夫婦関係修復・離婚・財産分与

誓約書の必須項目③:「スマホ・SNS・位置情報の開示と共有」

大阪弁護士会所属 弁護士 井上正人 監修

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 弁護士法人 夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、民法第709条(不法行為)、第719条(共同不法行為)、第770条(離婚原因)の規定および多数の不倫・浮気慰謝料請求・減額交渉の実務実績に基づきわかりやすく解説しています。

Q 不倫の再発防止として誓約書にスマホや位置情報の開示を盛り込みたいのですが、プライバシー侵害で無効になりませんか?法的効力を持たせる書き方のコツを教えてください。
A 【法的有効性と記載のポイント】スマホのパスコード開示やGPS等による位置情報の共有は、自由意志に基づく合意であり、暴行や脅迫による強制でなければ公序良俗に反せず有効となります。ただし、プライバシーの限度や閲覧のルール、違反した際の違約金ペナルティを具体的に規定することが不可欠です。
【弁護士による示談書作成のメリット】口頭の約束では再発を防ぎきれず証拠も残りません。法的に不備のない示談書・誓約書を弁護士に作成・交渉してもらうことで、将来の不貞再発を防ぐ強い抑止力となり、被害配偶者の精神的平穏と正当な権利を確実に守ることができます。

不倫や浮気が発覚した際、夫婦関係の修復を選ぶならば、二度と裏切らないための再発防止策を形に残すことが不可欠です。口頭での「もう二度と連絡を取りません」という約束だけでは、再び同じ過ちが繰り返されてしまうリスクが非常に高いといえます。

再発防止の切り札となるのが、法的効力を持たせた「誓約書(示談書)」の作成です。その中でも、配偶者の行動を透明化するためのスマホ・SNS・位置情報の開示と共有は、被害を受けた配偶者の精神的平穏を取り戻すために欠かせない必須項目の一つです。

この記事では、夕陽ヶ丘法律事務所の法律ライターが、誓約書にスマホ開示や位置情報共有を盛り込む際のポイントや、法的有効性を高めるための実務上の注意点を分かりやすく解説します。

なぜ誓約書に「スマホ・SNS・位置情報の開示」が必要なのか

不倫・浮気が発覚した当初、配偶者に対して「信じたいけれど、また隠れて連絡を取っているのではないか」という不信感や不安が消えないのは当然のことです。この心理的負担は、日常生活を送る上でも大きなストレスとなります。

誓約書にスマホやSNSの閲覧、位置情報の共有を義務付ける規定を盛り込むことには、以下のような重要な意義があります。

  • 再発抑止の効果:いつでも監視・確認される環境にあるという事実自体が、不貞相手への連絡を思いとどまらせる強力な抑止力となります。
  • 不安の軽減:被害配偶者が抱える「また裏切られるかもしれない」という恐怖心や疑念を和らげ、平穏な日常を取り戻すための安心材料になります。
  • 証拠の事前確保:万が一、再び不信な行動が見られた際、迅速に事実確認を行うための法的な根拠や手順をあらかじめ定めておくことができます。

具体的な記載内容と実務的なポイント

誓約書にスマホ・SNS・位置情報の開示を盛り込む場合、単に「スマホを見せること」と抽象的に書くだけでは、後々「そんな約束はしていない」「範囲が曖昧だ」といったトラブルに発展するおそれがあります。

法的実務の現場では、以下のような具体的な内容を明確に条文化することが推奨されます。

1. スマートフォンおよび各種SNSのパスコード開示

スマホ本体のロック解除番号(パスコード)の共有や、メッセージアプリ(LINE、Instagram、Xなど)へのアクセス権を認める条項を設けます。

  • 定期または不定期の確認:配偶者の求めがあった場合、いつでも隠し事なく端末を提示すること。
  • アカウントの共有・閲覧:特定のSNSや連絡アプリについて、ログイン状態を維持し、履歴の削除を行わないこと。
  • 連絡手段の制限:不貞相手の連絡先(電話番号、アカウントIDなど)をすべて削除し、ブロックした上で、今後一切の接触を持たないこと。

2. GPS等による位置情報の共有

スマートフォンに搭載されている位置情報共有機能(Appleの「探す」、Googleマップ、専用のGPSアプリなど)や、AirTagなどの位置特定デバイスを用いた現在地の共有を義務付けます。

  • 常時共有の設定:位置情報アプリを常に有効にし、電源を切ったり位置情報を偽装したりしないこと。
  • 移動履歴の確認:必要に応じて過去の移動履歴の開示に応じること。
  • 正当な理由なき変更の禁止:勝手にアプリをアンインストールしたり、設定を変更したりしないこと。

誓約書に盛り込む際の注意点と法的リスク

スマホの開示や位置情報の共有は強力な手段である一方、法的な観点や夫婦間のプライバシーとの兼ね合いにおいて、いくつか注意すべきポイントが存在します。

強要や脅迫とみなされないための工夫

配偶者を精神的に追い詰め、無理やり脅すような形で書かせた誓約書は、後日「脅迫されて署名させられた」として無効を主張されるリスクがあります。あくまで夫婦双方が話し合い、自発的な意思に基づいて合意した形をとることが重要です。

過度なプライバシー侵害にならないための配慮

すべてを完全に監視・制限する内容は、かえって夫婦関係の完全な破綻を招いたり、人権侵害として法的正当性が認められにくくなったりする場合があります。「不貞行為の再発防止に必要な範囲内」に限定し、例えば業務上の連絡やプライベートな最低限の領域に配慮した文面設計が求められます。

違反した際の「ペナルティ(違約金)」の設定

これらの開示命令に違反した場合や、正当な理由なく拒否した場合のペナルティをあらかじめ定めておくことで、誓約書の実効性が飛躍的に高まります。例えば、「正当な理由なくスマホの提示を拒否した場合、違約金として〇〇万円を支払う」といった条項をセットで記載するのが実務上の定石です。

形骸化させないための運用と弁護士のサポート

誓約書を作成しただけで安心してしまい、実際の運用がおろそかになってしまうケースも少なくありません。約束が形骸化せず、しっかりと機能するためには、誓約書の条文を緻密に作成することが大前提となります。

インターネット上で見つかるテンプレートをそのまま流用した場合、個別の夫婦の状況や法的な要件を満たしておらず、いざという時に役に立たない可能性が高いといえます。

公的な相談窓口や弁護士会等では、ご相談者様1人ひとりのご事情や夫婦関係のゴール(修復か離婚か)に合わせた、オーダーメイドの誓約書作成を多数サポートしております。

「配偶者が本当に反省しているか形に残したい」「法的に有効で、かつ実効性のある誓約書を作りたい」「不貞相手との接触を完全に断たせたい」とお悩みの方は、ぜひ一度、法テラスや弁護士会等の公的相談窓口へご相談ください。専門家の知見を活かした的確なアドバイスとサポートで、あなたの平穏な未来を取り戻すお手伝いをいたします。

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弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、交通事故の賠償問題をはじめ、事業者様を狙う求人広告詐欺の被害救済やオフィス・テナント等の原状回復トラブルなど、不測の事態に直面した皆様の精神的・経済的なご負担を少しでも和らげ、正当な権利の実現と円満な解決へと導くためのサポートを徹底して行っています。

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