【弁護士による示談書作成・公正証書化のサポートにより、確実な回収と心理的プレッシャーを与える効果が期待できます。】インターネット上のテンプレートや当事者間だけの合意では法的な不備が生じやすく、相手が音信不通になるリスクもあるため、弁護士に依頼して確実な執行文言を含めた公正証書をスピーディーに作成することが賢明です。
不倫・浮気の慰謝料請求において、パートナーの不貞行為に対する怒りや悲しみを乗り越えて、相手と示談の合意に至った際に見落としがちなのが「決まったお金が本当に最後まで支払われるのか」という問題です。
いくら示談書に「慰謝料として300万円を毎月5万円ずつ分割で支払う」と記載しても、それを単なる私的な書面(示談書や合意書)で交わすだけでは、途中で相手が支払いを止めてしまったときに大きなリスクを抱えることになります。
本記事では、不倫慰謝料の確実な回収に不可欠な「公正証書(強制執行認諾文言付き)」を作成する絶大なメリットと、その具体的な効力について、夕陽ヶ丘法律事務所の弁護士が詳しく解説します。
1. 不倫慰謝料の示談を「口約束」や「通常の私文書」で済ませる危険性
不倫をした側(配偶者または不倫相手)が「早くこの問題を終わらせたい」と謝罪し、慰謝料の支払いに応じることがあります。しかし、その際に以下のような形で示談を済ませるのは非常に危険です。
- 電話やLINEのメッセージ、口頭での約束のみで済ませてしまった
- インターネット上のテンプレートを流用し、当事者間だけで示談書にサインした
- 公正証書にせず、自宅で印刷した誓約書に署名・捺印をもらっただけ
このような状態のままで相手が途中で支払いを放棄した場合、直ちに相手の財産を差し押さえることはできません。支払いを強制するためには、まず裁判所に訴訟を提起し、勝訴判決を得る必要があるのです。
裁判には数ヶ月から半年以上の時間がかかり、弁護士費用や裁判費用といった新たな金銭的・精神的負担が発生します。最悪の場合、裁判をしている間に相手が財産を隠してしまうおそれさえあります。
2. 「公正証書」とは何か?その基本的な仕組み
公正証書とは、法律の専門家である「公証人」が、当事者の合意内容をもとに作成する公文書です。公証人は、裁判官や検察官などの法曹界で長年の経験を持つ法律のプロフェッショナルであり、全国の「公証役場」に配置されています。
当事者双方が公証役場に出向くか、弁護士などの代理人を通じて合意内容を伝え、公証人がその内容を法律的に正確な文面に落とし込んで作成します。
公文書である公正証書は、私文書(当事者間で作成した書面)とは比較にならないほど高い証拠力を持ちます。「言った・言わない」の水掛け論を防ぐことができるほか、後になって「脅されて書かされた」などの言い逃れを封じることが可能です。
3. 示談金を公正証書にする最大のメリット:強制執行認諾文言
公正証書を作成する最大のメリット、そして私文書の示談書と決定的に違う点は、「強制執行認諾文言(きょうせいしっこうにんだくもんごん)」を付与できる点にあります。
強制執行認諾文言とは
強制執行認諾文言とは、公正証書の中に「債務者(慰謝料を支払う側)は、本証書に記載された金銭債務を履行しないときは、直ちに強制執行に服することを承諾した」という旨の文言を記載することを指します。
この文言が入った公正証書があれば、万が一相手が慰謝料の支払いを怠った場合でも、裁判を起こすことなく、いきなり裁判所に「強制執行(差押え)」の申し立てを行うことができます。
即座に差し押さえられる対象
強制執行が実行されると、以下のような相手の財産が差し押さえられます。
- 給与・賞与:勤務先に対して、毎月の給与の一部(原則として手取り額の4分の1まで)を直接差し押さえ、自分の口座に振り込ませる
- 預金口座:相手が利用している銀行の口座を特定し、残高から未払い金を回収する
- 動産・不動産:自宅にある価値のある家財道具や、相手名義の土地・建物などを競売にかけて回収する
特に給与の差押えは、勤務先に裁判所からの通知が届くため、職場に不倫の事実や金銭トラブルを抱えていることが知られてしまうという強烈なプレッシャーを相手に与えます。「会社に知られたくない」という心理から、結果的に毎月の支払いが滞りにくくなるという二次的な抑止効果も非常に高くなります。
4. 分割払いのケースでは公正証書が絶対に不可欠
不倫の慰謝料は、数百万円という高額になることが多いため、一括払いが難しく「毎月5万円ずつの分割払い」で合意するケースが大部分を占めます。
分割払いを選択する場合、公正証書を作成しないリスクは極めて高くなります。なぜなら、分割払いは期間が長期間(数年単位)に及ぶため、途中で相手が仕事を辞めたり、連絡が取れなくなったり、支払いを忘れたりする可能性が十分に高まるからです。
もし最初の数ヶ月は支払われても、半年後に突然支払いがストップしたとき、公正証書がなければ、残りの全額を回収するために再び一から裁判を起こさなければなりません。
分割払いで示談をする場合は、「万が一、分割金を〇回以上怠ったときは、当然に期限の利益を喪失し、残金全額を一括して支払う」という条項(期限の利益喪失条項)を盛り込んだ公正証書を作成するのが鉄則です。
5. 公正証書を作成するための具体的な流れ
実際に不倫慰謝料の示談を公正証書にするためには、以下のような手順で手続きを進めます。
- 当事者間での大枠の合意:慰謝料の総額、支払い方法(一括または分割)、毎月の金額、支払い期限、口座情報、秘密保持義務、接触禁止条項などを決定します。
- 文案の作成と公証役場への申請:合意した内容をもとに公正証書の文案を作成し、管轄の公証役場に事前確認と予約を入れます(通常は弁護士が代理で行います)。
- 公証役場での署名・捺印:指定された日時に公証役場へ赴き、公証人の面前で内容を確認の上、署名・捺印を行います(代理人が出頭する場合は委任状が必要です)。
- 公正証書の交付:手数料を支払い、正本・謄本を受け取ります。
なお、当事者だけで公証役場に行こうとすると、相手が途中で面倒になって連絡を絶ってしまったり、法的に有効な文面を作れなかったりするトラブルが少なくありません。そのため、示談交渉の段階から弁護士に依頼し、公正証書の作成まで一括してサポートしてもらうのが最も確実かつスムーズです。
6. まとめ:確実な慰謝料回収のために弁護士にご相談ください
不倫・浮気の慰謝料請求において、最も避けるべきなのは「お金を払うと約束させたのに、途中で踏み倒されて泣き寝入りすること」です。
口頭の約束や、自分たちで作った不十分な示談書では、相手が不誠実な対応に出たときに法的効力が弱く、時間も費用も余分にかかってしまいます。
「強制執行認諾文言付き公正証書」を作成しておくことは、あなた自身の権利を守り、最後まで確実に慰謝料を回収するための最強の盾となります。
公的な相談窓口や弁護士会等では、慰謝料の金額交渉から、法的効力の高い示談書・公正証書作成のサポート、万が一の差押え手続きまで、依頼者様の精神的・金銭的負担を最小限に抑えるために全力でサポートいたします。不倫慰謝料の回収や示談書の作成でお悩みの方は、ぜひ一度法テラスや弁護士会の無料法律相談窓口のご利用をご検討ください。