【日本国内の戸籍謄本の代わりに現地の公証人による宣誓供述書やサイン証明などの特殊な証明書類の提出が必要です】海外からの複雑な証明手続きや証拠収集を円滑に進め、死亡後20年の除斥期間内に確実に請求するためには、アスベスト訴訟や給付金請求に精通した弁護士による無料診断を活用し、適切なサポートを受けることが極めて重要です。
アスベスト(石綿)による健康被害を受けられた方が亡くなられた場合、残されたご遺族には国からの建設アスベスト給付金や、旧石綿関連企業に対する損害賠償請求を行う権利が認められています。
しかし、ご遺族の中には、長年の海外移住によってすでに日本国籍を離脱し、外国籍を取得されている方も少なくありません。
「日本国籍がないと請求できないのではないか」 「海外から日本の国や企業に対して裁判や手続きをするのは不可能なのではないか」
このような不安を抱えている方もいらっしゃるでしょう。結論から申し上げますと、外国籍を取得されたご遺族であっても、法律上の要件を満たしていればアスベスト給付金や損害賠償金を受け取る権利を行使することが可能です。
この記事では、海外在住かつ外国籍である遺族がアスベスト給付金等を請求する際の法的な仕組みや、必要となる特殊な証明書類、実務上の注意点について詳しく解説します。
外国籍の遺族でもアスベスト給付金は請求できるのか
建設アスベスト給付金法や、国との和解手続、あるいは最高裁判所の判例に基づく企業賠償において、請求権を持つ遺族の範囲は民法上の相続人に準じて定められています。
国籍条項の有無について
アスベスト被害に関する救済制度において、請求権者に日本国籍を必須とする「国籍条項」は設けられていません。したがって、故人(被災者)の配偶者、子ども、父母などの法定相続人であれば、現在どのような国籍を有していても、法的な請求資格自体は保持しています。外国籍親族が直面する実務上のハードル
権利が認められている一方で、実際に海外から日本国内の機関(厚生労働省や裁判所)に対して請求を行う際には、日本国内に居住する遺族とは異なる手続き上の壁を乗り越える必要があります。 最も大きな課題となるのが、「日本国内における身分関係の証明」と「本人確認および署名の証明」です。日本に住民票や戸籍があれば、役所で戸籍謄本を取得するだけで親子関係や婚姻関係を容易に証明できますが、日本国籍を離脱して外国籍になった場合、日本の戸籍から除籍されているケースが多く、そのままでは日本の行政機関に対して親族関係を証明することが難しくなります。
外国公証人による宣誓供述書とサイン証明の重要性
日本国内の役所が発行する戸籍謄本等を利用できない外国籍の遺族が請求を行う場合、現地の公証制度を利用して代わりの証明書類を作成する必要があります。
宣誓供述書(Affidavit / Statutory Declaration)とは
宣誓供述書とは、請求者本人が「自分は故人の実の子どもである」「他に相続人は存在しない」といった事実について、現国の法律に基づいて真実であると宣誓し、その文書に署名するものです。 この文書は、現地の弁護士や公証人(ノータリー・パブリック:Notary Public)の面前で作成される必要があります。宣誓供述書を作成する際には、主に以下の事項を明確に記載します。
- 請求者本人の氏名、生年月日、現在の国籍および住所
- 亡くなったアスベスト被害者との具体的な続柄
- 被害者の死亡年月日および相続人の状況
- 虚偽の申告をした場合には罰則を受ける旨の誓約
サイン証明(署名証明)の取得
日本の役所手続きでは実印と印鑑証明書が重視されますが、海外には日本の印鑑制度が存在しない国がほとんどです。そのため、請求書や委任状などの書類に記載された署名(サイン)が、確かに請求者本人のものであることを証明するために、サイン証明(署名証明)が必要となります。これも現地の公証人の面前で書類に署名し、公証人に「この署名は間違いなく本人が行ったものである」と証明してもらうことで取得します。
アポスティーユ(Apostille)または領事認証の手続き
外国の公証人が作成した宣誓供述書やサイン証明を日本国内の官公庁や裁判所に提出する場合、その文書自体が「本当にその国の正式な公証人によって作成された本物であるか」を証明しなければなりません。ここで必要となるのが、アポスティーユ(Apostille)の取得または日本大使館・領事館による領事認証です。
- ハーグ条約加盟国の場合:現国の外務省や権限のある機関で「アポスティーユ」と呼ばれる付箋を取得することで、日本国内での公式文書としての法的効力が認められます。
- ハーグ条約非加盟国の場合:現国の外務省等による証明を経た後、さらに現地にある日本大使館または総領事館において領事認証を受ける必要があります。
外国籍遺族が請求を進めるための具体的なステップ
海外から日本のアスベスト給付金や損害賠償請求を進める場合、時差や言語の壁、複雑な法的手続きを1人で行うのは極めて困難です。そのため、次のような流れで専門家のサポートを受けながら進めるのが確実かつスムーズです。
ステップ1:弁護士への相談と代理人契約
まずは、アスベスト訴訟や給付金請求に精通した日本の弁護士事務所に相談を行います。近年ではオンライン面談(ZoomやTeamsなど)が普及しているため、海外にお住まいのままでも日本の弁護士と直接打ち合わせを行うことが可能です。 外国籍であること、現在の居住国、故人の暴露歴などを伝え、受給の可能性や必要な証拠書類の洗い出しを行います。ステップ2:日本に残る資料や生前情報の収集
被害者である故人が日本でどのような作業に従事していたか(労災保険の記録、雇用主の証明、健康診断の記録、カルテなど)を確認します。また、日本における最後の本籍地や除籍謄本の取得が可能かどうかも、弁護士とともに確認します。ステップ3:現地での宣誓供述書等の作成と認証
弁護士の指示のもと、現地の公証役場を利用して必要な宣誓供述書やサイン証明を作成します。国によって公証制度のルールや言語が異なるため、現地の日本大使館の相談窓口や、国際法務に強い専門家の助言を得ながら進めると安心です。ステップ4:日本国内での給付金申請または提訴
書類がすべて揃ったら、日本国内の弁護士が代理人となって、厚生労働省への給付金支給申請手続き、あるいは裁判所での和解協議・損害賠償請求訴訟を遂行します。給付金や賠償金が認められた場合、指定された海外の銀行口座へ送金を受けることも可能です。外国籍遺族の請求における注意点と時効の壁
海外に居住していることで、日本国内の情報をタイムリーに把握できず、重要な期限を逃してしまうリスクがあります。
除斥期間と消滅時効に注意
アスベストによる損害賠償請求には、法的な期限が存在します。- 損害賠償請求権(国や企業に対するもの):原則として、損害および加害者を知った時から一定期間(不法行為の場合は原則として損害発生から20年の除斥期間、または被害発覚から一定の期間)が経過すると請求できなくなります。
- 建設アスベスト給付金:法に定められた一定の請求期限(原則として被害者が死亡した日から起算して一定期間など)が設定されています。
言語の翻訳と費用についての考慮
外国語で記載された公的文書(外国の死亡証明書や婚姻証明書など)を日本国内の機関に提出する際には、原則として日本語の翻訳文を添付する必要があります。また、現地での公証費用やアポスティーユ取得費用、国際郵便費用などが別途発生するため、あらかじめ費用面についても弁護士と十分に相談しておきましょう。まとめ:外国籍の遺族であっても諦めずに弁護士にご相談を
海外に移住し日本国籍を離脱されたご遺族であっても、アスベスト被害に遭われた方のご家族としての正当な権利は失われません。
外国公証人による宣誓供述書やサイン証明、アポスティーユの取得など、通常の国内手続きとは異なる専門的な対応が求められますが、国際法務やアスベスト救済に精通した弁護士のサポートを受けることで、確実に手続きを進めることが可能です。
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