【客観的な証拠による立証と弁護士への相談の重要性】単なる別居や口頭の離婚話だけでは破綻の証明として不十分な場合が多くあります。長期別居の事実、生活費の不払い、離婚調停の申立てなどの客観的証拠を示して法的に主張するため、早い段階で弁護士へご相談ください。
配偶者の不貞行為を理由に慰謝料を請求された方、あるいは配偶者以外の人物と交際していて突然高額な請求書が届き、途方に暮れていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
しかし、その交際が始まる時点で、すでに相手の夫婦関係が実質的に壊れていた場合、法的な責任(慰謝料支払義務)が発生しないケースがあります。これを法律用語で「婚姻関係破綻後の交際における不貞成立否定の抗弁」と呼びます。
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所には、こうした状況で理不尽な請求を受けてお悩みの相談者が数多く訪れます。本記事では、婚姻関係の破綻が認められるための条件や、実際に抗弁として主張するための実務的なポイントについて詳しく解説します。
不貞慰謝料請求における「婚姻関係の破綻」とは何か
不貞行為に対する慰謝料は、法律上「夫婦が共同生活を送る平穏な関係(法的保護に値する利益)」が侵害されたことに対する損害賠償として請求されます。
したがって、慰謝料請求が認められる大前提として、不貞行為が行われた時点で夫婦の間に正常な婚姻関係が存在している必要があります。
もし、不貞行為の時点で夫婦関係がすでに修復不可能なほどに客観的に破綻していたのであれば、そもそも保護すべき「婚姻関係の平穏」が存在しないことになります。そのため、その後に別の異性と関係を持ったとしても、原則として不法行為(不貞行為)は成立せず、慰謝料を支払う義務も生じないという結論になります。
別居や離婚協議中であれば常に破綻と認められるのか
「別居しているから」「離婚の話し合いをしているから」という理由だけで、自動的に婚姻関係が破綻していたと認められるわけではありません。裁判所は、夫婦の状況を総合的に考慮して厳格に判断します。
一般的に、以下のような事情が客観的に存在するかどうかが重要な判断基準となります。
- 別居に至った経緯(ドメスティック・バイオレンスや度重なる不和など、やむを得ない事情があるか)
- 別居期間の長さ(数日や数週間の短期ではなく、数ヶ月から数年に及んでいるか)
- 夫婦間の連絡や生活費(婚姻費用)のやり取りの有無(経済的な依存関係が断たれているか)
- 離婚に向けた具体的な協議の進行状況(弁護士が代理人に入っているか、家庭裁判所で調停中か)
- お互いに夫婦関係を修復する意思が完全に失われているか
単なる「喧嘩による一時的な別居」や「冷却期間としての別居」であるとみなされた場合は、婚姻関係の破綻は認められません。
「破綻の抗弁」を成功させるための立証のポイント
裁判や示談交渉において、「すでに破綻していた」と主張(抗弁)するだけでは不十分です。それを裏付ける客観的な証拠を提示しなければ、請求側から「夫婦関係は継続していた」と反論されてしまいます。
有効な証拠や主張の組み立て方としては、以下のようなものが挙げられます。
- 別居期間を示す証拠:賃貸借契約書、住民票の移動履歴、引越しの見積書や領収書など
- 離婚協議の経緯を示す証拠:家庭裁判所の離婚調停の期日通知書、弁護士間で交わされた書面、メールやメッセージアプリでの離婚に関するやり取りの履歴
- 婚姻費用の実態:別居後に生活費の送金がストップしている事実や、その経緯を示す銀行口座の通帳コピー
これらを時系列で整理し、交際がスタートした正確な時期と照らし合わせることで、「交際開始時にはすでに婚姻関係が破綻していた」という事実を説得力を持って主張することが可能になります。
「破綻していると聞いていた」という主観的な過失なき場合の抗弁
仮に、客観的には完全な破綻とまでは言えない微妙な状況であったとしても、交際相手から「もうすぐ離婚する」「何年も別居していて夫婦関係は終わっている」と聞かされ、それを信じるだけの十分な理由があった場合(過失がない場合)、慰謝料の減額や請求の棄却が認められる余地があります。
ただし、「相手がそう言っていたから信じた」という口頭の言い訳だけでは、裁判所や相手方代理人を納得させることは困難です。相手の言葉を信じるに至った経緯や、相手が偽りの情報を伝えていたことを示す客観的なやり取りの記録などが重要となります。
不当な請求への対応と弁護士への相談の重要性
婚姻関係の破綻を主張する「抗弁」は、法律の専門的な知識と、証拠を精査する緻密な作業が要求される非常に難易度の高い法的手続です。
ご自身だけで相手方の配偶者やその弁護士と交渉してしまうと、不利な発言を引き出されてしまったり、感情的な対立が激化して解決が遠のいてしまうリスクがあります。
弁護士法人公的な相談窓口や弁護士会等では、ご相談者様の置かれた状況を詳細にヒアリングし、別居期間や婚姻関係の実態を法的な観点から分析・立証いたします。理不尽な慰謝料請求にお悩みの方は、一人で抱え込まず、どうぞお気軽にご相談ください。