独身を偽って交際し、その後不貞行為が発覚した場合、相手方に対して慰謝料を請求することが可能です。しかし、相手が「近々退職金をもらって辞める」と言い出した場合、慰謝料の支払いを踏み倒されるのではないかと不安に感じる方も少なくありません。
退職金は差し押さえの対象になるのか
結論から申し上げますと、勤務先から支給される退職金受給権も、法律上の差し押さえ対象となります。
民事執行法において、給与や退職金などの債権は「差押禁止債権」の範囲が定められていますが、退職金については、支給額の4分の1に相当する部分を差し押さえることが可能です。
差し押さえの手続きと注意点
退職金の差し押さえを行うためには、以下のステップを踏む必要があります。
- 慰謝料請求の確定(債務名義の取得):裁判での勝訴判決や、強制執行認諾文言付きの公正証書が必要です。
- 勤務先の特定:相手が現在勤務している会社名と所在地を把握している必要があります。
- 裁判所への申し立て:管轄の地方裁判所に「債権差押命令」の申し立てを行います。
特に注意すべき点は、タイミングです。退職金は、会社が支払いを決定してから実際に支払われるまでの期間が非常に短いケースが多いです。会社に送達される前に退職金が本人に支払われてしまうと、差し押さえが空振りに終わるリスクがあります。
相手の配偶者からの請求と法的リスクへの備え
また、独身偽装交際が発覚した際、相手の配偶者から「不貞行為の慰謝料」として予期せぬ請求を受けるケースがあります。
もし相手が独身であると信じ込ませるための巧妙な工作があった場合、あなた自身も「貞操権侵害」の被害者としての立場があります。この場合、相手からの不貞慰謝料請求や自身の法的立場を整理するため、相手方本人に対する慰謝料請求権の行使とあわせて慎重な交渉が重要です。
専門家への相談を推奨する理由
退職金の差し押さえは、法的な要件を満たすだけでなく、相手の勤務先とのやり取りを含むため、非常に専門的な知識を要します。
- 差し押さえのタイミングを逸しないためのスピード感
- 予期せぬトラブルや相手からの請求に対する適切な防御策
- 相手の資産状況や勤務先情報の正確な把握