独身偽装交際の末にトラブルとなり、相手の妻から突然不貞訴訟を起こされてしまうケースがあります。裁判が始まると、一括での支払いが経済的に難しいというお悩みを抱える方も少なくありません。
裁判上の和解における分割払いの可否と、目指すべき方針について解説します。
裁判上の和解での分割払いは可能です
相手の妻から不貞慰謝料を請求され、裁判手続きの中で和解を選択する場合、和解金(解決金)の分割払いでの合意は実務上可能です。
裁判上の和解は、当事者双方が歩み寄って合意を作る手続きです。そのため、「一括での支払いは困難だが、毎月一定額であれば確実に支払う」という条件を和解条項に盛り込むことで、裁判所に和解調書として認めてもらうことができます。
分割払いに際しては、主に以下のような取り決めを和解条項に記載します。
- 各回の支払金額と支払期日
- 振込先の口座情報
- 期限の利益喪失条項(何回か支払いを怠った場合、残額を一括で支払うというペナルティ)
分割払いの合意における注意点
分割払いを選択する場合、期限の利益喪失条項には十分な注意が必要です。この条項があると、例えば「2回連続で支払いを遅滞した場合、残りの金額を一括して直ちに支払わなければならない」といった義務が生じ、場合によっては強制執行の申し立てをされるリスクが高まります。そのため、ご自身の経済状況に照らして、確実に履行できる現実的な金額とスケジュールで合意することが不可欠です。
最優先で目指すべきは「支払いゼロ」の獲得
分割払いの合意は裁判上の和解において技術的に可能ですが、最初から「分割払い」を前提に交渉を進めるべきではありません。
最優先で目指すべきなのは、「支払いゼロ(請求の棄却または相手方の請求放棄)」です。
- 相手から「独身だと聞いていた」という独身偽装の事実を証明する証拠の精査
- 貞操権侵害や不貞行為における法律上の責任の有無の精査
- 相手の請求に対する法的な反論の構築
これらを徹底的に行い、そもそも慰謝料を支払う義務がないこと(無過失)を主張します。安易に「分割なら払えるから和解しよう」と妥協してしまうと、本来支払う必要のないお金を支払う結果になりかねません。
まとめ
相手の妻から不貞訴訟を起こされた場合、和解による分割払いの合意自体は裁判上可能です。しかし、ご自身の置かれた状況において本当に支払い義務があるのかを見極めることが先決となります。独身偽装などの事情がある場合は、安易な妥協をせず、法的な根拠に基づいた適切な防御策を講じることが重要です。