「一人親方」と雇用を交互に繰り返していた履歴

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、建設アスベスト給付金法、泉南アスベスト国賠訴訟判例、労災保険・石綿救済法および厚生労働省の最新認定基準に基づき、法律実務の視点からわかりやすく解説しています。

Q 一人親方と会社員を交互に繰り返していた職歴でも、建設アスベスト給付金制度の10年要件は合算できますか?
A 【期間の合算と給付金対象】会社員としての雇用期間と、一人親方として働いていた個人事業主としての期間は、どちらもアスベストにばく露した屋内作業等であれば通算して10年以上を満たしているか計算することができます。雇用形態が変わっていても、要件を満たせば最大1300万円の給付金を受け取ることが可能です。
【証拠収集と弁護士相談の重要性】複雑な職歴がある場合、雇用時代の源泉徴収票や一人親方時代の確定申告書、注文書などの資料を組み合わせて証明する必要があります。時効(死亡後20年など)のリスクもあるため、まずは専門の弁護士に無料相談し、的確な職歴算定と資料収集のサポートを受けることを強くおすすめします。

建設現場や造船所などで長年働いてきた方の中には、時期によって「建設会社の社員(雇用大工や職人)」として働き、別の時期には「独立して一人親方」として請負で作業をするというように、雇用と独立を何度も行き来してきた方が少なくありません。

アスベスト(石綿)の健康被害に対する国の給付金制度や、建材メーカーに対する損害賠償請求では、アスベストにばく露した作業に従事していた期間が「通算して10年以上」あることが重要な要件の一つとなっています。

それでは、会社員としての期間と一人親方としての期間が混在している場合、どのように職歴を算定し、証明すればよいのでしょうか。夕陽ヶ丘法律事務所の弁護士が、実務上のポイントを分かりやすく解説します。

1. 一人親方と会社員の混在でも「10年要件」は合算できるのか

結論から申し上げますと、会社員としての就労期間と、一人親方として個人事業主で働いていた就労期間は、どちらもアスベストにばく露した屋内作業等であれば合算して計算することができます。

国や裁判所が認定する建設アスベスト給付金制度では、労働者(雇用されていた人)だけでなく、一人親方や中小事業主(家族従事者含む)として働いていた期間も、一定の条件を満たしていれば保護の対象として含めることになっています。

そのため、「途中で独立したから、会社員時代の期間が無駄になってしまうのではないか」「一人親方の期間は労働者ではないからカウントされないのではないか」といった心配は必要ありません。

それぞれの期間で求められる証明の視点

  • 会社員(雇用)時代:雇用主(元請けや下請けの建設会社など)に在籍していた事実、およびアスベストを扱う屋内作業に従事していたことの証明が中心となります。
  • 一人親方時代:実際に現場で作業を行っていた事実、元請け会社との請負関係、注文書や請求書、確定申告の控えなど、その期間も継続して建設作業に従事していたことの証明が求められます。

2. 複雑な職歴を証明するための実務アプローチ

長年、あちこちの現場を移動しながら、会社員と一人親方を何度も行き来していた場合、ご本人やご家族だけで当時の正確な職歴をすべて思い出し、証拠を集めるのは非常に困難を伴います。

夕陽ヶ丘法律事務所では、以下のようなアプローチを用いて、複雑な職歴の全期間を漏れなく洗い出し、立証資料を組み立てていきます。

  • 年金加入記録(ねんきん定期便・被保険者記録など)の取り寄せ:厚生年金や国民年金の加入履歴を確認することで、どの時期にどこの会社に雇用されていたか、あるいはどの時期から個人事業主(国民年金)になったのかという大まかなタイムラインを客観的に復元します。
  • 確定申告書や課税証明書の活用:一人親方時代の裏付けとして、過去の確定申告書の控え、帳簿、取引先からの支払調書などを確認し、建設業に従事していた事業実態を証明します。
  • 注文書・請求書・通帳履歴の調査:一人親方時代に取引のあった元請け業者からの発注書や、銀行口座の入出金履歴、当時の手帳やメモなどが残っていれば、強力な補強証拠となります。
  • 元同僚や親方、元請け関係者からの陳述書:書類が十分に揃わない期間については、当時一緒に働いていた仲間や親方からの「いつからいつまで一緒にこの現場で作業をしていた」という証言(陳述書)を収集することで、事実関係を補うことができます。

3. 職歴算定におけるよくある誤解と注意点

一人親方と会社員を繰り返してきた方から、よくご相談いただく懸念点について解説します。

「一人親方時代は労働保険に入っていなかったから対象外?」

労災保険の特別加入をしていなかった一人親方であっても、建設アスベスト給付金や賠償請求の要件において、作業従事期間としてカウントされないわけではありません。重要なのは「実際にどのような場所で、どのような粉じん作業を行っていたか」という実態です。ただし、労災保険の特別加入履歴がある場合は、強力な客観的証拠の一つになります。

「ブランク(空白期間)がある場合はどうなる?」

会社員を辞めて一人親方になるまでの間に数ヶ月間のブランクがあったり、一時的に建設業以外の仕事をしていたりする場合、その空白期間はもちろん「アスベスト作業従事期間」としてはカウントされません。しかし、空白期間を挟んで「前後の期間」がそれぞれ独立して存在しているとみなされるため、前後の期間を合算して10年に達していれば要件を満たすことができます。

4. 複雑な事案こそ、アスベスト専門の弁護士にご相談ください

「自分の職歴は、会社員だったり一人親方だったりして、証明するのが難しそう…」 「資料がほとんど残っていないけれど、本当に請求できるのだろうか」

このようなご不安を抱えている方こそ、一度弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所にご相談ください。

アスベスト給付金や損害賠償請求の手続きでは、単に書類を提出するだけでなく、過去の複雑な職歴を整理し、国や裁判所に対して説得力のある説明を行う法的スキルが求められます。当事務所では、多岐にわたる職歴や不鮮明な資料をお持ちの方の事案でも、これまでの豊富な受任実績をもとに最適な立証プランをご提案いたします。

相談料は無料ですので、まずはご自身の職歴が対象になるかどうか、お気軽にお問い合わせください。

⚠️ 【新規ご相談受付一時停止のお知らせとお詫び】

現在、相談枠の上限に達しているため、当事務所におけるアスベスト(石綿)健康被害給付金・賠償金請求に関する新規個別相談の受付を一時停止しております。ご不便をおかけし誠に申し訳ございません。

【主な公的相談窓口・専門機関】
  • 独立行政法人 環境再生保全機構(石綿健康被害救済制度):
    0120-389-931(平日 10:00〜17:00 / 通話料無料)
  • 厚生労働省 労災保険相談ダイヤル(建設アスベスト給付金等):
    0570-006031(月〜金 8:30〜17:15 / ※申請はお近くの労働基準監督署へ)
  • 法テラス(日本司法支援センター): 0570-078374(平日 9:00〜21:00、土曜 9:00〜17:00)
  • 全国の弁護士会 法律相談センター: 全国の弁護士会にて各種法律相談が開設されています。
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