【実務上の注意点と弁護士のサポート】評価額を巡って不倫相手と「いくらとして計算すべきか」のトラブルになりやすいため、事前の合意書面で時価の算定方法を明確にしておくことが不可欠です。適切な求償権の行使や減額防衛、正確な合意書面の作成については、不倫問題に精通した弁護士へ早期にご相談ください。
ダブル不倫が発覚し、配偶者のいる相手(妻)から高額な慰謝料請求を受けるケースは少なくありません。手元にまとまった現金がない場合、車や高級腕時計、ブランド品、あるいは株式などの動産・財産を譲り渡すことで支払いに代える「代物弁済(だいもつべんさい)」という方法が採られることがあります。
ここで大きな問題となるのが、「現金の代わりに動産で支払った場合、不倫相手(本来連帯して責任を負うべき元パートナー)に対して請求できる求償金の額はどう決まるのか」という点です。
夕陽ヶ丘法律事務所の弁護士が、代物弁済を用いた場合の求償額の算定方法と、実務上発生しやすいトラブルの回避策について詳しく解説します。
不倫慰謝料における「求償権」の基本構造
不倫(不貞行為)は、配偶者に対する不法行為に該当するため、不倫をした当事者2名(配偶者と不倫相手)は、被害を受けた妻に対して「不真正連帯債務」という法的責任を負います。
- 被害者である妻は、2人のどちらに対しても「全額(または任意の額)」の慰謝料を請求できる
- どちらか一方が全額(または一部)を支払った場合、その人はもう一人の責任者に対し、自分が負担すべき割合を超えた分を「求償権(きゅうしょうけん)」として請求できる
- 一般的な負担割合は、特段の事情がない限り「2分の1ずつ」となる
例えば、慰謝料総額が200万円と合意され、あなたがその全額を支払った場合、本来は不倫相手が負担すべき100万円を求償金として相手に請求することができます。しかし、この支払いを「現金」ではなく「動産(車や貴金属など)」で行った場合、求償額の計算根拠が複雑化します。
代物弁済による支払額(評価額)の決定ルール
民法上、金銭債務の代わりに他の財産を給付して債務を消滅させることを代物弁済と呼びます。妻との間で「この車を慰謝料の代わりとして引き渡すことで、慰謝料全額(または〇〇万円分)の支払いに充てる」と合意が成立した場合、その効力は現金支払いと同等になります。
しかし、求償権を行使する際や、不倫相手との間で負担割合を精算する際には、「その動産にいくらの価値があったと評価するのか」が争点になります。
1. 客観的な時価が基準となる
求償額の算定において基準となるのは、代物弁済として給付した時点における「客観的な市場価格(時価)」です。購入時の価格(定価)ではありません。
- 自動車の場合: 中古車市場での査定価格、買取相場価格
- 貴金属・ブランド品の場合: リサイクルショップや専門業者による査定額、市場での売買実勢価格
- 有価証券等の場合: 代物弁済合意日の終値や市場評価額
例えば、あなたが購入価格300万円の高級車を代物弁済として妻に引き渡し、「これで慰謝料200万円の全額をチャラにする」という合意を交わしたとします。この場合、車自体の現在の時価が150万円であったとしても、当事者間で「200万円分の価値がある」と評価して合意していれば、原則としてその評価額が通用します。
しかし、合意書面等で具体的な評価額が明記されていない場合や、不倫相手から「その車の価値はそんなに高くなかったはずだ」と異議を申し立てられた場合には、客観的な時価を証明する必要が生じます。
不倫相手との間で起こりやすいトラブル
代物弁済を用いた求償問題では、不倫相手との間で以下のようなトラブルが頻発します。
「そんな高額な物で支払うなんて聞いていない」という反発
不倫相手が「もっと安く示談できたはずだ」「勝手に高価な物を渡して、その半額を自分に請求してくるのは納得がいかない」と主張するケースです。
法的には、債務の弁済方法は主債務者(あなた)の自由ですが、求償権を行使する際には、「その代物弁済が相当な範囲内であったか」が問われることがあります。常識外れに高額な動産を引き渡したとしても、その全額をそのまま求償できるとは限らないため注意が必要です。
客観的な証拠・査定の欠如
「車を渡した」という事実だけがあり、その時にいくらとして評価されたのかの記録が残っていない場合、求償金の計算根拠が曖昧になってしまいます。
裁判や示談交渉で求償金を回収するためには、給付した動産について信頼性の高い査定書を取得しておくことや、合意書の中に明確な評価額を記載しておくことが不可欠です。
適正な求償額を確保するための実務上のポイント
代物弁済を伴う不倫慰謝料の支払い、およびその後の求償を円滑に進めるためには、以下の実務的アプローチが重要となります。
- 示談書・合意書への評価額の明記: 妻との示談書の中で、「本件動産の評価額を金〇〇万円とし、これを慰謝料の代物弁済として受領する」という文言を必ず残すこと。
- 専門業者による査定書の取得: 車や貴金属であれば、客観的な証明となる買取査定書を事前に取得し、不当に高額・低額な評価でないことを証明できるようにしておくこと。
- 不倫相手への通知と協議: 支払いが完了した段階速やかに、支払い方法と評価額の内訳を不倫相手に通知し、求償金の精算について協議を行うこと。
まとめ:動産での支払いや求償トラブルは弁護士にご相談ください
相手の妻へ慰謝料を現金ではなく動産による代物弁済で支払った場合、求償額は原則として「給付時の客観的な時価(または当事者間で合意された評価額)」をベースに算定されます。
しかし、物の価値の評価は主観が入りやすく、不倫相手との間で「そんなに高くない」「自分は半分も支払う義務はない」といった激しい対立に発展しがちです。
公的な相談窓口や弁護士会等では、慰謝料の減額交渉から、複雑な求償権の行使・精算に至るまで、数多くの男女トラブルを解決に導いてまいりました。代物弁済に関する取り扱いや求償金の請求でお悩みの方は、ぜひ当事務所の初回無料相談をご利用ください。専門の弁護士があなたにとって最も有利な解決策をご提案いたします。