【弁護士に依頼するメリット】被害者個人だけで警察に赴いても門前払いされるケースが多い一方、弁護士の名義で法的に不備のない告訴状を正式に提出し、発信者情報開示請求等で得た決定的な証拠を添えることで、警察を動かして捜査を開始させ、悪質な加害者への損害賠償請求や刑事責任追及を有利に進めることができます。
インターネット上の掲示板やSNSに、事実無根の悪質な書き込みをされたり、店舗や企業に対する悪意あるデマを流されたりした場合、被害者は大きな精神的苦痛と経済的損失を被ります。この深刻な被害を食い止めるため、警察署に駆けつけて告訴状を提出しようとしたものの、「これは民事上のトラブルだから警察は動けない」「ネット上の書き込みは特定が難しく証拠が足りない」といった理由で、実質的に門前払いされてしまうケースが後を絶ちません。
警察のこのような対応は、人員やリソースの制約からすべての案件をすぐに捜査できないという事情背景があることも事実ですが、被害者側から見れば泣き寝入りを強いられる理不尽な事態です。
警察に「民事不介入」の壁を突破させ、告訴状を正式に受理してもらうためには、どのような準備と対策が必要なのでしょうか。夕陽ヶ丘法律事務所の弁護士が、実務上のノウハウを交えて詳しく解説します。
なぜ警察は名誉毀損の告訴状を受理したがらないのか
警察がネット上の誹謗中傷に関する告訴状の受理に消極的になるのには、主に以下のような理由が存在します。これらを事前に把握しておくことが、適切な不受理対策の第一歩となります。
- 「民事不介入」という大原則の壁
警察は基本的に、私人間の争いや損害賠償問題(民事事件)には介入しないという方針をとっています。ネットの誹謗中傷も、単なる「言論のトラブル」や「感情的な対立」と捉えられてしまうと、民事事件として処理され、警察は動いてくれません。 - 犯罪構成要件の立証に対するハードルの高さ
名誉毀損罪(刑法第230条)や侮辱罪(刑法第231条)を立証するためには、厳格な法律上の要件を満たす必要があります。単に「嫌なことを書かれた」という主観的な訴えだけでは、警察官が「犯罪として立証するのが難しい」と判断してしまいます。 - 捜査リソースの不足と優先順位
日々発生する多数の事件の中で、ネット上の匿名アカウントによる誹謗中傷は、発信者情報開示請求などのIT技術や権利侵害の法解釈が絡むため、捜査に高度な手間と時間がかかります。そのため、警察側が対応を後回しにしようとする傾向があります。
警察の「民事不介入」を打ち破るための3つの条件
警察に「これは単なる民事トラブルではなく、明白な刑事事件(犯罪)である」と認識させるためには、以下の3つの要素を論理的かつ客観的に証明する必要があります。
- 「公然性」の証明
その書き込みが、不特定または多数の人が認識できる状態(オープンなSNS、誰でも閲覧できる掲示板など)で公開されていることを示します。鍵アカウントや限定されたグループ内であっても、閲覧者が多数いれば公然性が認められる場合があります。 - 「事実の摘示」の証明
「あそこの飲食店は不衛生だ」「この会社の社長は横領をしている」など、人の社会的評価を低下させる具体的な「事実」が書き込まれていることを示します。単なる悪口や感情的な罵詈雑言(侮辱罪にあたるケース)とは区別して説明する必要があります。 - 「社会的評価の低下」の証明
その書き込みによって、実際に被害者の社会的信用や評判が著しく傷つけられたことを示します。店舗であれば来客数の激減や予約キャンセル、企業であれば取引停止や株価への悪影響など、実害のデータを添えるとより効果的です。
告訴状を確実に受理させるための実践的な不受理対策
もし窓口で告訴状の受け取りを渋られたり、口頭で「被害届や告訴状の提出は難しいですね」と言われたりした場合でも、その場で諦めて引き下がる必要はありません。以下の対策を講じることで、受理の確率を劇的に高めることができます。
1. 法的に完璧に構成された告訴状を持参する
ノートの切れ端や口頭での説明ではなく、刑事訴訟法の規定に則った正式な形式の告訴状を作成して持参しましょう。犯罪の事実、日時、場所、該当する法条(名誉毀損罪など)、そして告訴に至った経緯が整理された文書を差し出すことで、警察官側も「適当にあしらうことはできない案件だ」と認識を改めます。
2. 証拠を整理した「証拠説明資料」を添付する
URL、該当ページのスクリーンショット(投稿日時、アカウントID、フォロワー数などが視覚的に確認できるもの)、被害状況を示す資料などをファイリングし、目次をつけた「証拠綴り」を一緒に提出します。「警察が捜査しやすい状態」をこちらであらかじめ整えておくことが、受理への最大の近道となります。
3. 弁護士名義で告訴状を提出する
個人名義で告訴状を持ち込むと、警察官の裁量で門前払いされてしまうリスクが高まりますが、弁護士が代理人として作成・提出した告訴状であれば、法的な正当性と本気度が圧倒的に伝わります。弁護士は犯罪成立要件に沿った構成書面を作成できるため、警察としても不受理の理由を見出しにくくなります。
警察が動かない場合の法的アプローチと弁護士の活用
万が一、あらゆる対策を講じても警察が腰を上げない場合や、発信者の特定を急ぐ必要がある場合には、警察への告訴と並行して、あるいは先行して民事上の法的手段をとることが有効です。
- 発信者情報開示請求による特定
プロバイダ責任制限法に基づき、投稿者のIPアドレスや氏名・住所などの情報を特定する手続きを進めます。証拠が揃うことで、警察も捜査に乗り出しやすくなります。 - 損害賠償請求・削除請求
民事裁判所を通じて、書き込みの削除や発信者に対する慰謝料請求を行います。法的責任を追及する姿勢を示すことで、加害者にプレッシャーを与えることができます。
夕陽ヶ丘法律事務所では、ネット誹謗中傷や風評被害に特化した豊富な解決実績を有しております。「警察に相談に行ったが取り合ってもらえなかった」「どのように告訴状をまとめればよいか分からない」とお悩みの方は、ぜひ一度当事務所の初回相談をご利用ください。あなたの名誉と日常を取り戻すため、法律の専門家が力強くサポートいたします。