【弁護士による抗議書面の効果】弁護士名義で刑事告訴および法的措置を辞さない旨の強硬な抗議書面を送付することで、不当な取り立てを即座に停止させ、適切な話し合いの土台を作ることが可能です。
不貞行為(不倫・浮気)をしてしまった側であっても、法律上守られるべき最低限の権利やプライバシーは存在します。しかし、配偶者の怒りのあまり、理不尽で過酷な取り立てや脅迫まがいの要求を受けるケースが後を絶ちません。
「会社にバラされたくなかったら今すぐ全額払え」「土下座しろ」「自宅の前で大声で騒ぐ」といった行動は、いかに不倫が原因であっても許されるものではありません。
本記事では、相手の配偶者からの過酷な取り立てに対する法的対処法と、刑事告訴を視野に入れた「抗議書面」の効力について、夕陽ヶ丘法律事務所の弁護士が詳細に解説します。
1. 不倫の慰謝料請求における「許されない過酷な取り立て」とは
不貞行為の被害を受けた配偶者が精神的なショックを受けるのは当然であり、慰謝料を請求する権利は法律で認められています。しかし、請求の「方法」や「手段」には厳格な法律上の限界があります。
以下のような行為は、たとえ請求側に正当な理由があったとしても、違法な取り立てや犯罪行為とみなされる可能性が極めて高いといえます。
- 自宅や実家への執拗な押しかけ: 何度も自宅のインターホンを鳴らす、居座る、家族に不倫の事実を暴露する。
- 職場への連絡・突撃: 勤務先に電話をかけ続けたり、会社に直接押しかけたりして業務を妨害する。
- 暴言や脅迫: 「人生をめちゃくちゃにしてやる」「子供の通う学校に言いふらす」「ただじゃ置かない」などの危害を加える告知。
- 不当な強要: 法外な高額慰謝料をその場で無理やり支払わせようとする、脅して誓約書に署名捺印させる。
- プライバシーの侵害: SNS等に顔写真や個人情報を晒す、周囲に言いふらすと脅す。
これらの行為は、民法上の不法行為(プライバシー侵害や名誉毀損)にとどまらず、刑法上の犯罪に該当するリスクがあります。
2. 刑事罰の対象となり得る具体的な罪状
感情的になった相手がエスカレートさせた結果、刑事事件に発展するケースは少なくありません。具体的にどのような罪に問われる可能性があるのでしょうか。
脅迫罪(刑法第222条)
「殺してやる」「会社をクビにしてやる」「家族全員の生活を奪ってやる」など、生命、身体、自由、名誉、または財産に対して害を加える旨を告知して人を脅した場合に成立します。法定刑は「2年以下の懲役または30万円以下の罰金」です。強要罪(刑法第223条)
義務のないこと(法外な額の即日払いや、不当な内容の誓約書の書面作成など)を強要した場合に成立します。暴行または脅迫を用いて行われることが多く、「3年以下の懲役」という比較的重い罪が定められています。恐喝罪(刑法第246条・未遂を含む)
脅迫や暴行を用いて相手を畏怖させ、金銭を交付させようとした場合(または交付させた場合)に成立します。「10年以下の懲役」となります。不貞の慰謝料という名目であっても、社会通念上不当な高額金を脅して奪おうとする行為は恐喝とみなされる余地があります。威力業務妨害罪(刑法第233条)
職場に連絡して大騒ぎしたり、業務を継続できない状況に追い込んだりした場合に成立します。「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」となります。3. なぜ「抗議書面」が有効なのか?弁護士介入のメリット
過酷な取り立てを受けているとき、ご自身だけで相手に連絡を取るのは非常に危険です。恐怖心から不利な合意書にサインしてしまったり、口論がさらに激化したりするおそれがあるからです。
このような状況を打破するために最も効果的なのが、弁護士名義による「抗議書面(警告書)」の送付です。
① 威圧的な態度を冷静化させる
個人間でやり取りをしているうちは感情的な応酬になりがちですが、弁護士という法的な専門家が代理人として介入することで、相手は「これ以上の違法な取り立ては法的にマズい」と冷静さを取り戻す契機になります。② 違法行為に対する明確な牽制と警告
これまでの脅迫的な言動、深夜の電話、職場への連絡などが、どの法律のどの条文(脅迫罪・強要罪・名誉毀損など)に違反しているのかを具体的に指摘し、即座に中止するよう強く警告します。③ 刑事告訴への言及
書面の中で、「今後も同様の過酷な取り立てや脅迫行為が継続する場合や、法外な要求が続く場合には、直ちに警察への刑事告訴および法的措置へ移行する」旨を明確に伝えます。これにより、相手の不法な行動をピタリと止めることが期待できます。④ 連絡窓口を弁護士に一本化できる
抗議書面には「今後、本人への直接の連絡、自宅や職場への訪問は一切禁止する。すべての連絡は弁護士事務所を通すこと」という条項を盛り込みます。これにより、精神的な平穏を取り戻すことができます。4. 抗議書面を送付するまでの実践的なステップ
過酷な取り立てに対抗し、安全に話し合いの土台を作るためには、確実な証拠の確保と段階的なアプローチが不可欠です。
- 過酷な取り立ての証拠を徹底的に集める: 脅迫的な内容のショートメッセージ、LINEの画面スクショ、通話録音、自宅周辺での防犯カメラ映像、職場からの報告メモなどを残しておきます。証拠こそが、抗議書面および刑事告訴の最大の武器となります。
- 弁護士への相談と受任: 証拠を持って弁護士に相談し、相手の行動の違法性を精査してもらいます。依頼を受けると、弁護士はすぐに相手に対する受任通知および抗議書面の作成・発送手続きに入ります。
- 内容証明郵便等による抗議書面の送付: 弁護士の名義で、相手方に対し、違法な取り立ての即時停止、今後の連絡窓口の変更、そして適正な慰謝料額に基づく冷静な話し合いの提案を通知します。
- 適正額での解決交渉へ移行: 相手が不当な要求を取り下げた段階で、不貞行為自体の責任(慰謝料)について、法的に妥当な金額での示談交渉を進めます。
・専門窓口へのご相談
不倫をしてしまったという負い目から、「自分が悪いのだから何をされても仕方がない」と、過酷な取り立てや脅迫に耐え続けてしまう方が多くいらっしゃいます。
しかし、法治国家において、私的な復讐や、脅迫・強要を伴う過酷な取り立てが許されることは絶対にありません。あなたは、不法な暴力を受けるために生きているわけではないのです。
公的な相談窓口や弁護士会等では、依頼者様の人権とプライバシーを守り、相手方の過酷な取り立てを迅速に停止させるための抗議書面の作成、および刑事告訴を見据えた強力な法務サポートを行っております。
「会社に知られそう」「毎日脅されて精神的に限界だ」という方は、どうか一歩を踏み出してご相談ください。私たちがあなたの平穏な日常を取り戻すための盾となります。