相手の「毎月1万円」という主張を鵜呑みにし、資力を確認せず言なりになるのは禁物です。総額100万円の場合、毎月1万円では完済まで8年以上かかり、途中で連絡が取れなくなるリスクも高まります。給与や貯蓄などの客観的な収支状況を調査し、現実的に支払い可能な金額(毎月5万〜10万円など)へ再交渉を行います。
【法的な強制力を持つ公正証書の締結】
実効性のある高額分割へと引き上げるため、勤務先や親族への連絡をちらつかせるのではなく、給与差し押さえなどの強制執行力を備えた公正証書の作成を条件にした合意形成が不可欠です。個人間での口約束や私的な合意書では未払いリスクを防げないため、確実な回収を目指す場合は弁護士への相談・依頼が最も確実な解決策となります。
不倫の慰謝料を請求した際、相手から「支払う意思はあるけれど、お金がないので毎月1万円ずつしか払えない」と言われてお困りではありませんか。総額が100万円だった場合、毎月1万円では完済までに実に8年以上もかかる計算になり、途中で連絡が取れなくなるリスクも高まります。
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所には、このような低額な分割提案に対する増額交渉について、多くのご相談が寄せられています。本記事では、相手の「毎月1万円」という主張の裏側を見抜き、現実的かつ適正な金額へ増額させるための具体的な交渉術と法的対策を詳しく解説します。
なぜ相手は「毎月1万円」と言ってくるのか
不倫相手が「毎月1万円」という非常に低い金額を提示してくる背景には、いくつかの心理や思惑が隠されています。
- 早く話を終わらせたい、面倒なことから逃げたい:慰謝料の支払義務を認めつつも、毎月の負担を極限まで軽くして心理的プレッシャーから解放されたいと考えています。
- 本当にお金がない(経済的困窮):多重債務を抱えていたり、収入が極端に少なかったりして、実際にまとまったお金を捻出できないケースもあります。
- こちらの出方を見ている(交渉のブラフ):最初は低く見積もって提示し、相手がどこまで譲歩するか試しているケースも少なくありません。
相手の言葉を鵜呑みにして「1万円でも仕方がない」と諦めてしまうのは大きな間違いです。まずは相手の本当の経済状況を冷静に見極めることが、増額交渉の第一歩となります。
「毎月1万円」をそのまま受け入れてはいけない理由
低額な分割払いに安易に同意してしまうと、請求者側にとって非常に多くのリスクが生じます。
- 完済までの期間が長すぎる:例えば120万円の慰謝料に対し、毎月1万円では120回(10年間)の分割となります。その間に相手が転職したり、連絡先を変えたりして踏み倒されるリスクが高まります。
- 途中で支払いが滞るリスク:月1万円という金額は、相手にとって「払っても払わなくても大差ない」と感じやすく、数ヶ月で支払われなくなるトラブルが多発します。
- 精神的ストレスの長期化:毎月1万円の入金を確認するたびに不倫された辛い記憶が蘇り、精神的な苦痛が長期間続くことになります。
そのため、総額の妥当性を保ちつつ、期間を現実的な範囲に収めるための分割金の増額交渉が不可欠です。
現実的な分割額に引き上げるための増額交渉ステップ
相手から「毎月1万円しか払えない」と言われた際、どのように交渉を進めればよいのでしょうか。実務で用いられる効果的なステップをご紹介します。
1. 相手の実際の収支・資産状況を確認する
本当に毎月1万円しか支払えない経済状態なのか、客観的な根拠を確認します。相手が正社員として働いていたり、持ち家に住んでいたり、頻繁に外食や趣味を楽しんでいる様子がうかがえる場合、月1万円という主張は通りません。 任意の交渉段階で収入証明書などの提出を求めることは難しい場合もありますが、「毎月1万円では完済まで10年以上かかるため到底納得できない。収入に見合った現実的な金額を再検討してほしい」と毅然とした態度を示すことが重要です。
2. 支払期間を原則「3年以内」に設定して逆算する
慰謝料の分割交渉では、完済までの期間を原則として3年(36回払い)から長くても5年(60回払い)程度に収めるのが実務上のスタンダードです。 例えば、慰謝料総額が120万円の場合、3年(36回)で完済させるには毎月約3万3,000円の支払いが必要です。5年(60回)であれば毎月2万円となります。このように、総額と希望する完済期間から逆算した具体的な金額を提示し、相手に現実的な負担額を意識させます。
3. 一括払いやボーナス払いの併用を提案する
毎月の給与からの分割だけでなく、夏冬のボーナス月に上乗せして支払う「ボーナス払い」の併用を提案するのも有効です。毎月の負担を抑えつつ、総額の回収スピードを早めることができます口実になります。
交渉を有利に進めるための法的カードの切り方
自分自身で交渉をしても相手が「ない袖は振れない」と突っぱねてくる場合、法的措置を視野に入れた交渉カードを切ることで、相手の態度が軟化することがあります。
財産の差押え(強制執行)の可能性を意識させる
裁判を起こして判決を得たり、法的効力のある合意書を交わしたりすれば、相手の預貯金や給与を差し押さえる強制執行が可能になります。「このまま話し合いに応じない場合、法的手段に移行せざるを得ない」「給与の差し押さえが行われると、勤務先に事情を知られることになる」という点を冷静に伝えることで、相手は真剣に増額を検討せざるを得なくなります。
弁護士を通じた交渉によるプレッシャー
本人同士の話し合いでは、相手が感情的になったり、無視を決め込んだりすることが少なくありません。弁護士が代理人として通知書を送付することで、「本気で法的回収を図ってくる」という強いプレッシャーを与えることができます。結果として、個人間では「1万円」と主張していた相手が、弁護士の介入によって「毎月5万円、3年払いで合意する」といった現実的な金額に直すケースが多々あります。
合意する際に絶対に外してはいけない注意点
増額交渉がまとまり、いざ示談書や合意書を交わす段階では、将来の未払いリスクを防ぐための条項を必ず盛り込む必要があります。
- 期限の利益喪失条項(きげんのりえきそうしつじょうこう):「分割金の支払いを万が一でも2回以上怠ったときは、催告なしで残金全額を一括して支払う」という条項を必ず入れます。これがないと、途中で支払いが止まった際に、また残り分を少しずつしか請求できなくなってしまいます。
- 公正証書の作成:可能であれば、離婚給付等契約公正証書や執行認諾文言付きの公正証書を公証役場で作成することをお勧めします。裁判を経なくても、支払いが滞った際に即座に給与や財産の差押えができる強力な法的効力を持ちます。
まとめ:一人で悩まず弁護士にご相談ください
不倫相手から「毎月1万円しか払えない」と言われたとき、ご自身だけで相手と交渉を続けるのは精神的にも大きな負担となります。相手の言葉に押し切られて低額な分割で合意してしまう前に、法律の専門家である弁護士に一度ご相談ください。
弁護士法人公的な相談窓口や弁護士会等では、依頼者様の利益を最大限に守るため、相手の資力を踏まえた適正な示談金の増額交渉から、確実にお金を回収するための法的スキームの構築までトータルでサポートいたします。泣き寝入りする前に、どうぞお気軽にお問い合わせください。