慰謝料請求・増額交渉(被害者側)

不倫慰謝料の増額要素⑥:「配偶者が精神疾患(うつ病等)を発症した」加算

大阪弁護士会所属 弁護士 井上正人 監修

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 弁護士法人 夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、民法第709条(不法行為)、第719条(共同不法行為)、第770条(離婚原因)の規定および多数の不倫・浮気慰謝料請求・減額交渉の実務実績に基づきわかりやすく解説しています。

Q 配偶者の不倫が原因でうつ病を発症した場合、慰謝料はいくら増額されますか?治療費も請求できますか?
A 【慰謝料増額と相場の目安】パートナーの不貞行為による精神的ショックからうつ病や適応障害を発症した場合、精神的苦痛の程度が極めて高いと評価され、通常の慰謝料相場(50万〜150万円程度)から数百万円単位へと大幅な増額が認められるケースがあります。さらに、心療内科や精神科の診断書、治療費の領収書、通院記録などの客観的な証拠を揃えることで、精神的苦痛に対する慰謝料だけでなく、病院での治療費や仕事を休んだ分の休業損害も法的根拠を持って請求することが可能です。
【弁護士による増額交渉と証拠収集のメリット】精神疾患の因果関係を不倫相手に認めさせ、高額な慰謝料や治療費・休業損害を確実に回収するためには、医学的証拠と法的主張を緻密に組み立てる必要があります。個人での交渉は相手に軽く見られたり、因果関係を否定されて難航するリスクが高いため、不倫慰謝料請求や証拠収集に精通した弁護士に早期に相談・依頼することで、適正かつ最大限の増額を引き出すための強力な示談交渉や法的措置をスムーズに進めることができます。

信頼していたパートナーの裏切りを知ったとき、そのショックは計り知れません。精神的な動揺から不眠や食欲不振に陥り、医療機関で「うつ病」や「適応障害」と診断されるケースは決して少なくありません。

配偶者が不倫によって精神疾患を発症した場合、それは慰謝料の金額を大きく引き上げる重要な増額要素となります。

弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所の法律ライターが、精神疾患の発症による慰謝料の増額根拠や、実際に請求を行うための重要なポイントについて詳しく解説します。

なぜ配偶者の精神疾患発症で慰謝料が跳ね上がるのか

不倫・浮気による慰謝料は、被害者が受けた「精神的苦痛」に対して支払われるものです。配偶者が不倫という裏切り行為によって心身の健康を損ない、医療機関での治療が必要な状態にまで追い込まれたという事実は、精神的苦痛の度合いが極めて高いことの証明になります。

裁判例においても、不倫発覚後の精神的ショックからうつ病を発症し、通院や療養を余儀なくされた事情は、慰謝料額を算定する上で強力なプラスの要素(増額事由)として考慮されます。

通常の不倫慰謝料の相場が50万円から150万円程度とされることが多い中、深刻な精神疾患の発症が認められたケースでは、慰謝料が数百万円単位へと引き上げられることも珍しくありません。

精神疾患の治療費や休業損害も請求できるのか

精神疾患を発症した場合、精神的苦痛に対する慰謝料の増額だけでなく、不倫という不法行為と因果関係が認められる「損害」として、さまざまな金銭的賠償を請求できる可能性があります。

  • 治療費(実費): 心療内科や精神科の診察料、カウンセリング費用、処方された薬剤の費用など。
  • 通院交通費: 医療機関に通うために要した電車代やタクシー代、ガソリン代など。
  • 休業損害: うつ病の症状悪化や通院のために仕事を休まざるを得なくなり、収入が減少した分の補償。
  • 将来治療費・逸失利益: 病状が長期化し、将来の治療継続が必要な場合や、減給・退職を余儀なくされた場合の損害。

これらは単なる精神的損害(慰謝料)とは区別される「財産的損害」として請求できる場合があります。ただし、不倫行為と精神疾患発症との間に明確な因果関係が証明できなければなりません。

慰謝料増額を成功させるために不可欠な証拠と証明方法

精神疾患を理由とした慰謝料の増額や諸費用の請求を認めさせるためには、客観的かつ説得力のある証拠が不可欠です。「精神的に辛い」と口頭で主張するだけでは、相手方や裁判所に認めてもらうことは困難です。

以下の証拠を計画的に収集・保全することが重要となります。

  1. 医師の診断書: 「うつ病」「適応障害」「うつ状態」などの病名が記載され、発症時期や療養期間、通院の必要性が明記されたもの。
  2. カルテ(診療録)や通院履歴: 初診日や通院の頻度、病状の経過が記録されたもの。
  3. 処方箋・お薬手帳: 抗うつ薬や睡眠薬などが処方され、実際に服用していたことを示すもの。
  4. 家計簿や給与明細・源泉徴収票: 休業による収入の減少や治療費の出費を証明するための資料。
  5. 不倫の証拠: 不倫の事実そのものを証明する客観的な証拠(LINEのやり取り、ホテルへの出入り写真、自認書など)。因果関係を証明する前提として必要不可欠です。

特に重要なのは、「不倫が発覚した時期」と「精神疾患の初診日」の時間的近接性です。不倫が発覚した直後に心療内科を受診しているほど、不倫が原因で病気を発症したという因果関係が強く推認されます。

実務上注意すべきポイントと示談交渉の難しさ

精神疾患の発症を理由に高額な慰謝料や賠償金を請求する場合、相手方(不倫相手または配偶者)がこれを素直に認めないケースが多く見られます。

相手方からは、以下のような反論がなされることがよくあります。

  • 「もともと仕事や人間関係のストレスでうつ病になったのであって、不倫とは関係ない」
  • 「診断書が出ているが、そこまで重症だとは思えない」
  • 「治療費や休業損害まで支払う法的な義務はない」

このような相手方の主張に対して、医学的な因果関係を論理的に説明し、裁判例や実務の基準に基づいた適正な賠償額を認めさせるには、高い専門知識と交渉力が求められます。

ご自身やご家族だけで相手方と直接交渉すると、心身にさらなる負担がかかるだけでなく、相手方のペースに乗せられて不当に低い金額で示談させられてしまうリスクがあります。

弁護士に依頼するメリット

心身ともに疲弊している状態で、複雑な法的交渉や証拠集めを行うことは非常に困難です。弁護士に依頼することで、以下のような大きなサポートを受けることができます。

  • 精神的負担の軽減: 相手方やその代理人との連絡・交渉窓口をすべて弁護士が引き受けるため、加害者と直接連絡を取るストレスから完全に解放されます。
  • 適正な因果関係の立証: 医師の診断書やカルテ、不倫の証拠を組み合わせ、法的に説得力のある主張構成を行い、慰謝料の大幅な増額や治療費・休業損害の請求を実現します。
  • 裁判基準での交渉: 弁護士が代理人となることで、裁判所基準(裁判で認められる基準)に準じた高額な解決金を目指した交渉が可能になります。

配偶者の不倫と、それに伴う精神疾患の発症にお悩みの方は、一人で抱え込まず、できるだけ早い段階で法テラスや弁護士会等の公的相談窓口へご相談ください。あなたの受けた深い傷と被害に見合った適正な解決に向けて、誠心誠意サポートいたします。

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弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、交通事故の賠償問題をはじめ、事業者様を狙う求人広告詐欺の被害救済やオフィス・テナント等の原状回復トラブルなど、不測の事態に直面した皆様の精神的・経済的なご負担を少しでも和らげ、正当な権利の実現と円満な解決へと導くためのサポートを徹底して行っています。

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