【確実に慰謝料を回収するための弁護士の活用】相手の取引先や口座情報を特定するためには、弁護士会照会や財産開示手続などの法的アプローチが不可欠です。財産隠しを防ぎ、示談交渉から強制執行までをスムーズに進めるために、不倫慰謝料回収の実績が豊富な弁護士へ早めにご相談ください。
不倫の慰謝料を請求した際、相手が支払いに応じないため裁判を起こし、勝訴判決や和解調書を得たとしても、相手が「自分はフリーランスだから会社員のような給料はない。だから差し押さえなんてできない」と言い逃れをしようとするケースがあります。
会社員であれば勤務先を特定して給与の一部を差し押さえる(給与の差押え)のが王道ですが、フリーランスや個人事業主の場合は「毎月の定額給与」という形をとっていないため、この手口で支払いを免れようとする人が少なくありません。
しかし、これは法律上の大きな誤解です。給与がなくても、フリーランス特有の資産や債権をターゲットにすることで、強制執行を行うことは十分に可能です。 本記事では、フリーランスの不倫相手から確実に慰謝料を回収するための差し押さえ手法について、夕陽ヶ丘法律事務所の弁護士が詳しく解説します。
フリーランスに対する強制執行の基本
裁判で勝訴しても相手が自主的に慰謝料を支払わない場合、債権者(あなた)は裁判所に強制執行(差押え)の申し立てを行うことになります。
会社員の場合は、勤務先から支払われる「給料・賞与」が最大のターゲットになります。民事執行法により、給料の場合は原則として手取り額の4分の1(1頭あたり年間標準報酬などの制限を超えた部分は3分の2)までを毎月継続的に差し押さえることができます。
一方、フリーランス(個人事業主)には、このような「毎月の決まった給与」はありません。そのため、会社員と同じ感覚で「給与の差押え」をしようとしても、対象が存在しないため不可能です。
だからといって「差し押さえる財産がないから諦めるしかない」と諦める必要は一切ありません。フリーランスには、事業を行っているからこそ存在する別の「お金の出入り口」や「資産」があります。それらを正確に把握し、ピンポイントで差し押さえを実行すればよいのです。
フリーランスから差し押さえができる3つのターゲット
フリーランスの不倫相手から慰謝料を回収するために、具体的にどのような財産を差し押さえることができるのでしょうか。主要な3つのターゲットを解説します。
- 取引先に対する売掛金(報酬請求権)
- 事業用およびプライベートの銀行口座
- 自動車、不動産、その他の動産
それぞれの詳細について見ていきましょう。
1. 取引先に対する売掛金(報酬請求権)
フリーランスの最大の収入源は、企業や個人事業主などの「取引先」から支払われる業務委託料や成果報酬です。これらは法律上、「売掛金債権」と呼ばれます。
不倫相手がどこかの企業と継続的に取引をしている場合、その企業に対して将来支払われるはずの報酬を差し押さえることができます。これを裁判所に申し立てると、裁判所から相手の取引先に対して「今後、相手に支払う報酬は本人に渡さず、こちらの裁判所に支払ってください」という命令(債権差押命令)が送達されます。
取引先としては、裁判所からの命令を無視して本人に報酬を支払うわけにはいかないため、結果としてあなたの口座に直接お金が振り込まれる、あるいは裁判所を通じて回収が実現します。フリーランスにとって、主要な取引先に「裁判所から差し押さえの通知が届く」という事態は社会的信用に関わるため、この手続きを進めることで、慌てて一括払いに応じてくるケースも多々あります。
2. 銀行口座(普通預金・当座預金)
フリーランスであっても、仕事の報酬を受け取ったり生活費を決済したりするための「銀行口座」を必ず持っています。売掛金と同様に、相手名義の銀行口座を特定して差し押さえることが可能です。
口座の差し押さえが成功すると、その時点で口座内にある預金残高が強制的に引き出され、慰謝料の支払いに充てられます。
ただし、銀行口座を差し押さえるためには、原則として「どこの銀行の、どの支店にある口座か」を特定しなければなりません。相手がメインで使っている銀行が分かっていれば、その口座をピンポイントで差し押さえます。もし正確な支店名まで分からない場合であっても、弁護士会照会(23条照会)などの法的手続を用いることで、相手の口座情報を調査できる場合があります。
3. 自動車、不動産、価値のある動産
現金や債権だけでなく、相手が所有している形のある財産を差し押さえることも有効です。
特にフリーランスの場合、仕事や移動のために自動車を所有しているケースがよく見られます。自動車にローンが残っておらず、相手の単独名義であれば、裁判所に申し立てて車を差し押さえ、競売にかけて換金(現金化)することが可能です。
また、自宅に高級家具や美術品、パソコンなどの価値のある動産があれば、執行官に自宅へ同行してもらい、それらを差し押さえる「動産執行」という手段もあります。動産執行そのもので多額の回収ができなくとも、自宅に執行官が来るというプレッシャーは、相手に大きな心理的ダメージを与えます。
フリーランスの財産を特定する難しさとその対策
ここまで「売掛金や口座を差し押さえればよい」とお伝えしましたが、実務上最大のハードルとなるのは「相手の取引先や口座情報をどうやって特定するか」という点です。
会社員であれば、源泉徴収票や過去の給与明細、あるいはSNSや名刺などから勤務先が比較的容易に判明します。しかし、フリーランスの場合は外部から取引先やメインバンクが見えにくいため、情報が不足しがちです。
ここで有効となるのが、法的な調査手段や手続きです。
- 財産開示手続の利用: 裁判で勝訴したにもかかわらず支払わない場合、裁判所を通じて相手を呼び出し、保有している財産(口座や売掛金など)について陳述させる法的手続です。正当な理由なく出頭しなかったり虚偽の陳述をしたりした場合には刑事罰の対象となるため、大きなプレッシャーになります。
- 第三者からの情報提供手続: 裁判所の命令や市区町村、日本銀行、金融機関、登記所などに対して、相手の財産に関する情報(預貯金口座の情報や勤務先・取引先に関する情報)を照会できる制度です。これにより、個人の力では分からない口座情報をスムーズに割り出すことができます。
- 弁護士による調査(弁護士会照会): 弁護士に依頼している場合、弁護士法に基づく照会制度を利用して、携帯電話会社や金融機関、取引先などに必要な情報を照会し、財産のありかを特定することが可能です。
「相手がフリーランスだから分からないだろう」と油断していると、こうした法的な網をかいくぐることはできません。専門の弁護士が介入することで、隠された資産や取引先をあぶり出すことが十分に可能です。
「お金がない・稼いでいない」と嘘をつかれた場合の対処法
不倫相手から「自分はフリーランスで、最近は仕事が全くなくて無収入だ」「差し押さえるお金なんて1円もない」と主張されるケースも非常によくあります。
しかし、口頭で「お金がない」と言われたからといって、それを真に受ける必要はありません。本当に収入がないのか、それとも支払いを逃れるための虚偽の言い訳なのかは、客観的な証拠や生活状況から見極める必要があります。
例えば、SNSなどで豪華な生活や旅行の様子を投稿していたり、高級車に乗っていたりする場合、それは資力がある強力な証拠になります。また、実際に売掛金があるにもかかわらず「取引先を変えてごまかそうとする」悪質なケースもありますが、こうした財産隠しの兆候が見られる場合も、早急に法的処置をとることで差し押さえを間に合わせることが可能です。
相手がどのような働き方をしていようとも、法的に確定した慰謝料の支払い義務がある以上、その責任から逃れることはできません。
まとめ:フリーランスの不倫相手からの回収は弁護士にご相談を
不倫相手が「フリーランスだから差し押さえできる給料はない」と主張してきたとしても、それは決して泣き寝入りする理由にはなりません。
給与の差押えができなくとも、取引先からの売掛金や事業用・プライベートの銀行口座、自動車や動産など、差し押さえるべき資産の選択肢は数多く存在します。
ただし、フリーランス特有の資産を正確に特定し、強制執行を成功させるためには、法的な専門知識と適切な裁判所手続きのノウハウが不可欠です。「相手の取引先が分からない」「本当に回収できるのか不安」とお悩みの方は、一人で抱え込まず、男女トラブルや強制執行の実績が豊富な法テラスや弁護士会等の公的相談窓口へご相談ください。あなたの権利を守り、確実な慰謝料回収を全力でサポートいたします。