故人が一人親方や個人事業主だった場合、税務署に対して保有個人情報開示請求を行うことで、過去の確定申告書(控え)を取得できます。雇用保険記録がない場合でも、この申告書は過去数十年分の職歴や当時の請負額を証明する強力な客観的証拠となり、最大1,300万円の国からの給付金や建材メーカーへの賠償金請求を有利に進めるために不可欠です。
【請求手続きと弁護士相談のメリット】
開示請求には、戸籍謄本など遺族であることを示す書類や故人の死亡の事実がわかる書類が必要です。ただし、保管期間や手続きに不安がある場合や、死亡後20年の除斥期間が迫っている場合は、証拠収集から訴訟・給付金請求手続きまでを専門家に一任できる弁護士の無料診断を活用することをおすすめします。
建設アスベスト被害における国の給付金や、建材メーカーに対する損害賠償請求を行う際、最も重要なハードルの一つとなるのが「被災者がどのような現場で、いつからいつまで働いていたか」という職歴の立証です。
会社員や雇用労働者であれば、雇用保険の被保険者記録や賃金台帳などで証明しやすい一方、一人親方や個人事業主として長年働いていた方の場合は、客観的な記録が残っていないケースが少なくありません。
このような場合に非常に有効な手段となるのが、税務署に対する「確定申告書の開示請求」です。ここでは、遺族が故人の過去の確定申告書を取得し、アスベスト給付金請求に活用するための具体的な手順と実務上のポイントを解説します。
なぜ確定申告書がアスベスト給付金請求に必要なのか
国に対する建設アスベスト給付金の支給要件や、建設会社・建材メーカーに対する損害賠償請求を認めさせるためには、アスベストに曝露した作業環境(屋内作業、粉じん飛散を伴う作業など)と、その期間を正確に証明する必要があります。
一人親方や個人事業主として独立して働いていた故人の場合、以下のような問題が生じることがよくあります。
- 雇用関係がないため、雇用保険記録や離職票が存在しない
- 取引先の倒産や廃業により、当時の注文書や請求書が残っていない
- 手元に控えの書類がほとんど保管されていない
このような状況であっても、税務署には過去の税務申告データが保管されている場合があります。故人が生前に提出していた確定申告書(青色申告決算書や収支内訳書を含む)を取り寄せることで、「どの地域の、どの元請け業者や施主の仕事をしていたか」「どの時期にどれほどの事業収入があったか」を裏付ける有力な証拠とすることができるのです。
税務署への保有個人情報開示請求の仕組み
故人の確定申告書を取得するには、個人情報の保護に関する法律に基づき、税務署に対して「保有個人情報開示請求書」を提出します。
通常の税務調査や私的な理由では他人の税務情報を取得することはできませんが、法律に基づく正当な請求権を持つ遺族であれば、故人の保有個人情報の開示を受けることが認められています。
請求できる人(請求権者)の範囲
基本的には、故人の法定相続人が請求権を持ちます。具体的には以下の順序や関係性が考慮されます。
- 配偶者
- 子ども(直系卑属)
- 両親や祖父母(直系尊属)
※相続人が複数いる場合でも、原則として単独で故人の情報の開示請求を行うことが可能です。
確定申告書の開示請求を行う具体的な手順
実際に税務署で手続きを進めるための流れは、以下の通りです。
1. 必要書類の準備
開示請求を行うにあたり、以下の書類を不備なく揃える必要があります。
- 保有個人情報開示請求書: 国税庁のホームページ等からダウンロード、または税務署の窓口で取得して記入します。
- 請求者の本人確認書類: マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど。
- 故人の死亡の事実および請求者との関係を証明する戸籍謄本等: 故人の死亡記載のある戸籍(除籍)謄本や、請求者との続柄が確認できる戸籍謄本一式。
- 手数料: 1件(対象文書の期間等による)につき一定の手数料(収入印紙)が必要です。
2. 請求先の税務署への申請
開示請求の宛先は、故人が生前に確定申告書を最後に提出していた管轄の税務署、あるいは現在の請求者の住所地を管轄する税務署となります。窓口に直接持参するか、郵送で提出することも可能です。
3. 開示決定と写しの受領
請求書を提出した後、税務署側での審査・検索作業を経て、通常は数週間から1ヶ月程度で「開示決定通知書」が届きます。その後、指定した方法(窓口受領または郵送)で、過去の確定申告書のコピー(開示実施)を受け取ることができます。
保存期間に関する重要な注意点
実務上最も注意しなければならないのが、税務署における確定申告書の法定保存期間です。
国税通則法や税務署の内部規定において、確定申告書の保存期間は原則として原則7年間と定められていることが多く、あまりにも古い年代(例えば30年前など)の申告書は、すでに税務署で廃棄されている可能性が高いと言わざるを得ません。
しかし、以下のようなケースでは例外的に古い資料が残っていることや、他の関連資料から事実を補強できる場合があります。
- 税務調査やその他の理由で長期にわたり保管されていたケース
- 故人が長年同じ税理士に依頼しており、税理士事務所側に当時の控えや帳簿が残っているケース
- 確定申告書の控えそのものがなくとも、銀行の通帳の入出金履歴や取引先の台帳から職歴の推認が可能なケース
「古いから無理だろう」と諦めてしまう前に、まずは手元にある通帳やメモ、古い手帳などを確認し、早めに専門家へ相談することが賢明です。
確定申告書の記載から職歴・作業実態を読み解く方法
無事に税務署から確定申告書の控え(特に青色申告決算書や白色申告の収支内訳書)を取り寄せた後、どのようにアスベスト給付金請求に活かすのかがポイントになります。
決算書や内訳書には、以下のような情報が記載されていることがあります。
- 主な取引先(売上先)の名称: 当時どの建設会社や工務店から仕事を請け負っていたかが記載されている場合、その会社がアスベスト建材を使用していた現場に関与していたかを特定する大きな手がかりになります。
- 現場の所在地や事業所の移動: 請負先や元請けの所在地から、実際の作業エリアを特定できます。
- 同業種としての稼働実態: 建設業としての売上や経費(資材購入費、車両費など)の計上から、継続してその職業に従事していたことが証明されます。
これらの情報は、建設アスベスト給付金の支給要件である「屋内作業等の要件」を満たしていることを証明するための、陳述書(ご遺族や元同僚による当時の記憶に基づく書面)の信憑性を裏付ける強力な物的な補強証拠となります。
一人親方・個人事業主の資料集めは弁護士にご相談ください
会社組織に所属していなかった一人親方や個人事業主の被災者の場合、国に対する給付金請求や損害賠償請求において、証拠集めのハードルがやや高くなるのは事実です。
今回解説した税務署への保有個人情報開示請求のほかにも、銀行口座の取引履歴、医療記録、組合の加入記録、さらには当時の元請け業者に対する事実調査など、多角的なアプローチを組み合わせることで立証の可能性を大きく高めることができます。
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所では、故人の職歴を示す客観的資料が手元にない場合でも、どのようなルートで証明が可能か、税務署への請求手続きを含めてトータルでサポートしております。
一人親方として懸命に働き、アスベスト被害に遭われた故人の名誉と正当な補償を実現するために、まずは一度、当事務所の無料法律相談をご利用ください。
🏗️ アスベスト(石綿)給付金・賠償金のお悩みは夕陽ヶ丘法律事務所へ
建設現場や工場で働いていた方・ご遺族へ。最大1,300万円の給付金対象か無料で試算いたします。
「昔大工や左官だった」「カルテや職歴証明が集まるか不安」という方も、弁護士が資料収集から手続きまで徹底サポートいたします。
- 費用負担なし: 相談料・着手金0円(完全成功報酬制・持ち出しゼロ)
- ご遺族からの請求対応: ご本人が亡くなられている場合でも受任可能
- 資料収集サポート: カルテや年金記録・職歴の集め方も丁寧に伴走