独身であると偽り、さらに「婚姻届」まで偽造して相手を信じ込ませる行為は、単なる恋愛トラブルの範疇を超えた悪質な違法行為です。こうした「独身偽装」に加えて「偽の婚姻届」を渡されたという深刻なご相談が寄せられます。
偽の婚姻届を渡す行為は犯罪か?
相手が「すでに婚姻届を書いたから」と偽造した書類を渡す行為は、刑法上の有印私文書偽造罪および同行使罪にあたる可能性が非常に高いと言えます。
婚姻届は、戸籍の記載という公的な事務に直接関わる文書です。たとえ相手が「あなたと結婚するつもりだ」と信じ込ませるための小道具として作成したものであっても、法的には他人の名義を騙ったり、実在しない内容を真実であるかのように装って作成したりする行為は犯罪です。
具体的には以下のリスクが考えられます。
- 刑法第159条(私文書偽造等):行使の目的で、他人の印章もしくは署名を使用して文書を偽造した場合、3ヶ月以上5年以下の懲役に処される可能性があります。
- 民事上の不法行為:貞操権侵害として、多額の慰謝料請求の対象となります。
貞操権侵害と高額慰謝料
独身であると偽って交際し、性的な関係を持つことは貞操権侵害にあたります。さらに、偽の婚姻届を渡すという行為は、相手の結婚に対する真剣な期待を著しく裏切るものであり、悪質性が極めて高いと判断されます。
裁判において、このような行為は「精神的苦痛が甚大である」と評価され、通常よりも高い慰謝料が認められるケースが少なくありません。
被害に遭われた方が準備すべきこと
もし相手から偽の婚姻届を渡されている場合、まずは冷静に証拠を確保することが重要です。
- 受け取った「偽の婚姻届」の現物(コピーや写真も含む)を保管する。
- 相手が独身であると主張していたメッセージ(LINEの履歴、メール、SNSのやり取りなど)。
- 婚姻届を渡された際の状況を記録したメモや、録音データ。
特に、相手が「婚姻届を提出する」と約束していたにもかかわらず、実際には既婚者であった場合は、相手の配偶者から不当な請求を受けるリスクについても警戒が必要です。相手が既婚者であると知らずに交際していた場合、あなたには不貞の故意がないため、原則として法的責任を負うことはありません。
まとめ
偽の婚姻届を渡すような相手は、自身の保身のために嘘を重ねる傾向が強く、被害者が一人で対応するのは精神的にも大きな負担となります。独身偽装や偽の婚姻届による貞操権侵害の被害に直面したときは、早い段階で法的な証拠を固め、正確なアプローチで慰謝料請求や法的責任の追及を行うことが重要です。泣き寝入りせず、専門家のサポートを検討してください。