【被害回復と犯人特定に向けた弁護士への相談メリット】警察に刑事告訴や被害届を受理してもらうためには、法的に有効な証拠の提出が不可欠です。また、匿名で行われた誹謗中傷に対しては、プロバイダ責任制限法に基づく発信者情報開示請求を行い、加害者のIPアドレスや氏名・住所を特定する必要があります。弁護士に依頼することで、証拠保全から悪質口コミの削除、発信者特定、さらには損害賠償請求(慰謝料請求)までワンストップで迅速に対応でき、泣き寝入りを防ぐことが可能になります。
ネット掲示板やSNS、口コミサイトなどに心ない誹謗中傷を書き込まれた際、被害を受けた多くの方が「一刻も早く警察に捕まえてほしい」と願います。しかし、警察がすべてのネット上のトラブルに対して動いてくれるわけではありません。
警察が捜査や逮捕に踏み切るには、法的な厳格な要件を満たす必要があります。ここでは、どのようなケースであれば警察が逮捕してくれるのか、その具体的な条件と、被害に遭ったときに取るべき実務的なステップについて、弁護士の視点から詳しく解説します。
警察がネット中傷で動く・逮捕する基本的な考え方
大前提として、警察は「民事不介入」の原則があります。個人間のトラブルや、名誉感情を傷つけられただけの愚痴レベルの書き込みに対して、警察が刑事事件として介入することは原則としてありません。
警察が動くのは、その書き込みが日本の法律で定められた犯罪の構成要件に該当する(刑事事件である)と判断できる場合のみです。さらに、被疑者(加害者)が特定されており、逃亡や証拠隠滅の恐れがある、あるいは被害の悪質性が極めて高いと判断された場合に初めて「逮捕」という強制捜査が行われます。
警察が逮捕を視野に動く具体的な3つのケース
具体的にどのような書き込みや被害であれば、警察が事件化し、逮捕に至る可能性が高まるのでしょうか。主に以下の3つのケースが挙げられます。
1. 「殺す」「危害を加える」などの脅迫・恐喝
生命や身体、財産に危害を加えることをネット上で告知する行為は、脅迫罪(刑法第222条)や強要罪などに該当します。
- 「お前の家族に危害を加える」「家を特定して火をつけてやる」といった具体的な危害予告
- 店舗や企業に対して「爆破する」「営業を続けたらどうなるかわかっているのか金を出せ」といった恐喝を伴う書き込み
これらは人々の平穏な生活や安全を脅かす犯罪であるため、警察は人命保護の観点からも比較的スピーディーに捜査に乗り出す傾向があります。
2. 営業や業務を著しく破壊する威力業務妨害
企業の評判を不当に貶めたり、営業活動を麻痺させたりするような悪質なデマや嫌がらせは、威力業務妨害罪(刑法第233条)に問われます。
- 飲食店に対して「料理に異物が入っていた、保健所に通報した」という虚偽の書き込みを執拗に繰り返し、客足遠のかせたケース
- 病院や学校のウェブサイトやSNSに「ウイルスを撒き散らす」「爆弾を仕掛けた」と書き込み、業務を一時停止に追い込んだケース
実害が発生している、または発生する危険性が極めて高いと認められるため、警察も重い腰を上げざるを得ません。
3. 社会的信用を失墜させる悪質な名誉毀損
単なる悪口ではなく、具体的な事実を挙げて社会的評価を低下させる行為は、名誉毀損罪(刑法第230条)に該当します。ただし、名誉毀損の場合、逮捕されるには以下の要素が強く求められます。
- 虚偽の内容が組織的、または計画的かつ継続的に投稿されている
- 被害者が甚大な経済的損害や精神的苦痛を被っている
- 加害者が特定されており、悪質性が高く反省の色が見られない
名誉毀損は「親告罪」という、被害者自身が警察に告訴状を提出しなければ原則として起訴できない性質を持っています。そのため、警察に動いてもらうためには、被害者側がしっかりと被害を訴える必要があります。
警察に動いてもらうために被害者が行うべきこと
「ネットで誹謗中傷されたから交番に行けばすぐに逮捕してもらえる」と考えている方は少なくありませんが、残念ながらそのままでは対応してもらえないことがほとんどです。警察に捜査や逮捕を動かすためには、以下のプロセスが重要になります。
証拠を確実に保全する
ネット上の書き込みは、加害者がすぐに削除したり、アカウントを消去したりして証拠ロンダリングを行う可能性があります。
- 誹謗中傷が掲載されているページのURLを控える
- 該当の書き込み画面のスクリーンショット(日時やURLが含まれるもの)を複数撮影する
- 魚拓サービスなどを活用して、ページそのもののデータを保存しておく
証拠がなければ、警察も被害の事実を確認しようがありません。一刻も早い証拠確保が不可欠です。
弁護士を通じて「刑事告訴」を行う
個人がいきなり警察署に行き、「ネットで誹謗中傷されたので逮捕してください」と訴えても、証拠の整理不足や法的な構成の不備から、相談だけで終わってしまうことが少なくありません。
そこでおすすめなのが、ネット風評被害や刑事事件に強い弁護士を通じて「刑事告訴状」を作成し、警察に受理してもらう方法です。弁護士が法的な要件を満たした証拠をまとめ、警察が捜査しやすい形で告訴を行うことで、警察も事件として正式に受理しやすくなります。
民事上の法的措置(損害賠償・発信者情報開示請求)との並行
警察による刑事手続き(逮捕や起訴)は、あくまで「加害者に刑罰を科す(社会的制裁を与える)」ためのものです。これとは別に、被害者が受けた精神的苦痛に対する慰謝料や弁護士費用の請求を行うには、民事上の損害賠償請求を行う必要があります。
また、加害者が匿名で書き込んでいる場合、警察が動くにも、私たちが損害賠償請求をするにも、まずは発信者情報開示請求を行って加害者のIPアドレスや住所・氏名を特定しなければなりません。
夕陽ヶ丘法律事務所では、この発信者情報開示請求による加害者の特定から、民事上の損害賠償請求、さらには悪質なケースにおける刑事告訴のサポートまで、ワンストップで対応しております。
まとめ
ネット上の誹謗中傷で警察が逮捕してくれるのは、「殺害予告などの脅迫」「業務を停止させるような業務妨害」「悪質な名誉毀損」など、明確な犯罪行為があり、被害の重大性や証拠が揃っている場合に限られます。
「警察は動いてくれないかもしれない」と泣き寝入りする必要はありません。適切な証拠を集め、法律の専門家である弁護士の力を借りて刑事告訴や発信者情報開示請求を行うことで、警察の捜査および逮捕を引き出すことは十分に可能です。
ネット上の誹謗中傷や悪質な書き込みにお悩みの方は、一人で抱え込まず、できるだけ早い段階で当事務所の弁護士までご相談ください。あなたの尊厳と権利を守るため、最適な法的アプローチをご提案いたします。