【法的請求と弁護士相談のメリット】不法行為に基づく損害賠償金や適正な慰謝料を確実に受け取るためには、発信者情報開示請求によって加害者を特定し、法的責任を追及することが不可欠です。個人での交渉は二次被害のリスクや証拠隠滅の恐れがあるため、ネット中傷や風評被害に精通した弁護士に早期に相談し、損害賠償請求の手続きを任せることを強くおすすめします。
ネット上の誹謗中傷や悪質な風評被害によって、深刻な精神的苦痛や経済的損害を被る被害者が後を絶ちません。こうした被害に対して加害者から支払われる損害賠償金や慰謝料について、「これには税金がかかるのだろうか」と疑問に思われる方は少なくありません。
せっかく法的な手続きを経て相手から金銭を勝ち取っても、そこに高額な税金がかかってしまうのではないかと不安を感じる方もいらっしゃるでしょう。
結論からお伝えすると、不法行為に基づく損害賠償金や慰謝料の多くは非課税とされています。しかし、賠償金の内訳や名目によっては課税対象となるケースもあり、正しい知識を持っておくことが重要です。
ここでは、弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所の法律ライターが、ネット中傷における不法行為損害賠償金の税務上の扱いや確定申告の判断基準について、実務的な視点から詳しく解説します。
ネット中傷の損害賠償金・慰謝料が非課税になる理由
所得税法において、すべての収入に対して一律に税金がかかるわけではありません。税法上、所得税が課されない「非課税所得」がいくつか定められており、その中に損害賠償金に関する規定が含まれています。
所得税法における非課税所得の規定
所得税法第9条第1項第17号では、心身に加えられた損害又は突発的な事故により資産に加わった損害に起因して取得する損害賠償金などについて、所得税を課さない旨が規定されています。
ネット上の誹謗中傷による名誉毀損やプライバシー侵害は、個人の人格権や名誉という「心身の精神的側面」に対する重大な不法行為です。これに対して支払われる慰謝料は、被害者が受けた精神的苦痛を慰藉(いしゃ)するためのものであり、新たな利益を得たわけではなく「失われた平穏な状態の回復」を意味します。
そのため、税金の負担を課すことは妥当ではないという考え方から、原則として非課税として扱われます。
精神的苦痛に対する慰謝料はすべて非課税か
名誉毀損、侮辱、プライバシー権侵害、肖像権侵害など、ネット上の誹謗中傷に対して請求される一般的な慰謝料は、すべてこの非課税の枠組みに含まれます。示談交渉によって支払われる解決金や和解金であっても、それが実質的に精神的苦痛に対する損害賠償としての性質を持つのであれば、同様に非課税となります。
課税対象となる「例外的なケース」に注意
原則として非課税となる損害賠償金ですが、すべての金銭が非課税になるわけではありません。特に事業を営む個人事業主や法人、あるいはインフルエンサーなどの場合、受け取る金銭の名目によっては「事業所得」や「雑所得」とみなされ、課税対象(確定申告が必要)になることがあります。
以下のような項目が含まれている場合は注意が必要です。
- 営業損害(売上減少分)の補填:風評被害によって店舗の売上が落ちた分を請求し、それが認められた場合
- 弁護士費用等の賠償:裁判や示談交渉において弁護士費用相当額が上乗せして支払われた場合
- 遅延損害金:支払いが遅れたことに対する利息に相当する金銭
特に「営業損害」については、もし被害がなければ本来得られていた事業上の利益(逸失利益)を補填するものであるため、性格的には事業所得や雑所得の補填となり、原則として課税対象となります。
個人の場合と企業の・事業主の場合の違い
損害賠償金の税務上の扱いは、被害を受けた主体が「個人の私人」であるか、「企業や事業主」であるかによって大きく異なります。
個人のプライベートな被害の場合
会社員や学生などの一般個人が、SNSや匿名掲示板で個人的な名誉を傷つけられたケースを見てみましょう。
この場合、受け取る金銭の大半は精神的苦痛に対する慰謝料であり、実務上もほぼ全額が非課税となります。そのため、確定申告を行う必要はありません。税務署から「お尋ね」などが届いた場合に備え、示談書や和解調書などの書類を保管しておけば安心です。
企業経営者や店舗、フリーランスの場合
飲食店がGoogleマップの低評価クチコミによる風評被害を受けた場合や、企業がSNS上のデマによって損害を受けた場合は注意が必要です。
- 企業のブランド価値低下に対する慰謝料は、法人税法上も損害賠償金として処理されますが、受け取った側の収益(益金)の認定において議論になることがあります。
- 売上減少に対する補填金は、通常の売上と同様に企業の収益や事業所得として計上し、課税の対象となります。
事業に関する風評被害で損害賠償金を請求・受領する際は、税理士や弁護士などの専門家に内訳の整理を相談することをお勧めします。
示談書・和解調書における「内訳明記」の重要性
加害者側と示談交渉を行う際、あるいは裁判で和解や判決を迎える際には、支払われる金銭の「内訳」を明確にしておくことが、税務上のトラブルを防ぐ上で極めて重要です。
総額としてまとまった金額だけが記載されていると、税務署側から「これは事業上の補填ではないか」「雑所得ではないか」と疑われる余地が生じてしまいます。
示談書作成時のポイント
- 慰謝料(精神的苦痛に対する損害賠償金)としていくらが支払われるのかを明確に切り分ける。
- 弁護士費用や調査費用、その他の実費が含まれている場合、それぞれの金額を明記する。
- 事業損失の補填が含まれる場合は、それがどの部分にあたるのかを区別する。
夕陽ヶ丘法律事務所では、加害者との示談交渉や法的書面の作成において、依頼者様にとって税務上のリスクが生じないような適切な条項の設計をサポートしています。
まとめ:ネット中傷の損害賠償金で迷ったら専門家に相談を
ネット上の誹謗中傷や風評被害に関する不法行為損害賠償金は、精神的苦痛に対する慰謝料であれば原則として非課税であり、確定申告は不要です。
しかし、営業損害の補填やビジネス上の利益損失が含まれる場合、あるいは企業や事業主が受領する場合には、課税対象となるケースが存在します。「自分のケースは税金がかかるのだろうか」「示談金の文言をどう整えればいいか分からない」とお悩みの方は、自己判断せず、法律と税務の双方を見据えた専門家にご相談ください。
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所では、加害者の特定から損害賠償請求、そして紛争解決後のアフターケアに至るまで、総合的に被害者様をサポートいたします。ネット中傷にお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。