【法的リスクと弁護士介入のメリット】後日の二重請求トラブルや「所有権の争い」「ローンの残債トラブル」を防ぐため、弁護士が代理人として適切な示談書(公正証書)を作成し、確実な債権回収とトラブル防止を完遂します。
夫の不倫が発覚し、相手の女性(不倫相手)に対して慰謝料を請求した際、よくあるトラブルの一つが「今すぐまとまったお金を用意できない」という言い訳です。
誠意を見せるためにと、相手から「手元にある高級車やブランドバッグを譲ることで、慰謝料の支払いに代えさせてほしい」と提案されるケースが少なくありません。
このような提案を受けたとき、どのように対応するのが正解なのでしょうか。感情的に突っぱねるべきか、それとも物として受け取っても問題ないのか、法律的な視点と実務上の対策を夕陽ヶ丘法律事務所の弁護士が詳しく解説します。
法律上の仕組み「代物弁済」とは何か
慰謝料の支払いは、原則として「現金一括払い」が最も望ましい形です。しかし、債務者(不倫相手)に現金がない場合でも、債権者(あなた)の承諾があれば、金銭以外の財産をもって弁済に代えることができます。これを法律用語で代物弁済(だいぶつべんさい)と呼びます。
したがって、あなたが納得するのであれば、「車やブランド品を慰謝料の代わりに受け取る」という選択をすることは法的に何ら問題ありません。
ただし、実務上は「物を受け取る」ことに対して多くのリスクや注意点が存在します。相手の言葉をそのまま信じて受け取ってしまうと、後々大きな損をしたり、トラブルに巻き込まれたりする恐れがあるため注意が必要です。
車やブランド品で受け取る際の3つの重大なリスク
現物での支払いに応じる場合、以下のようなリスクが潜んでいることを事前に把握しておく必要があります。
- 価値をめぐるトラブル:「このブランドバッグは新品同様だから30万円の価値がある」と相手が主張しても、実際に買取店に持ち込むと数万円にしかならないといった、主観的な価値のズレが生じやすい点です。
- 所有権やローンの問題:引き渡された車に「自動車ローン(残債)」が残っており、実際には信販会社やディーラーに所有権がついているケースがあります。最悪の場合、車を引き取った後にローン会社から引き上げを要求されるリスクがあります。
- 隠れた不具合や偽物のリスク:ブランド品が精巧な偽物であったり、車に重大なエンジン故障や修復歴が隠されていたりした場合、受け取った後の返品や再請求が難しくなることがあります。
現物支給を安全に受け入れるための実務ステップ
「どうしても相手が現金を用意できず、車やブランド品で受け取るしかない」という状況になった場合は、以下の手順を踏んで慎重に処理を進めてください。
- 客観的な査定額を算出する
相手の言い値を信じるのではなく、必ず複数の中古車買取店やブランド品買取専門店に査定を依頼し、「現在の適正な市場価格(換金価値)」を明確に数値化します。 - 差額の取り決めを行う
例えば、慰謝料請求額が150万円であるのに対し、引き受ける車の査定額が80万円だった場合、残りの70万円をどのように分割あるいは一括で支払うのかを書面で明確にします。 - 合意書(示談書)に代物弁済の旨を明記する
口頭での約束やLINEのやり取りだけで済ませてはいけません。「被告(不倫相手)は、原告に対し、本件慰謝料の支払いの一部に代えて、〇〇年式・自動車(車台番号:〇〇)を譲渡し、原告はこれを代物弁済として受領する」といった文言を盛り込んだ示談書(公正証書が望ましい)を作成します。
車を引き受ける際の特別な注意点
特に「車」を代物弁済として受け取る場合は、金銭以上に厳格な確認が必要です。
- 名義変更の手続き:車を受け取った後、速やかにあなた名義(あるいはあなたが指定する名義)へ変更する必要があります。相手が名義変更に非協力的な場合、自動車税の納税通知書が元夫や相手に届き続けたり、万が一の事故の際にトラブルに巻き込まれたりします。
- 車検や自賠責保険の確認:車検の残期間や自賠責保険、任意保険の加入状況も確認してください。引き渡し直後に車検切れになる場合、維持費や車検費用が余分にかかることになります。
まとめ:無理な現物受領は避け、弁護士にご相談を
夫の不倫相手から「お金がないから車やブランド品で」と言われた場合、適正な査定を行った上での「代物弁済」自体は法律上認められています。
しかし、適正価格の算出、ローンの有無の確認、名義変更の手続きなど、素人の方だけで円滑に進めるには非常に大きな負担とリスクが伴います。「本当にその物を受け取って得をするのか」「現金で回収する方が確実ではないか」を見極めるためには、専門的な法的知識が不可欠です。
公的な相談窓口や弁護士会等では、不倫慰謝料の請求だけでなく、相手の支払い能力に応じた現実的かつ確実な回収方法についても多数の解決実績がございます。相手の財産状況や提示された提案にお悩みの方は、一人で判断せず、ぜひ当事務所の弁護士までご相談ください。