【弁護士への相談と早期対応のメリット】連絡先や居場所が分からない場合でも、プロの弁護士が介入することで戸籍の附票や住民票の調査、法的手段をスムーズに進められます。泣き寝入りせず、まずは手元の示談書を持参して弁護士に相談し、確実な財産差押えの準備を進めましょう。
不倫の示談が成立し、これから慰謝料が支払われるはずだった矢先に、相手が会社を辞めて行方をくらましてしまうケースは後を絶ちません。「会社を辞めれば慰謝料を払わなくてよくなる」と安易に考えている不倫相手も少なくありませんが、法律上、退職によって慰謝料の支払い義務が消滅することは絶対にありません。
しかし、連絡先を変えられ、新しい勤務先も分からない状態では、泣き寝入りしてしまうのではないかと不安になりますよね。本記事では、不倫相手が示談金の不払いのまま転職・退職した場合に、新しい勤務先をどのように追跡し、確実に慰謝料を回収するための法的手続きについて詳しく解説します。
示談金未払いのまま退職されたときの初期対応
不倫相手が会社を辞めたという事実を知ると、パニックになってしまうかもしれません。しかし、冷静に対処しなければ、相手の思う壺になってしまいます。まずは、手元にある示談書や合意書の法的効力を確認することから始めましょう。
債務名義の有無を確認する
示談金を取り戻すために最も重要なのが、その示談書がどのような形式で作成されているかです。
- 公正証書(執行文付):強制執行認諾文言が記載された公正証書であれば、裁判を起こすことなく、すぐに給与や財産の差押え手続きに移行できます。
- 通常の合意書(私文書):当事者間で作成したサイン入りの示談書である場合、そのままでは差押えができません。相手が不払いを続けた場合、まずは裁判を起こすか、支払督促、調停などの法的手続きを経て「債務名義」を取得する必要があります。
もし、公正証書にしていなかった場合でも、相手が不倫の事実や示談金の支払いを認めている書面や音声があれば、訴訟を有利に進めることが可能です。
新しい勤務先を特定するプロの追跡手法
「会社を辞めた」「どこにいるか分からない」という場合でも、法的な権限を使えば相手の居場所や新しい勤務先を突き止めることは十分に可能です。個人で探偵を雇う高額な費用をかける前に、弁護士を通じた法的手続きを検討しましょう。
1. 弁護士職権請求の活用
弁護士には、受任している事件を解決するために必要な調査を行う「弁護士法第23条の2に基づく照会(職権請求)」という強力な権限が認められています。
- 住民票や戸籍の附票の取得:相手が転居届を出して夜逃げのように引っ越した場合でも、弁護士会を通じて住民票の除票や現在の住民票を取り寄せ、現住所を特定できます。
- 金融機関や携帯電話会社への照会:過去の契約情報などから手掛かりを得られる場合もあります。
2. 裁判所の「財産開示手続」の利用
債務名義(公正証書や判決など)を持っていることが前提となりますが、令和2年の民事執行法改正により導入された「財産開示手続」は、非常に強力な追跡手段です。
- 裁判所への出頭命令:裁判所が債務者(不倫相手)を呼び出し、現在保有している財産や勤務先について宣誓の上で陳述させます。
- 正当な理由なく拒否した場合の罰則:もし正当な理由なく出頭を拒んだり、嘘の供述をしたりした場合には、刑事罰(6か月以下の懲役または50万円以下の罰金)が科されるため、相手に心理的な強いプレッシャーを与えることができます。
3. 第三者からの情報取得手続
財産開示手続と組み合わせることでさらに効果を発揮するのが「第三者からの情報取得手続」です。裁判所を通じて、公的機関や金融機関、そして過去の勤務先(退職金支払者)などから情報提供を受けることができます。
- 勤務先に関する情報:債務者が以前勤めていた会社に対し、退職金の情報や、もし転職先を知っていればその情報などを照会できる場合があります。また、住民税の特別徴収の仕組み等を利用して、市区町村役場から新しい勤務先の情報を辿る手がかりを得ることも法律の専門家であれば可能です。
新しい勤務先を特定した後の「給与差押え」の流れ
新しい勤務先(転職先)が判明したら、迅速に給与の差押え(債権執行)手続きを行います。不倫相手がどれだけ支払いを拒否しようとも、勤務先から強制的に給与天引きする形で回収できるため、非常に確実性の高い回収方法です。
給与差押えのメリットと注意点
- 精神的なプレッシャー:会社に対して裁判所から差押命令書が届くため、不倫相手は会社に不倫や借金(慰謝料未払い)の事実を知られることになります。これにより、職場にいづらくなり、一括で示談金を支払って和解を求めてくるケースも少なくありません。
- 差押え可能な上限額:生活権を保護するため、給与の全額を差し押さえることはできません。原則として、手取り給与の4分の1(手取りが非常に高額な場合は一定の制限あり)が上限となりますが、未払いが完済されるまで毎月継続して差押え続けることができます。
転職・退職された場合のよくある疑問と対策
Q: 相手が「無職」や「アルバイト」に変わっていた場合はどうなる?
正規雇用からアルバイトや無職に変わった場合でも、給与や報酬が発生している限り、その債権を差し押さえることは可能です。また、預貯金口座が判明していれば、口座内の残高を直接差し押さえることもできます。完全に無収入であっても、債務は消えませんので、就労して給与を得るようになったタイミングを見計らって再度差押えを実行します。
Q: 連絡先をすべてブロックされている場合は?
電話番号やLINEをブロックされている場合、直接の交渉は不可能です。しかし、内容証明郵便を自宅や実家に送る、あるいは裁判所を通じた法的手続き(訴訟の提起や差押え命令の送達など)を行うことで、相手が無視できない状況を作り出すことができます。実家に書類が届くことで、親族を巻き込んで解決に至るケースもあります。
まとめ:泣き寝入りせず、弁護士とともに確実な回収を
不倫相手が示談金の不払いのまま会社を転職・退職したとしても、法律の正しい知識と手続きを踏めば、居場所を突き止めて慰謝料を回収することは十分に可能です。相手の巧妙な逃げ得を許してはなりません。
公的な相談機関や専門窓口では、行方不明となった不倫相手の追跡から、財産開示手続、給与の差押えに至るまで、トータルでサポートしております。「連絡が取れなくなった」「転職先が分からない」とお悩みの方は、一人で抱え込まずに、どうぞお気軽に夕陽ヶ丘法律事務所の弁護士までご相談ください。