【弁護士が解説する作成のポイント】口頭の約束では再発を防ぐことが難しく、後々の離婚時にも不利になるリスクがあります。法的効力を確実に高め、将来のトラブルを防ぐためには、不貞行為の事実関係やペナルティの金額設定を含め、専門知識を持つ弁護士のサポートを受けて慎重に書面を作成することをおすすめします。
配偶者(夫または妻)の浮気や不倫が発覚したとき、離婚を選択するだけでなく、「子どもたちのために家庭を壊したくない」「もう一度やり直すチャンスを与えたい」という理由から、夫婦関係の修復を選ぶ方も少なくありません。
しかし、口頭での「もう二度としない」という約束を信じるだけでは、不安が拭いきれないのが現実です。また、その場しのぎの謝罪だけで終わらせてしまうと、再発防止の抑止力が働かず、再び裏切られてしまうケースも後を絶ちません。
そこで重要になるのが、配偶者と交わす「夫婦間誓約書(不倫・浮気に関する合意書)」です。本記事では、夫婦関係を修復する際に誓約書を作成すべき理由や、実効性を持たせるための具体的な条項、法的トラブルを防ぐためのポイントについて、弁護士の視点から詳しく解説します。
なぜ関係修復の際に「夫婦間誓約書」が必要なのか
配偶者の不倫が発覚した直後は、精神的に大きなショックを受け、正常な判断が難しくなります。その混乱の中で感情的に「許す」と伝えてしまうと、後々になって怒りが再燃したり、配偶者が反省の色を見せなくなったりすることがあります。
夫婦間誓約書を書面として残すことには、以下のような重要な意義があります。
- 再発防止の強い抑止力になる:ペナルティを明確にすることで、再び浮気に走る心理的ハードルを上げることができます。
- 「許したわけではない」という証拠を残せる:将来的に万が一離婚に至った際、過去の不倫の事実がうやむやになるのを防ぎます。
- 約束違反時の法的根拠(切り札)になる:あらかじめ決めたルールに違反した場合のペナルティを法的に有効な形で定めておくことができます。
口頭の約束や、メモ書き程度の誓約書では、いざというときに法的な効力を発揮しないおそれがあります。しっかりとした形式で書面を作成することが、今後の平穏な結婚生活を守るための防衛策となります。
夫婦間誓約書に必ず盛り込むべき重要条項
実効性の高い夫婦間誓約書を作成するためには、感情的な文言を並べるのではなく、法的に有効な具体的条項を網羅する必要があります。主に以下の項目を検討しましょう。
1. 不貞行為の事実の認諾と謝罪
まず、配偶者が不倫の事実(いつ、誰と、どのような関係を持ったか)を自らの意思で認め、被害者配偶者に対して謝罪する旨を明記します。これにより、「言った・言わない」の水掛け論を防ぐことができます。
2. 接触禁止と違反時のペナルティ
浮気相手と今後一切の接触(連絡、会うこと、SNSでのやり取りなど)を禁止します。さらに、このルールに違反した場合には、具体的な「違約金(損害賠償金)」を支払うことを約束させます。
3. スマホの開示など透明性の確保
関係修復の初期段階において、最も大きな不安要素となるのが「隠れて連絡を取り続けているのではないか」という疑念です。そのため、スマートフォンやパソコンの閲覧、位置情報の共有など、一定の条件のもとで通信内容を開示する義務を課す条項を設けることがあります。ただし、プライバシーの侵害や強要にならないよう、バランスに配慮した文面設計が必要です。
4. 再度の浮気発覚時の離婚と財産分与の合意
「次に浮気が発覚した場合には、異議なく離婚に応じること」や、その際の慰謝料の金額、親権・監護権、財産分与、養育費の条件などをあらかじめ取り決めておくことも可能です。これにより、配偶者に対して最大の心理的プレッシャーを与えることができます。
夫婦間誓約書を作成・締結する際の注意点
夫婦間誓約書を作成するにあたっては、法的な有効性を高め、将来のトラブルを確実に防ぐために注意すべきポイントがあります。
脅迫や強要による作成とみなされないようにする
配偶者を追い詰めて、暴力や過度な脅しによって無理やり署名・捺印させた場合、後になって「強要されて書かされた無効な文書である」と主張されるリスクがあります。あくまで配偶者が自身の責任と反省に基づいて署名したという体裁を整えることが大切です。
公正証書にしておくことのメリット
誓約書を通常の私文書として作成するだけでなく、公証役場に出向いて「強制執行認諾文言付公正証書」として作成することをおすすめします。 公正証書にしておけば、万が一配偶者が約束に違反して慰謝料や違約金を支払わなかった際、裁判を起こさずに給与や預貯金の差し押さえ(強制執行)手続きに移ることができます。この心理的プレッシャーは、誓約書の効力を何倍にも高めることになります。
「夫婦間の契約は取り消せる」という民法上の規定への対策
日本の民法では、夫婦間でした契約は、婚姻中いつでも夫婦の一方から取り消すことができると定められています(民法第754条)。この規定があるため、安易に作成した誓約書は「いつでも取り消せる」と主張される余地が生まれます。 これを回避するためには、単なる夫婦間の約束ではなく、「不貞行為という不法行為に基づく損害賠償に関する示談合意」としての性格を持たせるなど、法的な構成に工夫を凝らす必要があります。
まとめ:確実な関係修復のために弁護士への相談を
夫婦関係を修復する道を選ぶことは、離婚するよりもはるかにエネルギーと忍耐を要する決断です。そのデリケートな時期に、配偶者との間で感情的な衝突を避けつつ、法的に有効な誓約書を交わすことは至難の業といえます。
インターネット上の雛形をそのまま流用して作成した誓約書では、いざというときに役に立たなかったり、かえって夫婦仲をこじらせてしまったりする危険性があります。
公的な相談機関や専門窓口では、ご相談者様の「関係を修復したい」というお気持ちを尊重しつつ、二度と裏切られないための万全な「夫婦間誓約書」の作成をサポートしております。配偶者との話し合いに不安がある方、法的に不備のない書面を作りたい方は、ぜひ一度、当事務所の弁護士までご相談ください。