独身と偽って交際していた相手から貞操権を侵害されたとして慰謝料を請求しようとしたところ、相手が突然「急遽、海外赴任が決まった」「もうすぐ日本を出国する」と言い出し、連絡を断とうとするケースがあります。
このような場合、相手に海外へ逃げられてしまうと、日本国内にある資産の差し押さえが難しくなるのではないかと不安を感じる方も多いでしょう。
1. 海外逃亡を企てる相手に対する緊急の法的手続
相手が海外へ行ってしまうと、日本の裁判所の管轄や送達の手続が複雑になり、慰謝料の回収が極めて困難になります。そのため、相手が出国する前に国内の資産を凍結させる法的な措置が不可欠です。
ここで有効となるのが「仮差し押さえ(保全処分)」という手続です。
仮差し押さえとは、裁判で正式な判決が出る前に、相手が財産を隠したり処分したりすることを禁じる暫定的な処分のことです。これにより、相手の銀行口座や給与、不動産などの動産・不動産をあらかじめ縛り付けることができます。
2. 国内にある主な差し押さえ対象資産
相手が海外赴任を控えている場合、日本国内に残されている資産を迅速に特定し、仮差し押さえの申し立てを行う必要があります。主な対象となる資産は以下の通りです。
・銀行口座(給与振込口座や貯蓄口座) ・勤務先から支払われる給与や退職金 ・所有している不動産や車両
特に給与や銀行口座を仮差し押さえできれば、相手にとっても生活や出国準備に大きな支障が生じるため、早期の話し合いや慰謝料の支払いに応じざるを得なくなるケースが多くあります。
3. スピードが命!出国前に動くためのポイント
仮差し押さえの手続を行うには、相手が本当に海外へ出国しようとしている事実や、このままでは慰謝料の回収が不可能になるという「保全の必要性」を裁判所に疎明(証明)しなければなりません。
相手から提示された海外赴任の辞令のコピー、メールやチャットでの出国予告、航空券の予約画面といった証拠が手元にある場合は、速やかに弁護士へ提供してください。相手が姿をくらましてしまう前に、泣き寝入りせず適切な法的手段を講じることが、適正な慰謝料回収を実現するための最大のカギとなります。