減額防衛・無過失主張(被請求側)

相手の配偶者が主張する「精神的苦痛・うつ病」の相当因果関係の精査・反論

大阪弁護士会所属 弁護士 井上正人 監修

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 弁護士法人 夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、民法第709条(不法行為)、第719条(共同不法行為)、第770条(離婚原因)の規定および多数の不倫・浮気慰謝料請求・減額交渉の実務実績に基づきわかりやすく解説しています。

Q 不倫相手の配偶者から「うつ病になった」と高額な休業損害や慰謝料を請求されましたが、そのまま支払う必要がありますか?
A 【相当因果関係の精査による減額・カット】不倫が原因でうつ病を発症したと主張されても、仕事上のトラブルや家庭内の別問題など他のストレス要因がある場合や、過剰な通院・休業が含まれているときは、法律上の相当因果関係が認められず、全額を支払う義務はありません。
【弁護士による反論と示談交渉のメリット】医療記録やカルテの開示請求を通じて法的な反論を行い、不当に高額な賠償金の減額を目指します。ご自身での対応が難しい場合は、弁護士に依頼して適切な慰謝料相場への減額や示談交渉を速やかに行うのが確実です。

不倫・浮気の慰謝料を請求された際、相手の配偶者から「あなたたちの不倫が原因でうつ病を発症した」「精神科に通うことになり、仕事も休職せざるを得なくなったため、その損害も慰謝料に上乗せして請求する」と主張されるケースが少なくありません。

このような高額な請求を受けると、精神的にも追い詰められ、「言われるままに支払うしかないのではないか」と不安になってしまう方も多いでしょう。

しかし、法律上、相手が主張するすべての損害や精神的苦痛に対して、そのまま全額を支払う義務があるわけではありません。ここで重要となるのが、法的な「相当因果関係」の精査と、それに基づいた適切な反論です。

本記事では、不倫を理由にうつ病などを主張された際、どのように事実関係を精査し、過剰な請求を減額・カットしていくべきかについて、法律実務の観点から詳しく解説します。


1. 慰謝料請求における「相当因果関係」とは何か

法律上、損害賠償を請求するためには、発生した損害と加害行為との間に「相当因果関係」が認められなければなりません。

不倫問題における相当因果関係とは、「その不倫行為がなければ、その精神的苦痛や病気(うつ病など)は発生しなかったと言えるかどうかの因果関係」を指します。

通常、配偶者の不倫を知らされた側が精神的なショックを受けることは自然であり、一般的な範囲内の精神的苦痛に対する慰謝料は認められます。しかし、「うつ病」という医学的な診断が下された場合、それが本当に不倫という単一の要因によって引き起こされたものなのかどうかは、法的な観点および医学的な観点から慎重に検証されるべき問題です。


2. うつ病の主張におけるよくある3つの問題点

相手の配偶者が「うつ病になった」と主張して高額な金銭を請求してくる場合、実務上、以下のような点が問題となるケースが多く見られます。

  • 他のストレス要因(仕事、人間関係、家庭内の別問題など)の混同
  • 不倫発覚前から存在していた精神疾患や心因的要因の隠蔽
  • 医学的根拠の薄い過剰な通院期間や、不自然な休業損害の請求

特に現代社会においては、職場での過重労働や人間関係のトラブル、経済的な不安など、うつ病を引き起こす原因は多岐にわたります。「配偶者の不倫」というショックがあったとしても、それ単体が唯一の原因ではなく、複合的な要因が絡み合っているケースがほとんどです。


3. 事故や他のストレス要因との混同を突く反論手法

相手の主張に対して有効な反論を行うためには、不倫以外のストレス要因や既往歴に着目し、相当因果関係の範囲を限定・否定していくことが不可欠です。具体的には、以下のようなアプローチをとります。

相手のライフスタイルや職場環境の調査

相手が主張するうつ病の発症時期と、職場でのトラブルや人事異動、多忙な時期などが重なっていないかを確認します。もし仕事上の強いストレスが原因でメンタル不調に陥っていた形跡があるならば、不倫による精神的苦痛の割合を大幅に切り分けることが可能です。

既往歴や過去のメンタル不調の有無の確認

相手が過去にもうつ病や類似の精神疾患を発症した経緯がないかを精査します。過去に通院歴や服薬歴がある場合、今回のうつ病は不倫による新規発症ではなく、過去の疾患の再燃・再発である可能性が高くなります。この場合、不倫と現在の症状との間の相当因果関係は大きく減衰します。


4. 過剰な医療費・休業損害・慰謝料のカットを実現する方法

相当因果関係の精査が進むと、相手が請求している金額の正当性が揺らぐことになります。ここでは、具体的な金銭的請求を減額・カットするための実務的な手段を解説します。

カルテや診療報酬明細書の開示要求(弁護士会照会など)

相手側が「うつ病による通院費」や「休業損害」を請求の根拠としている場合、その客観的な証拠の提出を求めます。任意での開示が難しい場合は、弁護士を通じて医療記録やカルテの開示を求めるなどし、実際の通院頻度、医師の診断内容、休職の必要性などを徹底的に検証します。

「心因の寄与度」の主張による減額

裁判実務や示談交渉においては、精神疾患の発症に対する不倫の寄与度(影響の大きさ)を評価することがあります。仮にうつ病の診断が下されていたとしても、その発症に対して仕事のストレスや元々の性格傾向(素因)が大きく影響していると認められる場合、いわゆる「素因減額」や「寄与度割合の調整」により、請求額を大幅に減額・カットすることが可能になります。


5. 個人間交渉の限界と、弁護士に依頼するメリット

配偶者やその代理人弁護士から「うつ病診断書」や「高額な請求書」を突きつけられると、当事者同士の話し合いでは気圧されてしまい、相手の要求をそのまま呑んでしまうケースが後を絶ちません。

しかし、法的根拠や医学的相当因果関係の観点から冷静に反論を行うことで、法外な慰謝料や損害賠償を適正な水準まで減額できる可能性は十分にあります。

法律事務所公的な相談窓口や弁護士会等では、数多くの不倫・浮気慰謝料トラブル、減額防衛案件を手がけてまいりました。相手の主張する精神的苦痛やうつ病の診断に対する因果関係の精査、医療記録の分析、過剰請求のカットに至るまで、依頼者様の利益を守るために徹底的にサポートいたします。

「相手から法外な慰謝料を請求されて困っている」「うつ病を理由に高額な賠償を迫られている」という方は、一人で悩むことなく、どうぞお早めに当事務所の弁護士までご相談ください。

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弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、交通事故の賠償問題をはじめ、事業者様を狙う求人広告詐欺の被害救済やオフィス・テナント等の原状回復トラブルなど、不測の事態に直面した皆様の精神的・経済的なご負担を少しでも和らげ、正当な権利の実現と円満な解決へと導くためのサポートを徹底して行っています。

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