【弁護士による対応メリット】預貯金口座の調査や勤務先の特定など、強制執行に必要な財産調査は弁護士に依頼することでスムーズに進められます。支払いを拒む相手に対して法的手段をちらつかせながら的確に交渉し、確実な回収を実現するためには早めの弁護士相談が不可欠です。
不倫の慰謝料を請求した際、相手から「自分には資産がない」「車はローンを組んで買ったばかりだから、担保になるものなんて何もない」と開き直られるケースは少なくありません。
特に、毎月の生活費やローンの支払いに追われていることをアピールされ、「払いたくても払えない」と支払いを拒まれると、本当に泣き寝入りするしかないのかと不安になりますよね。
しかし、「車がローン中で担保にならない=慰謝料を回収できない」というわけではありません。
今回は、ローン中の車を言い訳にする不倫相手に対し、法的手段を用いて確実に慰謝料を回収するための実務的な知識と具体的なステップについて、夕陽ヶ丘法律事務所の弁護士が詳しく解説します。
なぜ不倫相手は「車がローン中」を言い訳にするのか?
不倫相手が自身の所有物や資産について語るとき、「車はローン返済中だから自分のものじゃない」「売ってもローンが残るから価値がない」と主張するのには、主に次のような心理や狙いがあります。
- 差押えなどの強制執行を免れたい
- 「自分には支払能力がない」と思い込ませて請求を諦めさせたい
- 法律や財産差押えの仕組みについて、こちらが無知だと思っている
日本の法律上、自動車ローンが完済されるまでの間、車の所有名義はディーラーや信販会社(ローン会社)にあります(これを「所有権留保」と呼びます)。そのため、形式上は相手の「自分の財産」とは言えず、債権者が勝手にその車を差し押さえて競売にかけることは原則としてできません。
相手はこの法律の仕組みをどこかで聞きかじり、「車さえローン中にしておけば、自分の財産は守られる」と勘違いしているケースが多いのです。
車が差し押さえられなくても、諦める必要はない理由
仮に不倫相手の乗っている車がローン中であり、車を直接差し押さえて換金することが難しい場合でも、慰謝料を諦める必要は一切ありません。
強制執行の対象となる財産は、自動車だけではないからです。相手が「車以外の財産や担保はない」と主張していたとしても、法律上狙い目となる財産や収入源は他にも存在します。
1. 勤務先からの「給与・賞与」の差し押さえ
不倫相手が会社員や公務員として働いている場合、最も確実で効果的な回収方法が「給与の差し押さえ(債権執行)」です。裁判所を通じて相手の勤務先に給与の差し押さえ命令を送達させることで、相手の給与(手取り額の4分の1、手取りが年間を通じて高額な場合は一定の制限がありますが、基本的には4分の1)を毎月強制的に天引きし、あなたの手元に直接支払わせることができます。
車はローン中であっても、毎月会社から給料をもらっている以上、給与という最大の「定期収入」が存在します。この給与をターゲットにすれば、車がなくても継続的な回収が可能になります。
2. 預貯金口座の差し押さえ
不倫相手が給与を受け取っている銀行口座や、普段使っている預貯金口座の支店名が特定できれば、その預貯金口座を差し押さえることも可能です。口座に残高があれば、その全額(または請求額に達するまで)が一括で差し押さえられ、あなたの手元に回収されます。口座の正確な支店名まで分からない場合でも、弁護士会照会などの法的手続きを活用することで、相手が口座を持っている金融機関を調査できる場合があります。
「車が買えるなら慰謝料も払えるはず」という矛盾
そもそも、カーローンを組んで車を維持できているという事実自体が、不倫相手には一定の経済力があることの証明になります。
毎月の高額なローン返済、自動車保険料、ガソリン代、駐車場代、車検代などを支払う経済的余裕があるにもかかわらず、「慰謝料を一括で払うお金はない」「車があるから払えない」という主張は、法的には全く通用しません。
もし相手が「一括では到底払えない」と言う場合でも、それは「支払う意思がない」のか「分割なら支払える」のかによって対応が変わります。
強硬に支払いを拒む相手に対しては、口頭での交渉だけでなく、法的措置を視野に入れたアプローチが不可欠です。
確実にお金を回収するための具体的なステップ
不倫相手からスムーズに、そして確実に慰謝料を回収するためには、感情的に詰め寄るのではなく、冷静かつ法的に正しいステップを踏むことが重要です。
ステップ1:慰謝料請求の法的根拠を固める
まずは、不倫の事実を示す客観的な証拠(LINEのやり取り、写真、ホテルに出入りする記録など)をしっかりと確保します。証拠が揃っていなければ、相手が「車がない」「金がない」と嘘をついていることに対して強く出ることができません。ステップ2:内容証明郵便による請求と交渉
証拠を背景に、弁護士の名前で内容証明郵便を送り、慰謝料の支払いを請求します。これにより、相手に「本気で法的手段に出るつもりだ」というプレッシャーを与えることができます。この段階で分割払いの合意や、公正証書の作成に向けた話し合いに持ち込めるケースも多くあります。ステップ3:裁判・調停・支払督促の活用
相手が任意の交渉に応じず、いまだに「金がない」「車を言い訳にする」といった態度を続ける場合は、裁判所を通じて法的解決を図ります。裁判上の和解や判決、あるいは公正証書(強制執行認諾文言付き)を作成することで、相手の財産(給与や預貯金)を差し押さえるための「債務名義」を取得します。ステップ4:強制執行(差押え)の断行
債務名義を取得したにもかかわらず相手が支払いを無視する場合、いよいよ強制執行に移行します。勤務先を特定して給与を差し押さえたり、預貯金口座を差し押さえることで、強制的に回収を実行します。・専門窓口へのご相談
不倫相手が「車はローン中で担保がない」と言い訳するのは、あなたからの請求をかわし、責任逃れをしたいがための常とう手段にすぎません。
自動車自体が差し押さえ対象にならなかったとしても、相手に安定した収入や預貯金があれば、法律の専門知識と正しい手続きを用いることで、慰謝料を回収する道は十分に開かれています。
相手の言葉を鵜呑みにして「本当に払えないんだ」と諦めてしまう前に、まずは一度、男女トラブルや慰謝料請求に強い法テラスや弁護士会等の公的相談窓口へご相談ください。あなたの状況に合わせた最適な回収プランをご提案いたします。