【証拠収集と弁護士無料診断の活用】過去に泣き寝入りを余儀なくされた方やご遺族であっても、工場での就歴を示す雇用契約書や給与明細、当時の健康診断結果や詳細なカルテなどの証拠を揃えることで救済の道が開けます。時効や除斥期間の正確な判断には専門的な法的知識が不可欠となるため、まずはアスベスト訴訟に精通した弁護士の無料診断を利用し、自身のケースで請求が可能かどうかを確認することをお勧めします。
工場等の労働現場において、かつて大量のアスベスト(石綿)に曝露された方々にとって、その後の健康被害は深刻な問題です。アスベストによる疾患には、良性のじん肺やアスベスト肺だけでなく、致死率の高い肺がんや中皮腫が含まれます。
長年、法律上の大きな壁として立ち塞がっていたのが、不磨の大権とも呼ばれる民法の「除斥期間」の制度でした。特に、最初の症状が出てから20年が経過すると賠償請求権が消滅してしまうというルールにより、多くの労災被害者が泣き寝入りを強いられてきたのです。
しかし、最高裁判所の令和2年判決により、この除斥期間の起算点に関する法解釈が大きく覆り、被害者救済の道が大きく開かれました。本記事では、この最高裁判決の画期的な内容と、工場型アスベスト訴訟における実務上のポイントについて詳しく解説します。
工場アスベスト訴訟と「20年除斥期間」の壁
アスベスト関連疾患の特徴は、その潜伏期の長さです。粉じんを吸い込んでから数十年の年月を経て、突然発症することが少なくありません。
国や企業に対する国家賠償請求訴訟では、不法行為に基づいて損害賠償を求めます。不法行為による損害賠償請求権は、以下の2つの期間制限のいずれか一方が経過すると消滅するとされてきました。
- 被害者またはその法定代理人が損害および加害者を知った時から3年(消滅時効)
- 不法行為の時(アスベストの場合は原則として就労時の最終時点や最初の発症時など)から20年(除斥期間)
特に問題視されてきたのが後者の「20年の除斥期間」です。例えば、工場で働いていた方がアスベスト粉じんを吸い込み、まず「じん肺」を発症したとします。そのじん肺の診断時から20年が経過してしまうと、たとえ後になってより深刻な「肺がん」や「中皮腫」を発症したとしても、法律上はすべての請求権が消滅してしまうという不条理な事態が生じていたのです。
最高裁令和2年判決による「起算点リセット」の画期的な判断
こうした状況を根本から変えたのが、最高裁判所の令和2年(受)第1434号等の判決(令和2年11月25日最高裁第二小法廷判決)です。
この裁判では、じん肺等の診断を受けてから20年以上経過した後に、新たに肺がんや中皮腫を発症した被害者が、国に対して損害賠償を求めました。国側は「最初の発症から20年が経過しているため、除斥期間により権利は消滅している」と主張しましたが、最高裁はこれを退けました。
最高裁は、じん肺等の良性疾患と、肺がんや中皮腫といった生命に関わる悪性新生物とは、医学的な性質や症状、生命への危険度が全く異なる別個の病態であると指摘しました。
その上で、じん肺等を発症した時点では予見し得なかったような後発の重篤な疾病(肺がん・中皮腫など)が新たに発症・確定した場合、その新たな疾病によって生じた損害に関する賠償請求権の除斥期間は、その新たな病態が確定した時を起算点として新たに進行する(リセットされる)と判示したのです。
この判決が工場アスベスト被害者に与える実務上の影響
最高裁令和2年判決は、全国の工場で働いていたアスベスト被害者、およびそのご遺族にとって極めて強力な法的武器となりました。
実務上、以下のようなケースに該当する方々が新たに救済の対象となります。
- 過去に「じん肺」や「アスベスト肺(良性石綿肺)」と診断され、そこからすでに20年以上が経過している方
- 上記の方が、近年になって新たに「肺がん」や「中皮腫」と診断された場合
- すでに過去の疾病について国との間で和解や解決を経ている場合であっても、後発の悪性疾患について別途請求の道が残されている可能性がある場合
このように、時間が経過しているからといって一概に諦める必要はなくなりました。法律の解釈変更により、救済の扉が再び開かれているケースが多く存在します。
工場型アスベスト訴訟における国の責任と賠償スキーム
工場におけるアスベスト被害については、防塵マスクの非着用や局所排気装置の未設置など、国が労働基準監督署等を通じて十分な規制権限を行使しなかったことの違法性が、長年の裁判を通じて認められてきました。
国との間では、最高裁判所の統一的な判断に基づき、一定の要件を満たす被害者に対して国が直接賠償金を支払う和解スキーム(建設アスベスト給付金制度に類似した国家賠償請求訴訟の和解制度)が確立されています。
工場等(耐火レンガ製造工場、造船所内の各種工場、機械製造工場、自動車製造工場など)でアスベストにさらされ、現在病気と闘っていらっしゃる方や、ご家族を亡くされた方は、この国家賠償請求の要件に該当するかどうかを確認することが極めて重要です。
弁護士に相談するメリットと残された期間への注意
アスベスト訴訟において、最大の課題は「当時の就労状況の立証」と「医師による医学的因果関係の証明」です。
特に、じん肺から肺がん・中皮腫への移行や、それぞれの発症時期、病態の確定時期を法的に正確に主張・立証するためには、膨大な医療記録や労働履歴の調査が必要不可欠となります。
- 労働基準監督署の認定資料や健康診断結果の取り寄せ
- 当時の勤務先企業におけるアスベスト使用状況の調査
- 最高裁判決の法理を適用するための医学的意見書の取り付け
これらを個人で全て行い、国と交渉・訴訟を行うことは大きな負担となります。また、新たな病態が確定した時から3年の時効期間が存在するため、放置していると今度は時効によって権利が失われてしまう危険性もあります。
当事務所では、アスベスト被害に関するご相談を数多く受けております。工場での作業歴があり、じん肺やアスベスト肺を経て、新たに肺がんや中皮腫を発症された方、あるいはご家族を亡くされたご遺族の方は、除斥期間や時効についての正確な判断を行うためにも、できるだけ早い段階で弁護士へご相談ください。初回のご相談から親身になってサポートいたします。
⚠️ 【新規ご相談受付一時停止のお知らせとお詫び】
現在、相談枠の上限に達しているため、当事務所におけるアスベスト(石綿)健康被害給付金・賠償金請求に関する新規個別相談の受付を一時停止しております。ご不便をおかけし誠に申し訳ございません。
- 独立行政法人 環境再生保全機構(石綿健康被害救済制度):
0120-389-931(平日 10:00〜17:00 / 通話料無料) - 厚生労働省 労災保険相談ダイヤル(建設アスベスト給付金等):
0570-006031(月〜金 8:30〜17:15 / ※申請はお近くの労働基準監督署へ) - 法テラス(日本司法支援センター): 0570-078374(平日 9:00〜21:00、土曜 9:00〜17:00)
- 全国の弁護士会 法律相談センター: 全国の弁護士会にて各種法律相談が開設されています。
