【注意点と弁護士のサポート】ただし、不倫に夢中で育児を放棄していた場合などは親権獲得が難しくなります。子どもにとって最善の環境を裁判所にアピールし、親権争いを有利に進めるためには、面会交流の取り決めや監護実績の立証について早期に弁護士へご相談ください。
配偶者の不倫(不貞行為)が発覚し、離婚を決意したとき、最も大きな争点となるのが子どもの親権です。
「あんな裏切り行為をした人間には、親権など絶対に渡したくない」 そう考えるのは、被害を受けた側として当然の感情です。
一方で、不倫をしてしまった側からも、「離婚は仕方ないとしても、子どもと離れ離れになるのは耐えられない。親権は自分が取りたい」という相談を数多くいただきます。
では、法律上、不倫をした側は親権を取ることができないのでしょうか。 今回は、離婚時の親権決定ルールと、不倫の事実が親権争いに与える影響について、夕陽ヶ丘法律事務所の弁護士が詳しく解説します。
1. 離婚時の親権決定における大原則「子どもの福祉」
日本の法律(民法)において、離婚時に未成年の子どもの親権者を決めなければならないと定められています。この親権者を決定する際、裁判所や法律が最も重視する判断基準が「子どもの福祉(子どもの利益)」です。
子どもの福祉とは、分かりやすく言えば「どちらの親が育てれば、子どもにとって心身ともに健やかで安定した成長につながるか」ということです。
したがって、親権の決定は「どちらが離婚の原因を作ったか(有責性)」を決める場ではありません。あくまで「今後、誰が子どもを育てるのがベストか」という視点から判断されます。
不倫の事実と親権の適性は原則として別問題
「不倫をした=親として失格」と感情的には結びつきやすいですが、法律の運用上、不倫をしたという事実と、日常の育児能力や愛情の深さは直結しないと判断されることが少なくありません。
例えば、配偶者に隠れて不倫をしていたものの、普段の育児は献身的にこなし、子どもから見て「優しく信頼できる親」であった場合、不倫をしたという理由だけで親権が否定されるわけではないのです。
2. 不倫した側が親権を取るために重視される具体的な判断要素
では、不倫をした側が親権を獲得するためには、どのような事情が考慮されるのでしょうか。裁判所や調停委員会は、以下のような要素を総合的に見て判断します。
- これまでの主たる監護実績(どちらが実際に育ててきたか)
- 子供の年齢および発育環境の継続性
- 今後の監護・教育能力(経済力、時間的余裕、親族のサポート体制)
- 子ども自身の意向(10歳以上の場合、特に重視される傾向)
- 兄弟姉妹を分けずに一緒に育てる必要性(きょうだい不分離の原則)
特に重要なのが「監護の継続性」です。これまで主に育児を担当してきたのが不倫をした側(主たる監護者)であり、子どもがその環境に慣れている場合、急に親権者をもう一方の配偶者(これまで育児に関与が薄かった側)に変更することは、子どもの精神的安定を損なうとして慎重に判断されます。
3. 不倫が原因で「親権を取れなくなる」ケースとは?
不倫をした側でも親権を取れる可能性がある一方で、不倫の「仕方」やその後の状況によっては、親権者として不適格とみなされ、親権を失うリスクが非常に高まるケースもあります。
以下のような事情がある場合は要注意です。
育児放棄(ネグレクト)を伴う不倫
不倫相手との交際に夢中になるあまり、子どもを長時間家に一人きりにしたり、食事を作与えなかったり、育児を完全に放棄していたようなケースです。これは「子どもの福祉」を著しく害するため、親権争いで極めて不利になります。
子どもの前での不倫相手との同居や連れ回し
子どもに不倫の事実を無理やり見せつけたり、不倫相手の自宅に子どもを頻繁に連れ回したり、あるいは家庭を顧みずに不倫相手の元へ家出を繰り返したりした場合も、親としてのモラルや情緒的安定性が疑われます。
別居時の子どもの連れ去り
離婚協議中に、一方的に子どもを連れて家を出た場合、その手法が強引であったり、子どもの生活環境を急激に破壊するものであったりすると、裁判所からの心証が悪くなり、結果として親権者としてふさわしくないと判断される原因になります。
4. 親権争いを有利に進めるためのポイントと注意点
ご自身が不倫された側であっても、あるいは不倫をしてしまった側であっても、親権を巡る争いは非常にデリケートかつ複雑です。感情論だけに終始すると、かえって泥沼化し、子どもに大きな負担をかけてしまいます。
不倫された側の対策
「不倫された被害者なのだから、当然に親権も取れるはずだ」と思い込んで準備を怠ると、相手が巧妙に育児実績をアピールしてきた場合に親権を奪われてしまうリスクがあります。 親権を譲りたくない場合は、「相手がこれまでどの程度育児に関与していなかったか」「不倫によって子どもがどのような悪影響を受けたか」を客観的な証拠や日々の記録をもって証明することが重要です。
不倫してしまった側の対策
まずは自身の不貞行為について真摯に反省しつつ、「子どもにとって自分が不可欠な養育者であること」を冷静に主張・立証する必要があります。子どもとの絆や、今後の具体的な生活設計・サポート体制を明確に示さなければ、裁判所や調停委員の信頼を得ることは難しいでしょう。
5. 夫婦間の話し合いがまとまらないときは弁護士にご相談を
離婚時の親権は、一度決めてしまうと後から変更することは極めて困難です。「子どもと離れたくない」「絶対に親権を渡したくない」という想いが強いからこそ、感情が衝突しやすく、当事者同士の話し合いは決裂しがちです。
公的な相談窓口や弁護士会等では、不倫・浮気問題に絡む複雑な離婚調停や裁判、親権を巡る法的紛争について、数多くの実績を有しています。
依頼者様とお子さまの将来にとって最善の解決策は何かを一緒に考え、法的な観点から的確なサポートを提供いたします。親権や離婚条件でお悩みの方は、ぜひ一度、法テラスや弁護士会の無料法律相談窓口のご利用をご検討ください。