【弁護士による交渉・回収メリット】相手の経済状況を見極めた上で確実な法的担保を整えるには、弁護士を通じた示談書作成が最も有効です。自己破産や行方不明のリスクを回避し、適正な慰謝料を確実に回収するために、早期の弁護士相談をおすすめします。
不倫の慰謝料を請求した際、相手から「手元にお金がないので、3ヶ月待ってほしい」「少しずつなら払えるので分割にしてほしい」と猶予を申し出られるケースは少なくありません。
一刻も早く解決したい気持ちから、「3ヶ月なら待とうか」と口頭やLINEのやり取りだけで了承してしまう方がいらっしゃいますが、これは後々大きなトラブルに発展する原因となります。
本記事では、不倫相手から支払いの猶予や分割払いを求められた際、権利者としてどのような点に注意し、どのように対処すべきかを弁護士の視点から詳しく解説します。
1. 支払いを「待ってほしい」と言われたときの基本的な心構え
不倫相手から「待ってほしい」と言われた場合、本当に経済的な余裕がないのか、あるいは単に支払いを先延ばしにして時間稼ぎをしたいだけなのかを見極める必要があります。
法律上、慰謝料の支払い義務を負っている以上、相手の経済事情に関わらず一括払いが原則です。しかし、無理な一括払いを求めた結果、相手が自己破産したり行方をくらませたりして、結果的に一円も回収できなくなる事態は避けなければなりません。
そのため、回収の確実性を高めるための条件付きであれば、支払い猶予に応じることも合理的な判断といえます。ただし、その際は必ず書面による確実な証拠と法的な担保を残すことが大前提となります。
2. 口頭やLINEだけで猶予してしまうリスク
相手の言葉を信じて、書面を交わさずに「3ヶ月後に払うなら待つよ」と伝えてしまうことには、以下のような重大なリスクが伴います。
- 連絡が取れなくなるリスク: 3ヶ月という期間があれば、相手が引っ越しをしたり、電話番号を変えたりして音信不通になる可能性があります。
- 請求した事実や金額の争い: 「そんな金額は聞いていない」「いつまでに払うとは言っていない」と後になって話を翻されるおそれがあります。
- 時効の完成リスク: 権利を行使しないまま時間が経過すると、時効によって請求権が消滅してしまうリスクへの配慮も必要になります。
特に個人間での交渉や、弁護士を介さないLINEのやり取りだけでは、法的拘束力が弱く、裁判になった際に不利に働くこともあります。
3. 猶予に応じる場合の必須条件と法的対策
不倫相手に3ヶ月の支払い猶予や分割払いを認める場合、以下の対策を必ず講じるようにしてください。
① 延滞利息(遅延損害金)の設定
期日までに支払われなかった場合のペナルティとして、延滞利息(遅延損害金)を合意書に明記します。一般的には年3%から、損害賠償の場合は法律上の上限や合意に基づく利率(年14.6%程度など)を設定することが多いです。これがあることで、相手に対して期日通りに支払う強い心理的プレッシャーを与えることができます。
② 公正証書の作成(強制執行認諾文言付き)
もっとも確実な方法が、公証役場で「強制執行認諾文言付き公正証書」を作成することです。 公正証書の中に「万が一、支払いが遅れた場合は、直ちに給与や預貯金などの財産に対する差し押さえ(強制執行)を受けても異議はない」という文言(強制執行認諾文言)を入れておきます。これにより、相手が約束を破った際、裁判を起こさなくてもすぐに差押えの手続きに移ることができます。
③ 期限の利益喪失条項を入れる
分割払いや猶予期間を設ける場合、「一度でも支払いが遅れた場合、残金全額を一括して直ちに支払う」という「期限の利益喪失条項」を必ず盛り込みます。これがないと、1回目の遅れに対してその分しか請求できず、何度も督促の手間がかかることになります。
4. 示談書・合意書に盛り込むべき具体的な項目
支払い猶予を認めつつ、ご自身の権利を守るための示談書(合意書)には、最低限以下の項目を網羅させる必要があります。
- 慰謝料の総額の確認: 最終的に支払うべき慰謝料の正確な金額。
- 支払期日の明記: 猶予する3ヶ月後の具体的な日付。
- 振込先口座の指定: トラブルを防ぐため、振込手数料の負担も含めて明確にする。
- 清算条項(解決の確認): 今回の件に関して、これ以上互いに金銭的・法的な請求を行わないことの確認。
- 守秘義務条項: この示談の内容や不倫の事実を第三者に口外しないことの約束。
これらを不備なく盛り込んだ書面を作成するためには、法的知識が不可欠です。インターネット上のテンプレートをそのまま使用すると、思わぬ抜け穴が生じる恐れがあります。
5. 相手が「払えない」を繰り返す場合の限界と法的手続き
3ヶ月待ったにもかかわらず、「お金が用意できなかった」「もう少し待ってほしい」と引き延ばしを図る相手も存在します。
何度も猶予を求められた場合は、これ以上の温情は無駄になる可能性が高いため、法的な強制手段(財産の差し押さえや訴訟提起など)へ移行する決断が必要です。
公正証書やしっかりとした合意書をあらかじめ作成していれば、相手の給与や預貯金口座を特定して強制執行を行うことで、強制的に回収を図ることが可能です。
まとめ:安全な解決のために弁護士への相談を
不倫相手から「3ヶ月待ってくれ」と言われたときは、焦って自己判断で承諾してはいけません。
猶予自体に応じることは問題ありませんが、必ず「延滞利息の設定」「公正証書の作成」「期限の利益喪失条項」といった万全の対策をセットで行うことが、ご自身の平穏と確実な慰謝料回収を守るカギとなります。
弁護士法人公的な相談窓口や弁護士会等では、慰謝料請求だけでなく、相手とのその後の示談交渉、公正証書作成のサポート、分割払いや猶予に関する条件面の調整に至るまで、依頼者様の利益を最優先に考えたリーガルサービスを提供しております。
「相手が支払いを待ってほしいと言っているが、どう対応すべきか不安だ」「確実にお金を回収できる合意書を作りたい」という方は、ぜひ法テラスや弁護士会の無料法律相談窓口のご利用をご検討ください。専門の弁護士があなたの権利を守るための最適な道筋をご提案いたします。