独身と偽られて交際していたところ、突然相手の妻から慰謝料請求の通知が届くケースがあります。こちらにも言い分がある中で、相手の妻と「お互いに一切の金銭請求をしない(ゼロ和解)」という条件で示談することに、どのようなメリットがあるのか疑問に思う方も少なくありません。
相談者様からのご質問(Q&A)
【ご相談内容】 独身だと聞いて交際していた男性に妻がいることが発覚し、その妻から慰謝料請求の通知が届きました。私は騙されていた被害者であり、相手の男性に対して貞操権侵害や精神的苦痛に基づく慰謝料を請求したい気持ちがあります。しかし、弁護士から「相手の妻とはお互いに金銭を請求し合わない『ゼロ和解』を目指すのが有効」とアドバイスを受けました。1円もお金をもらえないのに、なぜそんな和解をするメリットがあるのでしょうか?(30代・女性)
ご相談ありがとうございます。独身と偽られて交際させられていた状況を振り返ると、納得がいかないお気持ちや、相手の男性およびその妻に対して請求したいお気持ちは痛いほどよく分かります。
しかし、このような状況下において、相手の妻と「ゼロ和解(相互に金銭請求をしないこと)」を合意することには、非常に大きなメリットが存在します。主なメリットとして以下の点が挙げられます。
- 1円も慰謝料を支払わずに不貞請求を完全消滅させられること
- 泥沼の裁判トラブルや精神的ストレスから速やかに解放されること
- さらなる時間的・金銭的コストの発生を防ぐこと
それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。
メリット1:1円も支払わずに不貞請求を完全消滅させられる
相手の妻からの請求に対して、もしこちらに不利な事情(肉体関係の存在など)が少しでも認められる場合、裁判や交渉次第では高額な慰謝料の支払いを命じられるリスクがあります。
ゼロ和解の最大のメリットは、ご自身が相手の妻に対して1円も慰謝料を支払うことなく、法的トラブルを終了させられる点にあります。支払義務をゼロにできることは、経済的な防御として最も確実で効果的な結果と言えます。
メリット2:泥沼の裁判トラブルや精神的ストレスから解放される
不貞請求を巡る紛争が裁判に発展した場合、答弁書の作成や証拠の提出、期日への出頭など、プライベートな問題に長期間縛られることになります。また、相手の妻からの激しい追及や、終わりの見えない話し合いは、想像を絶する精神的ストレスを伴います。
ゼロ和解によって早い段階で合意書(示談書)を交わせば、これ以上泥沼のトラブルに巻き込まれることなく、日常の平穏を速やかに取り戻すことが可能です。
メリット3:弁護士費用やリスクを含めたトータルコストを抑えられる
相手に対してこちらからも慰謝料を請求(反訴や別途の損害賠償請求)することは法的には可能ですが、相手の男性に支払い能力が乏しい場合や、裁判に要する弁護士費用・時間的コストを考慮すると、回収できる金額よりもコストの方が大きくなってしまうケースが多々あります。
「これ以上、余分なお金や時間を消耗したくない」という観点から見ても、ゼロ和解は非常に合理的な選択肢となります。
独身偽装トラブルにおけるゼロ和解の総括
独身と偽られて不貞関係を強いられた側にとって、納得がいかない部分は多々存在しますが、法的なリスクヘッジと精神的平穏の早期回復を最優先に考えるならば、「ゼロ和解」は非常に強力な解決手段です。
ゼロ和解を進める上では、口頭での約束ではなく、必ず書面(示談書・和解契約書)の形で残すことが極めて重要です。後々になって「やっぱりお金を払ってほしい」「約束が違う」と蒸し返されないよう、専門家のサポートを受けながら「今後一切の金銭請求を行わないこと(清算条項)」を明記した法的効力のある合意書を締結するようにしましょう。