【弁護士による示談書作成と回収のメリット】被害者側にとって無資産の本人から分割回収するよりも、親の資金力で慰謝料(一般相場100万〜300万円)を一括回収できるメリットは大きいです。ただし、権利放棄や求償権の放棄条項を適法に盛り込んだ精緻な示談書を作成する必要があるため、合意締結の際は不倫トラブルに精通した弁護士に代理交渉や書面作成を依頼することをおすすめします。
配偶者の不倫が発覚し、いざ慰謝料を請求しようとした段階で、相手の男性(または女性)に蓄えがなく「支払うお金がない」と言われてしまうトラブルは少なくありません。裁判や差し押さえを視野に入れても、本人にめぼしい財産がなければ回収は困難を極めます。
しかし、こうした状況の中で「不倫相手の親」が事態を重く見て、息子の不貞行為を謝罪し、慰謝料を一括で肩代わり支払いするという解決事例が存在します。
本記事では、夕陽ヶ丘法律事務所の弁護士が、親による肩代わり支払いの実態と、被害者側として受け入れる際の法的な注意点について詳しく解説します。
1. なぜ「不倫相手の親」が慰謝料を肩代わりするのか
成年に達した子どもが起こした不倫問題について、法律上、原則として親に直接の支払い義務はありません。しかし、実務上では親が自発的に肩代わりを決断することがあります。その主な背景には、以下のような理由が挙げられます。
- 社会的信用や家庭環境への配慮: 会社勤めである息子が不倫トラブルで会社を追われたり、裁判沙汰になったりすることを避けたいという親心。
- 早期のトラブル終結: 被害者側の感情的負担をこれ以上大きくせず、一刻も早く問題をクローズさせたいという意図。
- 本人への経済的制裁と教育: 「今回に限り親が立て替えるが、今後は自立して親に返済しなさい」という家庭内での決着。
被害者側にとっても、無資産の本人から分割で少しずつ回収するリスクを負うより、親の経済力を背景に一括で全額回収できるのであれば、実利的なメリットが大きいと言えます。
2. 親による肩代わり支払いを受け入れる際の3つの重要ポイント
親が謝罪に訪れ、一括で慰謝料を支払うと申し出た場合、被害者としては直ちに飛びつきたくなりますが、法的に不備のないよう慎重に対応する必要があります。ここでは、実務上必ず押さえておきたい3つのポイントを解説します。
① 示談書には「親が代理で支払ったこと」を明記する
お金を受け取る際、ただ現金を口座に振り込んでもらうだけでは不十分です。示談書(合意書)において、誰が誰のために、何の目的で支払ったのかを明確にする必要があります。
- 不倫相手(息子)が負う慰謝料債務の全額を、親が「第三者弁済」として一括で肩代わりしたこと
- 受領した金銭は、本件不貞行為に関する慰謝料および解決金としての性質を有すること
これらを曖昧にしておくと、後から「そんな大金を払った覚えはない」「貸しただけだ」などと親子間で主張が変わるリスクが生じます。
② 清算条項(示談事項)の徹底
親からお金を受け取って解決とする以上、二度とこの問題に関して追加の請求を行わない旨の清算条項(示談事項)を必ず盛り込まなければなりません。
「本合意書に定めるもののほか、甲(被害者)および乙(不倫相手)、ならびに丙(親)の間には、何らの債権債務が存在しないことを確認する」といった文言を入れることで、親からの肩代わり受領をもって、不倫問題が完全に解決したことを法的に確定させます。
③ 求償権(きゅうしょうけん)の処理
ここが実務上最も重要なポイントです。親が息子の代わりに慰謝料を支払った場合、法律上、親は息子に対して「自分が立て替えた分を返しなさい」と要求する権利(求償権)を取得します。
もし、不倫相手である配偶者(夫または妻)が存在する場合や、不倫相手の男女双方が共同して責任を負う場合、求償権の処理を誤ると、複雑な二次トラブルに発展することがあります。あらかじめ示談書内で、親と子(不倫相手)の間での金銭のやり取りについて整理しておくか、弁護士を介して適切な文面を作成することが安全です。
3. 実際の解決事例から見るスムーズな進め方
当事務所が関与した事例でも、不倫相手の男性が失業中で全く支払い能力がないケースがありました。被害者である妻は途方に暮れていましたが、男性の父親が地方から上京し、息子に代わって謝罪の上、当事務所の指定口座へ一括で慰謝料全額が振り込まれました。
このケースでは、以下のようなステップで円満かつ安全に解決に至りました。
- 身元と意思の確認: 訪れた親が本当にその家族であるか、また本人に無断ではなく、親自身の意思による肩代わりであることを確認。
- 合意書の事前締結: 金銭の授受の前に、弁護士が作成した「親の肩代わりによる一括払いの合意書」に、被害者、不倫相手、および親の三者が署名・押印。
- 一括入金の確認と紛争の終了: 指定期日までに親の口座から全額が振り込まれたことを確認し、速やかに事件を終了。
この流れをふ踏むことで、被害者は長引くストレスから解放され、確実な慰謝料回収を果たすことができました。
4. トラブルを未然に防ぐために弁護士にご相談ください
「不倫相手の親が謝罪に来た」「一括で払うと言っているが、どう対応していいか分からない」という状況は、一見すると好ましい解決の兆しに見えますが、法的な書面作成を誤ると、後々の火種になりかねません。
- 口約束だけでお金を受け取ってしまい、後からトラブルになる
- 不十分な示談書を交わしたせいで、追加請求ができなくなる
- 親と子どもの間の権利関係がこじれ、巻き込まれてしまう
このようなリスクを回避し、確実かつクリーンに問題を解決するためには、慰謝料請求の専門知識を持つ弁護士に代理人として交渉や示談書の作成を依頼することをおすすめします。
公的な相談窓口や弁護士会等では、被害者の方が精神的・経済的により良い条件でトラブルを解決できるよう、親からの肩代わり交渉や示談書のリーガルチェックを多数サポートしております。お一人で悩まず、どうぞお気軽にご相談ください。