【弁護士に依頼するメリット】誹謗中傷や悪質な口コミによる社会的評価の低下やプライバシー侵害に対しては、投稿の削除仮処分から発信者情報開示請求、そして損害賠償請求へと至る法的措置をワンストップで進めることが極めて重要です。プロバイダが保有するログの保存期間(通常3〜6ヶ月程度)が経過して証拠が消失してしまうリスクを防ぎ、迅速かつ確実に加害者を特定するためにも、ネット風評被害に精通した弁護士への早期の相談・依頼が不可欠です。
ネット上の誹謗中傷、悪質な口コミ、根拠のない風評被害に悩まされたとき、被害回復の第一歩となるのが「発信者情報開示請求(はっしんしゃじょうほうかいじせいきゅう)」です。
「書き込んだ相手を特定して損害賠償請求をしたい」「一刻も早く投稿を消して犯人を突き止めたい」と考える相談者様から、最も多く寄せられる質問の一つが「相手を特定するまでに何ヶ月かかりますか?」という期間に関するご質問です。
この記事では、近年の法改正によるスピードアップの実態を踏まえ、発信者情報開示請求にかかる期間の目安と、スムーズに進めるためのポイントを夕陽ヶ丘法律事務所の弁護士が詳しく解説します。
発信者情報開示請求にかかる全体の期間目安
結論から申し上げますと、インターネット上に誹謗中傷などを書き込んだ人物を特定し、その氏名や住所を把握するまでには、通常「約4ヶ月から6ヶ月」の期間を要します。
「半年もかかるのか」と感じられるかもしれませんが、これは日本の法律手続きにおいて、複数の事業者(SNS運営会社やプロバイダ)や裁判所を介する必要があるためです。
従来は1年以上かかることも珍しくありませんでしたが、後述する法改正によって現在は大幅な期間短縮が可能になっています。大まかなスケジュール感を把握しておきましょう。
2つのステップとそれぞれの所要期間
発信者情報開示請求は、一挙に相手の住所・氏名がわかるわけではありません。大きく分けて2段階のステップを踏む必要があります。
ステップ1:IPアドレス等の開示請求(約2〜3ヶ月)
最初のステップでは、誹謗中傷の書き込みがどの「IPアドレス(ネット上の住所のようなもの)」と「タイムスタンプ(日時)」から行われたのかを、SNS事業者やサイト管理者に対して明らかにさせます。
- 弁護士による任意請求・証拠保全:約2週間〜1ヶ月
- 裁判所を通じた仮処分・命令申し立て:約1〜2ヶ月
事業者に対して任意の開示を求めても、プライバシー保護の観点から応じてもらえないケースが多いため、多くの場合は裁判所に「発信者情報開示命令(仮処分)」を申し立てる必要があります。この最初のステップをクリアするまでに、おおむね2〜3ヶ月かかります。
ステップ2:氏名・住所の開示請求(約2〜3ヶ月)
ステップ1で判明したIPアドレスを基に、その当時回線を契約していたプロバイダ(ドコモ、ソフトバンク、Nifty、J:COMなど)を割り出します。
プロバイダに対して、発信者の「氏名」や「住所」を開示するように求めます。ここでもプロバイダは契約者のプライバシーを守る義務があるため、簡単には教えてくれません。そのため、再度裁判を起こすか、新設された非訟手続きを利用して開示命令を出してもらうことになります。
このプロバイダに対する手続きにも約2〜3ヶ月の期間が必要です。
結果として、ステップ1とステップ2を合計して、最短でも4ヶ月、平均して半年程度の期間が必要になるのです。
2022年改正プロバイダ責任制限法で何が変わったのか?
「開示請求に半年かかる」というと長く感じるかもしれませんが、実はこれでも昔に比べれば大幅に短縮された期間です。
2022年10月に施行された「改正プロバイダ責任制限法(現在は情報流通プラットフォーム対処法に移行・発展)」により、新しい裁判手続き(非訟手続き)が導入されました。
従来の法律では、ステップ1(SNS事業者への請求)とステップ2(プロバイダへの請求)を別々の裁判で順番に行う必要があり、判決が出るまでに1年〜1年半以上かかるのが当たり前でした。
しかし、法改正によって以下のメリットが生まれました。
- 裁判手続きのワンストップ化(非訟手続きの導入):一つの裁判手続の中で、SNS事業者とプロバイダの双方に対する開示をスムーズに議論できるようになりました。
- ログ保存の命令制度:裁判をしている間に、プロバイダ側で重要な証拠である「発信者情報(ログ)」が消去されてしまうリスクを防ぐための保全命令が利用しやすくなりました。
これにより、以前と比べて数ヶ月単位で期間が短縮され、泣き寝入りせざるを得なかった被害者がスピーディーに救済される環境が整いつつあります。
期間を長引かせないため、そして失敗しないための重要ポイント
発信者情報開示請求を検討する際、最も恐れなければならないのは「期間が経過しすぎて証拠(ログ)が消えてしまうこと」です。
インターネット上のアクセスログや通信履歴は、永遠に保存されているわけではありません。プロバイダや通信会社によって異なりますが、一般的に書き込みから「約1ヶ月〜3ヶ月程度」で古いログから順に消去されてしまいます。
ログが消えてしまうと、いくら優秀な弁護士であっても、二度と相手を特定できなくなってしまいます。そのため、以下の点に注意が必要です。
- 誹謗中傷を見つけたらスクリーンショットやURLの保存を早めに行う:証拠がなければ手続きが始められません。
- できる限り早く弁護士に相談する:相談から依頼、証拠保全までの初動が早ければ早いほど、特定成功の確率が上がります。
- 個人での無理な交渉を避ける:個人が直接SNSやプロバイダに問い合わせても、門前払いされるか、対応に手間取っている間にログの保存期間が過ぎてしまうリスクがあります。
当事務所(夕陽ヶ丘法律事務所)でも、大阪地裁をはじめとする全国の裁判所実務に精通した弁護士が、一刻も早い証拠保全と迅速な開示請求手続きをサポートしております。
まとめ:誹謗中傷の特定は時間との戦いです
相手を特定するための「発信者情報開示請求」には、現在の法制度のもとでも約4ヶ月から6ヶ月の期間がかかります。
「時間がかかるなら、もう諦めようか…」と悩まれる方もいらっしゃいますが、放置している間にもログの消去期限は刻一刻と迫っています。悪質な風評被害や誹謗中傷に対して法的措置を検討されているのであれば、迷っている時間が一番のロスになってしまいます。
まずは現在の状況が法的措置の対象になるか、どのくらいの期間と費用が見込まれるのかを含め、ネット上のトラブルに強い弁護士へ早めにご相談されることを強くお勧めいたします。