アプリで騙された後、相手から「掲示板やSNSに晒すぞ」と脅迫されたら

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、貞操権侵害(独身偽装被害)における不法行為責任(民法709条)、裁判例の慰謝料算定基準、および相手の妻からの不貞請求防御実務に基づきわかりやすく解説しています。

Q マッチングアプリで独身と偽っていた既婚男性を追及したところ、「ネットやSNS、勤務先にバラすぞ」と逆上して脅されました。どう対処すべきでしょうか?
A 相手の行為は脅迫罪(刑法222条)名誉毀損罪(刑法230条)に該当する可能性があります。絶対に言いなりにならず、まずは脅迫されたやり取りの証拠を保存し、警察や弁護士へ速やかに相談してください。

マッチングアプリやSNSを通じて知り合った男性が、実は既婚者だった。その事実を知り、貞操権侵害や慰謝料請求について話し合おうとした途端、「ネットの爆サイなどの掲示板やSNSに個人情報を晒す」「職場に連絡して社会的信用を奪ってやる」などと脅されるケースが後を絶ちません。

ご自身に落ち度がないにもかかわらず、こうした脅しを受けると恐怖や焦りで精神的に追い詰められてしまいます。

1. 独身偽装男からの「晒すぞ」という脅しの法的性質

相手男性が自らの不貞行為や独身詐称(貞操権侵害)の責任逃れのために行う「ネットへの個人情報晒し」「職場への暴露」の示唆は、法的に見て極めて悪質な行為です。

脅迫罪(刑法第222条)の成立

生命、身体、自由、名誉又は財産に対し、害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処されます。 「ネットや職場にバラす」という発言は、社会的信用や名誉、平穏な生活を害すると告げる行為にほかならず、明確な脅迫罪に該当する可能性が高いといえます。

名誉毀損罪(刑法第230条)や威力業務妨害罪への発展

実際にSNSや掲示板にプライバシー情報や顔写真、勤務先名を書き込んだ場合、名誉毀損罪(3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金)プライバシー権の侵害(不法行為:民法第709条)が成立します。 また、勤務先に電話をかけて業務を妨害した場合には、威力業務妨害罪(3年以下の懲役又は50万円以下の罰金)に問われる可能性があります。

2. 脅迫されたときに絶対にやってはいけないNG行動

相手からの脅しに直面した際、パニックになって誤った対応をすると、かえって相手の要求をエスカレートさせたり、ご自身の立場を不利にしたりすることがあります。

  • 相手の勢いに押されて「慰謝料請求は諦めるので許してほしい」と泣き寝入りする
  • 感情的になって暴言を吐き返し、相手に逆に「脅迫された」と証拠を取られる
  • 連絡先をすぐにブロックして証拠を残さず、相手を刺激してしまう

まずは冷静になり、法的な防衛策を講じることが何よりも重要です。

3. 被害を守るための具体的な4つのステップ

実際に「晒すぞ」と脅迫された場合、被害を守るために以下の手順で確実に行動を起こしてください。

  • ステップ1:脅迫の証拠を徹底的に保存する LINEの画面、マッチングアプリ内のメッセージ、SMS、通話の録音など、「晒す」「バラす」と脅されたやり取りのすべてをスクリーンショットや音声データとして残してください。メッセージが削除されないよう、クラウドへのバックアップも有効です。

  • ステップ2:警察へ被害を相談する(警察通報) 悪質な脅迫やつきまとい行為がある場合、最寄りの警察署(生活安全課など)に相談し、被害届の提出や警告(ストーカー規制法や軽犯罪法、脅迫の観点からの指導)を要請することができます。証拠があることで警察も迅速に動きやすくなります。

  • ステップ3:個人情報の自己防衛と周囲への対策 SNSの公開範囲を非公開(鍵アカウント)にするなど、万が一のネット上の嫌がらせに備えて防衛策を講じます。万が一職場に連絡があった場合に備え、事前に信頼できる上司や人事へ「悪質なストーカー被害・ネット荒らしに遭っている」と伝えておくことも有効な防衛策です。

  • ステップ4:弁護士による即時警告・示談交渉の依頼 個人間でやり取りを続けると、逆恨みによるネット拡散のリスクが消えません。弁護士の名義で内容証明郵便等を送付し、「これ以上の脅迫行為や名誉毀損行為は直ちに差し止める。違反した場合は刑事告訴および損害賠償請求を行う」と厳重に警告することで、相手を沈静化させ、法的な解決へと導くことができます。

まとめ:独身偽装男の脅しに屈せず、法的手続きで安全な解決を

マッチングアプリでの独身偽装や不貞行為の隠蔽工作として行われる「ネットや職場への暴露」という脅迫は、被害者を精神的に追い詰めて泣き寝入りを強要する卑劣な手段です。相手の言葉に屈して要求を呑んでしまうと、さらなる要求をエスカレートさせたり、精神的な負担を長期化させたりする原因になりかねません。

ご自身の平穏な日常と尊厳を守るためには、脅迫メッセージや通話履歴などの客観的証拠を確実に保全した上で、警察や弁護士といった専門機関を介して毅然とした法的措置をとることが最も確実な解決策となります。一人で抱え込まず、早めに法的サポートを検討することをお勧めします。

弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

TOP