【具体的な対処手順について】まずはデマ投稿のスクリーンショットなどの証拠を保全し、グループ管理者やMeta社に対して削除請求を行います。さらに、弁護士を通じて発信者情報開示請求(IPアドレス・氏名等の特定)を行い、投稿者に対する損害賠償請求や刑事告訴を進めることが可能です。
実名登録が基本となるFacebookは、ビジネスや地域コミュニティのつながりにおいて広く活用されています。しかし、その利便性の裏で、特定のFacebookグループ内において会社や店舗に関する根拠のないデマや悪質な誹謗中傷が書き込まれる被害が後を絶ちません。
特に「非公開グループ」や「秘密グループ」といった閉鎖的な空間で行われるデマは、外から見えにくいため風評被害の拡大に気づきにくいという特徴があります。「クローズドな空間だから法的責任は問えないのではないか」と泣き寝入りしてしまう経営者様も少なくありませんが、法律上は明確な対処法が存在します。
ここでは、Facebookグループ内でデマを流された場合に企業や店舗が取るべき法的措置について、具体的な手順と注意点を詳しく解説します。
Facebookグループでのデマ被害がもたらす深刻な影響
Facebookグループは、地域の住民同士、同業者の集まり、趣味のサークルなど、一定のメンバーだけが参加できるコミュニティとして運営されているケースが多く見られます。このような場所で「あの飲食店は衛生管理が最悪だ」「この会社の製品には重大な欠陥がある」といったデマを流されると、以下のような深刻な被害が生じます。
- 参加者間の信頼関係が崩れ、顧客や取引先が急速に離れていく
- 店舗や会社のブランドイメージが失墜し、売上や業績に直接的な悪影響が出る
- デマがグループ外のSNSやリアルな口コミに流出し、被害がさらに拡大する
閉鎖的な空間であるがゆえに、デマの否定や事実確認の機会が与えられないまま情報が一人歩きしてしまう危険性が非常に高いのが実情です。
非公開グループでも名誉毀損や信用毀損は成立するのか
ネット上の誹謗中傷やデマ対策でよく議論になるのが「公然性(こうぜんせい)」の要件です。刑法上の名誉毀損罪や民事上の不法行為が成立するためには、「不特定または多数の人が認識できる状態(公然性)」が必要とされています。
「参加承認制の非公開グループや、招待制の秘密グループは『特定少数』にあたるため、名誉毀損は成立しないのではないか」と考える方もいるかもしれませんが、法的な解釈は異なります。
裁判例においても、グループの参加メンバーが一定数存在し、メンバーそれぞれがさらに外部へ情報を伝達する可能性(伝播可能性)がある場合や、メンバーの属性が限定されていない場合には、「公然性」が認められる傾向にあります。したがって、非公開のFacebookグループであっても、デマの内容によっては名誉毀損罪や民事上の損害賠償請求の対象となり得ます。
デマ被害に遭った時に企業・店舗が取るべき初期対応
Facebookグループ内で悪質なデマを発見した場合、感情的に反論したり、グループ内で激しい口論を展開したりすることは避けるべきです。かえって炎上を招き、デマが拡散するリスクが高まります。冷静に以下のステップで対応を進めてください。
1. 証拠の確実な保全
法的措置を講じる前提として、デマ投稿の「動かぬ証拠」が必要です。以下の内容がしっかりと確認できるようにスクリーンショットや画面録画を残しましょう。- 問題となっているデマの投稿内容(テキスト、画像、動画など)
- 投稿日時
- 投稿者のアカウント名およびプロフィールURL
- 該当するFacebookグループの名称やURL(公開・非公開のステータスがわかる画面も含む)
- 投稿に対する他のメンバーのコメントや「いいね」の状況
URLが変更されたり、投稿者がアカウントを削除したりする恐れがあるため、発見したら速やかに証拠を保存することが重要です。
2. グループ管理者への削除要請
多くのFacebookグループには、グループを管理する「管理者(Admin)」や「モデレーター」が存在します。規約違反や名誉毀損にあたるデマ投稿について、管理者に直接連絡を取り、削除を要請します。誠実な管理者であれば、トラブル防止やグループの秩序維持のために速やかに投稿を削除してくれます。ただし、管理者がデマの投稿者と結託している場合や、連絡を無視されるケースもあるため、削除されない場合の次の手段も並行して検討する必要があります。
3. Meta社への削除報告・申請
Facebookの運営会社であるMeta社に対し、プラットフォームの利用規約やコミュニティ規定違反として報告し、削除を求める手続きを行います。投稿の右上にあるメニューボタンから「投稿を報告」を選択し、嫌がらせや虚偽情報の拡散にあたる旨を申請します。法的措置の具体的な流れ
管理者やMeta社への削除要請と並行して、法的なペナルティを課すための手続きを進めることができます。
発信者情報開示請求による投稿者の特定
デマを投稿した人物が匿名や偽名である場合、誰が書き込んだのかを特定しなければ損害賠償請求や刑事告訴を行うことができません。そこで、弁護士を通じて裁判所の手続きを利用し、Meta社に対して投稿者のIPアドレスや登録情報(氏名、住所、メールアドレスなど)の開示を求める「発信者情報開示請求」を行います。Facebookは海外企業(Meta Platforms, Inc.)であるため、日本国内のプロバイダ責任制限法に基づく請求であっても、海外法人の適格な代理人を通じた法的手続きや、外国文書の翻訳などの専門的な知識と対応が必要となります。
損害賠償請求および刑事告訴
投稿者が特定できたら、その人物に対して弁護士費用や慰謝料を含めた損害賠償請求(民事上の責任追及)を行います。また、悪質性が極めて高いデマや、業務を深刻に妨害された場合(信用毀損罪・業務妨害罪)には、警察に対して刑事告訴(刑事上の責任追及)を行うことも視野に入れます。Facebookグループのデマ対策を弁護士に依頼するメリット
Facebookグループは、一般のタイムラインやオープンなSNSとは異なり、アクセス権限やグループの内部構造を正確に把握した上で法的アプローチを設計する必要があります。専門的な知識を持つ弁護士に相談・依頼することで、以下のような大きなメリットがあります。
- 非公開グループの特性に応じた適切な証拠保全のアドバイスを受けられる
- Meta社や海外法人に対する複雑な法的手続きをスムーズに代行してもらえる
- 個人で直接交渉する精神的負担や二次被害のリスクを回避できる
- 投稿者の特定から示談交渉、損害賠償請求までを一貫して任せられる
夕陽ヶ丘法律事務所では、SNS上の風評被害やネット誹謗中傷対策に精通した弁護士が、企業や店舗の大切な信用を守るためのサポートを行っております。「閉鎖的なグループだから仕方ない」と諦める前に、まずは一度当事務所の法律相談をご活用ください。