【受給に向けた注意点と無料相談】ただし、死亡後20年の除斥期間(時効)が迫っている場合や、建築現場での就歴を証明する資料・カルテの確保など、迅速な準備が必要です。複雑な手続きを確実に行い時効を逃さないためにも、建設アスベスト訴訟や給付金請求に精通した弁護士による無料診断を早めに受けることを強くおすすめします。
親御様が建築現場などでアスベスト(石綿)にさらされ、中皮腫や肺がんなどの労災認定疾患を発症して亡くなられた場合、残されたご家族は「建設アスベスト給付金」を国に請求することができます。
しかし、ご相談者様の中には「親に多額の借金があったため、家庭裁判所で相続放棄の手続きをしてしまった。自分は給付金を受け取れないのではないか」と不安に感じている方が少なくありません。
結論から申し上げますと、相続放棄をしたご遺族であっても、建設アスベスト給付金を受給することは法律上完全に認められています。
この記事では、相続放棄と建設アスベスト給付金の関係性や、なぜ受給できるのかという法的根拠について、夕陽ヶ丘法律事務所の弁護士が詳しく解説します。
なぜ相続放棄をしても建設アスベスト給付金はもらえるのか?
相続放棄をしたにもかかわらず建設アスベスト給付金が受け取れる理由は、「特定アスベスト被害者の訴訟等の和解に係る国との基本合意確認書」および「特定石綿被害建設業務労働者等の国等に係る給付金等の支給に関する法律」における給付金の性質にあります。
法律において、給付金や損害賠償請求権の法的性質は以下のように整理されています。
- 相続財産(遺産)ではない:給付金は、亡くなった方が生前に持っていた財産(預貯金や不動産など)ではなく、被害者本人やその遺族が被った精神的・経済的損害に対して国から支給されるものです。
- 遺族固有の権利である:法律(特定石綿被害建設業務労働者等の国等に係る給付金等の支給に関する法律)は、受給資格を持つ遺族に対して、最初からその人自身の権利として給付金を支給することを定めています。
日本の民法において「相続放棄」とは、亡くなった方のプラスの財産もマイナスの財産(借金や未払金など)も一切引き継がないという法的手続きです。
しかし、建設アスベスト給付金は「亡くなった方の遺産を相続する」のではなく、「法律によって遺族に直接与えられた独自の権利」であるため、相続放棄の効力は及びません。借金を帳消しにするために相続放棄を選んだ方であっても、国に対する給付金の請求権はしっかりと保持されているのです。
建設アスベスト給付金の対象となる遺族の範囲と順位
相続放棄をしていても給付金はもらえるとはいえ、誰でも無制限にもらえるわけではありません。法律によって、給付金を受け取ることができる遺族の範囲と順位が厳格に定められています。
国から支給される建設アスベスト給付金を受け取ることができるご遺族(法的受給権者)は、以下の順序で決定されます。
- 配偶者(事実婚も含みます):順位に関わらず最優先で受給権を持ちます。
- 子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹:配偶者がいない場合、または配偶者と一緒に請求する場合の順位となります。生活実態や扶養関係などを考慮して順位が定められます。
ここで重要なポイントは、「相続放棄をしたことで、民法上の相続人の順位が変わったとしても、給付金の受給資格者としての順位には影響しない」という点です。
例えば、第一順位である「子」が全員相続放棄をした場合であっても、建設アスベスト給付金の受給に関する法令上は、その子たちが給付金の受給権を失うわけではありません。ただし、実際の請求手続きにおいては、誰が主導して請求を行うか、他の親族との関係性を含めて法的な整理が必要になるケースがあります。ご自身のケースで誰が請求権を持っているか確信が持てない場合は、専門家である弁護士にご相談ください。
相続放棄と「損害賠償請求(建材メーカーへの提訴)」の違い
建設アスベスト問題の救済には、国から一律の基準で支払われる「建設アスベスト給付金」のほかに、アスベスト建材を製造していたメーカーを相手取って行う「損害賠償請求訴訟」の2つのアプローチが存在します。
ここで注意しなければならないのが、メーカーに対する損害賠償請求と、国からの給付金では法的性質が一部異なるケースがあるという点です。
- 国に対する給付金:法律に基づく「遺族固有の権利」として明確に規定されているため、相続放棄をしていても確実に受け取れます。
- 建材メーカーに対する損害賠償(和解金や賠償金):亡くなった被害者本人が持っていた「損害賠償請求権」を相続人が引き継ぐ(相続する)という側面が含まれる場合があります。
もし、建材メーカーに対して直接訴訟を起こす、あるいは和解金を請求するという段階において、完全に相続放棄をしてしまっていると、メーカーに対する損害賠償請求権を相続によって取得できなくなるリスクが生じることがあります。
そのため、「国からの給付金」と「建材メーカーへの損害賠償請求」は分けて考える必要があり、相続放棄を検討している段階、あるいはすでに放棄してしまった段階であれば、安易に自己判断せず、必ずアスベスト問題に強い弁護士に相談することが不可欠です。
相続放棄をしたご遺族が給付金を請求する際の手続きの流れ
実際に相続放棄をしたご遺族が、国に対して建設アスベスト給付金を請求する際の大まかな流れと必要書類について解説します。
1. 証拠資料の収集(最も重要)
建設アスベスト給付金を受け取るためには、亡くなった方が建設作業員としてアスベストに暴露し、特定の健康被害(肺がんや中皮腫、石綿肺など)を発症して亡くなったことを証明しなければなりません。
- 労働者手帳、雇用契約書、源泉徴収票などの就労履歴を示す資料
- 確定診断書、診療録(カルテ)、病理診断報告書などの医学的資料
- 戸籍謄本などの身分関係を証明する資料
これらの資料を集める際、ご遺族が遠方に住んでいたり、故人の古い資料が手元になかったりして難航するケースが多々あります。
2. 相続放棄に関する証明書の準備
「相続放棄をした」という事実自体は国への給付金請求においてマイナスになりませんが、裁判所での手続きを経ている証明として、「相続放棄申述受理通知書」や「相続放棄申述受理証明書」の提出を求められる場合があります。
これは「借金を放棄したから給付金ももらえない」という意味ではなく、「相続関係を正確に把握するため」に必要な書類となります。弁護士に依頼する場合は、これらの役所手続きや証明書の取得も含めて代行してもらうことが可能です。
3. 国への支給申請(または提訴)
必要書類を揃えた上で、国に対して支給申請を行います。要件を満たしていると認められれば、国から給付金が支給されます。
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