【今後の対応と注意点について】管理1であっても石綿(アスベスト)の粉じんにばく露した経歴がある場合、時間の経過とともに病態が進行して管理区分が上がり、将来的に受給資格を得られる可能性があります。定期的な健康診断を欠かさず受診し、少しでも体調の変化や不安がある場合は、専門知識を持つ弁護士に早めに無料相談を行い、就歴の整理や今後のカルテ確保についてアドバイスを受けることを強くおすすめします。
アスベスト(石綿)を吸入したことによって発症する職業病の一つに「石綿肺(せきめんはい)」があります。健康診断や精密検査の結果、「じん肺管理区分:管理1」と告げられた方から、「自分は給付金をもらえるのだろうか」というご相談をいただくことが増えています。
この記事では、石綿肺と診断された際の「じん肺管理区分」と国の給付金制度(建設アスベスト給付金や労働者災害補償保険など)の関係について、法律の専門家の視点から分かりやすく解説します。
じん肺管理区分「管理1」とはどのような状態か
じん肺法においては、粉じんを吸入することによって肺に生じた繊維化(いわゆる「じん肺」)の程度を評価するために、胸部エックス線写真などの所見に基づいて「じん肺管理区分」を判定します。
管理区分は以下の4段階に分かれています。
- 管理1:じん肺の所見がない、または軽微であり、肺機能等に異常が認められない状態
- 管理2:じん肺の所見はあるが、肺機能への影響が軽く、通常の労務に支障がない状態
- 管理3:じん肺の所見があり、肺機能に一定の障害が認められる状態
- 管理4:じん肺の所見が高度であり、著しい肺機能障害が認められる状態
「管理1」と判定された場合、これは医学的には「じん肺の所見がほとんどない、あるいは有所見であっても法的な管理区分としては健康を保てている(労災保険上の給付対象となるような重篤な障害には至っていない)」という状態を意味しています。
なぜ管理1ではアスベスト給付金がもらえないのか
国が支給する「特定アスベスト被害者等に対する給付金等支給法(建設アスベスト給付金制度)」や、労災保険の石綿による健康被害に対する補償では、受給するための要件として「特定の病気の発症」が法律で定められています。
アスベストに関連する主な対象疾病は以下の通りです。
- 中皮腫(ちゅうひしゅ)
- 肺がん
- 著しい呼吸不全を伴う良性アスベスト胸水
- びまん性胸膜肥厚(ひまん性きょうまくひこう)
- 石綿肺(ただし、じん肺管理区分が管理2、管理3、管理4のものに限る)
法律上、石綿肺に関しては「管理2以上」であることが絶対的な要件とされています。そのため、どれほど長期間にわたって粉じん作業に従事し、体内にアスベストを吸い込んでいたとしても、現在の管理区分が「管理1」である限りは、法律上の支給要件を満たさないため、給付金を請求することができません。
管理1と診断された方が今後とるべき重要な行動
「管理1だから自分には関係ない」と諦めてしまうのは早計です。アスベストによる健康被害には、極めて長い潜伏期間(通常は数十年の歳月)があるという大きな特徴があります。また、石綿肺は一度発症すると、たとえ粉じん作業から離れた後であっても、年月とともに徐々に病態が進行していくケースが少なくありません。
現在「管理1」と診断されている方が、今後ご自身の権利を守るために心がけておくべきポイントを解説します。
1. 定期的な健康診断と精密検査の継続
じん肺管理区分は、その時点での状態を示すものです。現在は管理1であっても、将来的に咳や息切れなどの症状が現れ、再検査を受けた結果として「管理2」や「管理3」へと区分が引き上げられる可能性があります。 自治体や労災病院、あるいは労災保険の二次健康診断などを活用し、医師の指導のもとで定期的に肺の状態をチェックし続けることが何よりも重要カルテとなります。
2. 労働歴や粉じん作業従事歴の記録・証拠保全
将来的に病態が進行し、給付金の受給要件を満たしたときにスムーズに請求手続きを行えるよう、過去の職歴や作業環境に関する証拠を手元に集めておくことをお勧めします。
- 雇用主(会社)の名称や所在地がわかるもの(源泉徴収票、年金手帳、雇用契約書など)
- 従事していた具体的な作業内容や、現場でアスベストを取り扱っていた状況のメモ
- 健康診断の結果通知書や医療機関の診断書・レントゲンフィルムなどの保存
建設現場などで働いていた方の場合、どのような職種でいつ頃働いていたかが給付金の金額や要件を左右するため、記憶が鮮明なうちに記録を残しておくことが極めて有効です。
3. 専門の弁護士への事前相談
「自分がアスベスト給付金の対象になるかどうか分からない」「過去の職歴からみて将来的に請求できそうか知りたい」という場合は、アスベスト被害の救済に精通した弁護士法人に早めにご相談ください。
当事務所では、現在の診断結果やこれまでのご経歴をヒアリングさせていただき、現時点での可否だけでなく、将来を見据えたアドバイスや証拠集めのサポートを無料で行っております。
まとめ
石綿肺と診断され、じん肺管理区分が「管理1」と言われた場合、現時点では国の給付金の支給対象外となります。給付金を受け取るためには、管理2、管理3、または管理4への病態の進行が必要です。
しかし、管理1は「今後も安心してよい」という意味ではありません。アスベストによる健康被害の特性上、年月を経て病状が進行するリスクが常に存在します。定期的な検査を怠らず、ご自身の健康状態の変化に注意を払いながら、万が一の際には速やかに対応できるよう準備をしておくことが大切です。
夕陽ヶ丘法律事務所では、アスベスト被害に関するご相談を幅広く受け付けております。ご自身やご家族の健康診断結果について疑問や不安がある方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。
⚠️ 【新規ご相談受付一時停止のお知らせとお詫び】
現在、相談枠の上限に達しているため、当事務所におけるアスベスト(石綿)健康被害給付金・賠償金請求に関する新規個別相談の受付を一時停止しております。ご不便をおかけし誠に申し訳ございません。
- 独立行政法人 環境再生保全機構(石綿健康被害救済制度):
0120-389-931(平日 10:00〜17:00 / 通話料無料) - 厚生労働省 労災保険相談ダイヤル(建設アスベスト給付金等):
0570-006031(月〜金 8:30〜17:15 / ※申請はお近くの労働基準監督署へ) - 法テラス(日本司法支援センター): 0570-078374(平日 9:00〜21:00、土曜 9:00〜17:00)
- 全国の弁護士会 法律相談センター: 全国の弁護士会にて各種法律相談が開設されています。
