【弁護士による安全な交渉と示談のポイント】ただし、本人の承諾なしに親へ連絡するとプライバシー侵害や名誉毀損等の法的トラブルに発展する恐れがあります。必ず本人の同意を得た上で、減額リスクを防ぎ確実な回収を行うために、示談書の作成を含めて弁護士に代理交渉を依頼することをおすすめします。
不倫相手が学生であることを理由に慰謝料支払いを免れることはできない
配偶者の不倫が発覚し、いざ慰謝料を請求しようとしたところ、相手が大学生や専門学校生などの学生であり、「自分には収入がない」「アルバイト代で貯金もないから払えない」と開き直るようなケースは少なくありません。
まず大前提として法律上のルールを確認しておきますが、たとえ相手が学生であっても、既婚者と不貞行為(肉体関係)に及んだという事実は、民法上の不法行為に該当します。したがって、「学生だから」「お金がないから」という理由だけで、慰謝料の支払い義務が消滅することはありません。
どれほど「払えない」と主張されたとしても、損害賠償義務そのものがなくなるわけではないため、法的には請求する権利がしっかりと存在します。しかし、実務上、実際に現金を手元に持っていない相手から強制的に回収することは困難を極めます。そこで検討すべき現実的な選択肢の一つが、「親御さんへの打診(立て替え払いの交渉)」となります。
親へ連絡する際の最大の注意点:無断連絡のリスク
「お金がないなら親に払ってもらえばいい」と考える方は非常に多いですが、ここで絶対にやってはいけないのが、本人の承諾を得ずに親の連絡先を調べ、いきなり実家へ電話をかけたり内容証明郵便を送りつけたりすることです。
実務において、第三者(たとえ不倫相手の親であっても)に対して、本人の不貞の事実やプライベートな秘密を勝手に暴露する行為は、以下のような法的リスクを伴います。
- プライバシー権の侵害や名誉毀損に問われるリスク
- 「脅迫された」「嫌がらせを受けた」として、逆に相手側から慰謝料を請求されるリスク
- 感情的な反発を買い、話し合いのテーブルにすらついてもらえなくなるリスク
特に相手が成人(18歳以上)している場合、法律上は独立した大人として扱われます。親に返済義務が最初からあるわけではないため、無断で連絡しても「うちの子のしたことだから関係ない」「勝手にしてくれ」と拒絶されるか、弁護士を立てられてトラブルが泥沼化する原因になり得ます。
本人を説得し、親御さんからの任意による「立て替え払い」を引き出す手順
不倫相手の親にコンタクトを取る場合は、正当な法的手続きと段階を踏む必要があります。弁護士が実務で行っている具体的な手順は以下の通りです。
1. 本人に支払義務の重さと法的リスクを自覚させる
まずは、不倫相手本人に対して、内容証明郵便の送付や裁判を起こした場合のペナルティを説明します。学生であっても、将来的に就職した際の差し押さえや、裁判記録が残ることの不利益を冷静に伝え、「このまま逃げ切ることはできない」という現実を認識させます。
2. 本人の意志で親に相談・報告させる
「自分では全額を支払う資力がないため、親に頼み込んで立て替えてもらうほかない」という状況を本人に自覚させます。その上で、「あなた自身の口から親御さんに今回の不貞の事実と慰謝料の件を話し、立て替えの相談をしなさい」と促します。
ここで重要なのは、あくまで「本人の承諾および本人経由での報告」という形をとることです。
3. 親御さんを交えた三者間での合意書締結
親御さんが事情を把握し、慰謝料の立て替えや分割払いに応じる姿勢を示した段階で、必ず書面(示談書・合意書)を交わします。この際、親御さんが連帯保証人として署名・捺印する形にすることで、確実に回収できる仕組みを構築します。
親御さんとしても、我が子の将来に前科や裁判沙汰という汚点を残したくないという思いから、結果的に一括で支払いに応じるケースも少なくありません。
どうしても親が支払いに応じない、または連絡が取れない場合の対処法
もし、本人が親に相談することを頑なに拒んだり、親御さんが「成人した子供の責任だから一切関知しない」と突っぱねたりした場合はどうすればよいでしょうか。
このようなケースでは、親に対する請求を諦めざるを得ない場合があります。しかし、だからといって諦める必要はありません。以下のような法的手続きに移行します。
- 財産調査と給与差し押さえの準備:アルバイト先が特定できている場合は、将来的な給与の差し押さえを視野に入れます。
- 公正証書の作成を前提とした分割交渉:今すぐの一括払いが無理であっても、将来就職した後に確実に支払う旨を盛り込んだ、法的効力の高い公正証書を締結します。
- 弁護士を通じたプレッシャーの強化:個人間の交渉では相手の親も不信感を抱きがちですが、弁護士が代理人として法的な正当性を主張しながら交渉することで、誠実な対応を引き出しやすくなります。
まとめ:学生の不倫相手への請求はプロの法律家への相談が近道
不倫相手が「学生でお金がない」と主張した場合、感情的になって直接親に詰め寄ることは、かえって事態を悪化させる危険性があります。
法的な権利を正しく行使し、相手の自発的な承諾を取り付けた上で親御さんからの立て替えを引き出すには、高い交渉力と法的な知識が不可欠です。
公的な相談機関や専門窓口では、学生特有の資力不足の事情を考慮した現実的な回収プランの策定から、示談書の作成・親御さんとの交渉まで、数多くの男女トラブルを解決に導いてまいりました。一人で悩まず、まずは一度ご相談ください。