ネットの誹謗中傷対策を「IT削除業者」に頼むのはなぜダメなのですか?

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、ネット上の誹謗中傷削除・発信者情報開示命令(IPアドレス特定)・仮処分裁判実務に基づき、プロバイダ責任制限法および最新の判例に沿ってわかりやすく解説しています。

Q ネットの悪口やGoogleマップの悪質な口コミ削除を「IT削除業者」や「逆SEO業者」に依頼してはいけないのはなぜですか?
A 【違法性と法的限界について】弁護士資格を持たない民間業者が報酬を得て削除交渉を行う行為は「弁護士法72条違反(非弁活動)」という犯罪に該当する可能性が極めて高く、裁判所を通じた「仮処分」や「発信者情報開示請求」といった法的手段が実行できないためです。
【弁護士に依頼するメリットについて】弁護士であれば、プロバイダ責任制限法に基づいた適法な削除仮処分の申し立てや、投稿者のIPアドレス・氏名特定、さらには悪質な加害者に対する損害賠償請求までを一貫して代理でき、根本的かつ安全な風評被害の解決が可能になります。

ネットの誹謗中傷対策は「どこに頼むか」が極めて重要

インターネット上にあげられた誹謗中傷、悪質な口コミ、プライバシーの暴露、根拠のない風評被害などは、放置すればするほど企業活動や個人の日常生活に甚大な悪影響を及ぼします。

一刻も早くその投稿を消したいという焦りから、検索エンジンで上位に出てくる「IT削除業者」「逆SEO対策会社」「風評被害対策専門業者」といった民間企業に連絡してしまう方が後を絶ちません。

しかし、弁護士の立場から強く申し上げますと、民間業者のような非弁業者にネット上の削除交渉を依頼することは、法律上の観点から絶対に避けるべきです。

本記事では、なぜIT削除業者に依頼してはいけないのか、その決定的な理由と、安全かつ確実な法的解決への道筋について分かりやすく解説します。

IT削除業者に頼むべきではない3つの決定的な理由

インターネット上の投稿削除や、投稿者を特定するための手続きは、日本の法制度において厳格にルールが定められています。民間のIT削除業者に依頼することがなぜ「ダメ」なのか、その理由は主に以下の3点に集約されます。

  • 弁護士法違反(非弁活動)に該当する違法行為だから
  • 裁判所を利用した法的手段(仮処分)が実行できないから
  • 根本的な解決にならず、高額な費用を請求されるトラブルが多いから

それぞれの理由について、詳しく掘り下げていきましょう。

理由1:弁護士法違反(非弁活動)に該当するから

日本の法律である弁護士法第72条では、弁護士資格を持たない者が、報酬を得る目的で、他人の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁、その他の法律事務を取り扱うこと、またはこれらの周旋をすることを原則として禁止しています。これを一般に「非弁活動(ひべんかつどう)」と呼びます。

インターネット上の誹謗中傷に対して、サイトの管理者やプロバイダ(サーバー会社など)に対して「削除を求める交渉」を行う行為は、法的な権利義務に関わる紛争の解決行為(法律事務)に該当します。

したがって、弁護士資格を有しない民間のIT削除業者が、依頼者の代理として削除交渉を行うことは弁護士法違反(犯罪)にあたる可能性が極めて高いのです。

このような違法性の高い業者に依頼してしまうと、契約自体が公序良俗に反して無効とみなされるリスクがあるだけでなく、依頼者自身も法的トラブルに巻き込まれるおそれがあります。

理由2:裁判所を動かす「仮処分」の手続きができないから

悪質な投稿を削除させるための最も確実かつ強力な手段は、裁判所を通じた「仮処分(かりしょぶん)」の手続きです。

仮処分とは、正式な裁判(訴訟)を待っている時間的余裕がない場合に、裁判所が迅速に暫定的な命令を出し、投稿を速やかに削除させる法的効力を持った手続きです。この仮処分を申し立てるには、法的な権利侵害の疎明資料を作成し、裁判所の裁判官に対して法律上の構成を主張・立証しなければなりません。

しかし、民間のIT削除業者は弁護士ではないため、裁判所に法的書類を提出して代理人として活動する資格が一切ありません

IT削除業者が行うのは、せいぜい「サイトのお問い合わせフォームから定型文の削除依頼を送る」「規約違反を指摘するメールを送る」といった、一般のユーザーでもできる作業の代行に過ぎません。法律的な強制力がないため、サイトの運営会社から無視されてしまえば、それ以上打つ手がなくなってしまいます。

理由3:根本的な解決にならず、高額な費用トラブルに発展しやすいから

弁護士以外のIT削除業者の多くは、独自の特殊な裏技があるかのように見せかけて集客を行っています。しかし実際には、前述の通りフォームからの機械的な削除依頼を行っているだけであることが少なくありません。

そのため、以下のような悪質なトラブルが後を絶ちません。

  • 「削除成功」と謳いながら、実際にはサイト側が自発的に消しただけの投稿に対しても高額な成功報酬を請求された
  • 一時的に投稿が消えたように見えても、相手が別のアカウントから全く同じ中傷記事を再投稿し、その都度多額の費用を請求された
  • 投稿者のIPアドレスやアクセスログの保存請求、損害賠償請求といった「根本的な犯人特定」の作業ができず、いたずらに時間をロスしてしまった

結果として、多額の費用を支払ったにもかかわらず被害が繰り返され、最終的に当事務所のような弁護士法人に駆け込んでこられる相談者が後を絶ちません。

「削除業者」と「弁護士」の決定的な違い

ここで、IT削除業者と弁護士の対応能力における決定的な違いを明確に比較してみましょう。

  1. 資格と適法性:IT削除業者は無資格(違法リスクあり)。弁護士は国家資格に基づき適法に代理人活動が可能。
  2. 削除手段:IT削除業者はフォームからの連絡のみ。弁護士は任意の削除交渉に加え、裁判所を通じた「仮処分命令申立て」が可能。
  3. 発信者情報開示請求:IT削除業者は法律上実行不可能。弁護士はプロバイダ責任制限法に基づき、投稿者の住所・氏名・電話番号を特定し、損害賠償請求や刑事告訴が可能。
  4. 秘密保持(守秘義務):IT削除業者には法的な守秘義務が曖昧な場合がある。弁護士には厳格な守秘義務(弁護士法第23条)が課されている。

このように、法的なアプローチの幅広さと確実性において、弁護士に依頼するメリットは圧倒的です。

ネット中傷の根本的解決には「弁護士への相談」が不可欠

ネット上の誹謗中傷や風評被害を根本から断ち切るためには、単に「目の前の書き込みを消す」だけでは不十分です。

悪質な投稿者を放置しておけば、形を変えて再び同じ嫌がらせを受けることになりかねません。再発を防ぎ、精神的な平穏を取り戻すためには、以下のステップをワンストップで実行できる環境が必要です。

  • 迅速な証拠保全(魚拓の取得、画面スクショの正しい保存)
  • 裁判所の仮処分命令を利用したスピーディーな記事削除
  • プロバイダ責任制限法に基づく発信者情報開示請求による「犯人の特定」
  • 特定した加害者に対する慰謝料請求、損害賠償請求、および再発防止の示談締結

これらの一連の手続きは、すべて法律事務に該当するため、弁護士だけが合法的に遂行できる専権事項となっています。

夕陽ヶ丘法律事務所のネット誹謗中傷・風評被害対策

弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所では、ネット上の誹謗中傷、SNSの炎上、Googleマップの悪質な悪評、フェイクニュース、プライバシーの暴露など、多岐にわたるデジタル上のトラブルに対して、多数の解決実績を有しています。

私たちは、違法なIT削除業者とは異なり、裁判所の法的手続き(仮処分・発信者情報開示請求)を駆使して、依頼者の皆様の権利と名誉を全力でお守りします。

「怪しい削除業者に連絡する前に、まずは正しい法律の専門家に相談したい」 「特定の悪質アカウントや投稿を法的にしっかりと処分したい」

そうお考えの方は、一人で悩むことなく、当事務所の初回相談窓口までお気軽にお問い合わせください。秘密厳守で、あなたの状況に最も適した解決プランをご提案いたします。

弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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