広報ご担当者様は、どうぞ一人で抱え込まず、企業法務やネット被害対策に精通した弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所までお気軽にご相談ください。貴社の平穏な営業環境と名誉を取り戻すため、全力でサポートいたします。

弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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