【弁護士が解説する示談書作成のメリット】口頭の約束では後日の翻意や「脅されて書いた」という言い訳を防げないため、法的効力を持つ示談書を交わすことが不可欠です。自身で不備のない文面を作成することが難しい場合や、相手が不誠実な対応をとる場合は、弁護士に依頼して確実な示談書を作成・締結し、将来のトラブルを完全に防止することをおすすめします。
不倫や浮気のトラブルを解決する際、最も重要となるのが当事者間の合意事項を書面化する「示談書」の作成です。口頭での約束だけでは、後になって「そんな言っていない」「脅されて書かされた」などと翻意され、さらなる紛争に発展するリスクが拭えません。
示談書にはいくつかの絶対に欠かせない必須条項が存在しますが、その中でも最上流に位置するのが「不貞事実の承認と心からの謝罪」の項目です。
この記事では、夕陽ヶ丘法律事務所の弁護士が、実務上最も効果を発揮する示談書の文面例とその書き方のポイントを詳しく解説します。
なぜ示談書に「不貞事実の承認と謝罪」が必要なのか
不貞行為(不倫・浮気)に対する慰謝料請求において、加害者が自身の過ちをしっかりと認め、謝罪することは、精神的な救済だけでなく法的にも大きな意味を持ちます。
1. 証拠としての価値と将来の争いの防止
裁判や示談交渉の場では、不貞行為の存在を証明する証拠(LINEのやり取り、写真、ホテルに出入りする様子など)が必要になります。しかし、示談書の中に「いつ、誰と肉体関係を持ったか」を当事者双方が合意のうえで署名・押印していれば、それ自体が動かぬ強力な証拠となります。後日、加害者が「あの時は勘違いしていた」「不貞行為は実際にはしていない」と主張を変えたとしても、署名入りの示談書があればその主張を封じることができます。
2. 精神的な区切りと更生への第一歩
被害を受けた側にとって、相手からの明確な謝罪と事実の承認は、失われた信頼を取り戻すための、あるいは心を整理して新たな一歩を踏み出すための重要なプロセスです。単にお金を払うだけでなく、「自分のした行為の重さを自覚している」という意思表示が文面に表れていることが、被害者の精神的平穏を取り戻すカギとなります。「不貞事実の承認」の具体的な文面と書き方のコツ
不貞事実を承認させるための文面は、あいまいな表現を排除し、具体的に特定することが鉄則です。
具体的な文面例
- 「乙(加害者)は、甲(被害者)に対し、配偶者である丙との間において、婚姻関係が継続中であると知りながら、2025年4月頃から2026年3月頃までの間、ラブホテル等において複数回にわたり肉体関係を持ったこと(以下「本件不貞行為」という)を認め、これが本件夫婦関係を害する不法行為であることを深く自認する。」
書き方の重要なポイント
- 既婚者であることの認識(故意の有無): 相手が既婚者であることを知らなかった(過失がない)と主張される余地をなくすため、「既婚者であることを知りながら」という文言を入れます。
- 期間や頻度の特定: いつからいつまで、おおむね何回程度の関係であったかを記載します。ただし、正確な回数が不明な場合は「複数回」「継続的」などの表現でも構いません。
- 不法行為の自認: 単なる交際ではなく、法律上の「不法行為(損害賠償責任が発生する行為)」に該当することを加害者に自覚させ、その事実を受け入れさせます。
「心からの謝罪」を明文化する文面と留意点
謝罪の文面は、定型的な形式にとどまらず、被害者の受けた精神的苦痛に対する反省の意をしっかりと形にする必要があります。
具体的な文面例
- 「乙は、本件不貞行為により甲が被った多大な精神的苦痛および経済的・時間的損害に対し、心から深く謝罪する。」
- 「乙は、今後一切、丙(配偶者)に対して連絡を取らず、私的な接触を一切持たないことをここに誓約する。」
謝罪条項とセットで盛り込むべき事項
ただ「謝罪する」という文言だけでは不十分です。謝罪の真摯さを担保するため、以下の実務的な約束を必ずセットで組み込みます。- 接触禁止の誓約: 電話、メール、LINE、SNSのダイレクトメッセージなど、あらゆる手段を用いた連絡の禁止。
- 接近禁止の誓約: 偶然遭遇した場合を除き、意図的に近づかないこと。
- 違反時のペナルティ(違約金): 万が一、再度接触したり連絡を取ったりした場合には、速やかに一定の違約金を支払う旨の条項。
実務上よくあるトラブルと弁護士介入のメリット
インターネット上のテンプレートをそのまま流用して示談書を作成した結果、法的な効力が弱かったり、肝心な条項が抜けていたりするトラブルが後を絶ちません。
よくある失敗例
- 事実関係があいまい: 「仲良くしていたことは認めますが、肉体関係はありません」などと言い逃れができるような文面になっており、慰謝料請求訴訟で敗訴した。
- 当事者の特定漏れ: 氏名や住所の記載に不備があり、いざ強制執行をしようとした際に本人特定ができなくなった。
- 清算条項の不備: 謝罪と示談金を受け取った後に、被害者がさらに別の名目で追加請求を行い、泥沼の裁判に発展した。
法テラスや弁護士会等の公的窓口にご相談いただくメリット
公的な相談機関や専門窓口では、数多くの不倫・浮気慰謝料請求事件を解決に導いてきた実績豊富な弁護士が、ご相談者様の状況に合わせたオーダーメイドの示談書を作成いたします。相手方との直接交渉を弁護士が代理することで、精神的なストレスを大幅に軽減できるだけでなく、法的拘束力と実効性の高い「公正証書」の作成までワンストップでサポート可能です。「納得のいく謝罪を引き出したい」「将来の不安を完全に断ち切りたい」とお考えの方は、ぜひ法テラスや弁護士会の無料法律相談窓口のご利用をご検討ください。