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建設アスベスト訴訟の和解や、国との間で締結される基本合意に伴い支給される「建設アスベスト給付金(正式名称:特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等支給給付金)」は、被害を受けたご本人だけでなく、亡くなられた後にご遺族が請求することが可能です。
しかし、ご遺族が一人ではなく、例えば長男と長女のように複数いらっしゃる場合、「誰がどのように申請して、お金はどのように分けられるのか」と戸惑われる方が少なくありません。
今回は、同順位の遺族が二人以上いる場合の給付金の受け取り方や、均分受給の具体的な仕組みについて、弁護士の視点から分かりやすく解説します。
1. 建設アスベスト給付金における「遺族の範囲と順位」の基本
アスベスト(石綿)を吸入したことによって肺がんや中皮腫などの健康被害を受け、亡くなられた方のご遺族に対しては、法律によって給付金を受け取る権利が認められています。この受給権を持つ遺族の範囲と優先順位は、法律で厳格に定められています。
給付金を受け取ることができる「第一順位」の遺族は以下のとおりです。
- 配偶者(事実婚も含みます)
- 子
- 父母
- 孫
- 祖父母
- 兄弟姉妹
法律上、上位の順位の人が一人でもいる場合、下位の順位の人は給付金を受け取ることができません。例えば、配偶者や子が健在である場合、父母や兄弟姉妹は請求権を持たないことになります。
問題となりやすいのは、この同順位の人が二人以上いる場合です。例えば、配偶者はすでに亡くなっており、遺族として「長男」と「長女」の2人が残されているようなケースがこれに該当します。
2. 同順位の遺族が複数いる場合の「均分受給」の仕組み
配偶者がおらず、子どもが二人(長男と長女)いるようなケースでは、給付金はどのように扱われるのでしょうか。
法律および制度のルールでは、同順位の遺族が二人以上いる場合、給付金の額は人数で均等に割った額(均分)を、それぞれの受給権者が受け取る仕組みになっています。
具体的な例を用いて説明します。 もし支給される給付金の総額が1,000万円である場合、同順位の相続人・受給権者である長男と長女の割合はそれぞれ2分の1ずつとなります。したがって、長男に500万円、長女に500万円が支給されることになります。
ここで重要なポイントは、「代表者一人の口座に1,000万円が振り込まれ、後で自分たちで分ける」という仕組みではないという点です。国(独立行政法人労働者健康安全機構)は、原則として各請求人の名義で指定された個別の口座へ、それぞれの持分に応じた金額を直接振り込みます。
3. 複数人で請求手続きを行う際の流れと注意点
長男と長女など、同順位の遺族が複数いる状態で給付金を請求する場合、手続きや必要書類の集め方にはいくつかの注意点があります。スムーズに受給を進めるための実務的なポイントを確認していきましょう。
全員が共同で請求人となる必要がある
給付金を請求する際、同順位の遺族全員が「請求人」として書類に署名・捺印し、共同で手続きを行うのが原則です。 例えば、長男だけが単独で書類を提出し、「妹の分も含めてまとめて自分の口座に振り込んでほしい」という申請は原則として認められません。長男と長女の双方が請求者として申請書類一式を作成する必要があります。
必要書類はそれぞれの分、あるいは戸籍等で共通のものを準備する
請求にあたっては、被災者(亡くなられた方)の生樹から死亡に至るまでのすべての戸籍謄本など、共通して必要となる証明資料のほかに、各請求人(長男、長女それぞれ)の本人確認書類や住民票、口座情報などを準備する必要があります。
特に、被災者との親子関係を証明するためには、亡くなられた方の戸籍だけでなく、請求人である子どもたちの戸籍謄本もそれぞれ取得しなければなりません。戸籍収集の範囲が広がるため、一人で進めるよりも早めに準備を始めることが大切です。
4. 一人が請求を辞退したい、または連絡が取れない場合の対応
実務の中で非常に多いトラブルが、「同順位の遺族の中に、請求を希望しない人がいる」「長年疎遠になっており、連絡が取れない兄弟姉妹がいる」というケースです。
このような場合、どのように対処すればよいのでしょうか。
請求を辞退したい人がいる場合
同順位の遺族のうちの一人が、「自分は給付金を受け取らない(請求をしない)」と希望する場合、その人は「受給権の放棄」または「代表者への委任(※実務上の取り扱いは機関の指示によります)」の手続きを行うことで対応可能です。 ただし、単に書類に名前を書かないだけでは手続きが止まってしまうことがあるため、事前に弁護士や関係機関に相談し、適切な辞退証明書や同意書を提出するのが確実です。
連絡が取れない親族がいる場合
例えば、長男と長女のほかに、何十年も音信不通の次男がいるような場合です。同順位の受給権者全員が揃わないと原則として手続きが進められないため、非常に大きなハードルとなります。 このようなケースでは、戸籍の附票などを辿って現在の住所を調査したり、弁護士が代理人となって連絡を試みたりする必要があります。解決には専門的な法的知識や調査能力が求められるため、早い段階で法律事務所に相談することをお強くおすすめします。
5. 遺産の相続とは異なる「給付金」の性質に注意
ここで、多くの方が誤解しやすいポイントについて解説します。それは、「給付金は遺産分割協議の対象とはならない」という点です。
一般的な預貯金や不動産といった「遺産」であれば、相続人全員で遺産分割協議を行い、「長男が全額を相続する」「長女が全額を相続する」といった自由な取り決めを行うことができます。
しかし、建設アスベスト給付金は、法律の規定に基づいて個々の遺族に直接与えられた固有の権利です。そのため、遺産分割協議によって「長男が給付金を全額もらう」と取り決めたとしても、国の制度上、長女の受給権を長男に勝手に移転させることはできません。
もし「受取人は一人にまとめたい」「複雑な家族関係でどう手続きすべきか悩んでいる」という場合は、法律のルールに則った正確なアプローチが必要となります。
6. まとめ:複雑な遺族請求は弁護士への相談が安心です
遺族が二人以上いる場合の建設アスベスト給付金の請求は、均分受給の仕組みや、全員分の書類の取りそろえ、連絡の取れない親族への対応など、個人で進めるには精神的・時間的負担が大きい作業が多く含まれます。
特に、建設アスベストの損害賠償請求や給付金申請には厳格な期限や要件があり、正確な知識なしに進めると、支給が大幅に遅れたり、手続きが滞ったりするリスクが生じます。
私たち弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所では、アスベスト被害に遭われた方やそのご遺族の皆様をサポートしてまいりました。複数人の相続や複雑なご家族構成における給付金請求についても、豊富な実績をもとに最適な解決方法をご提案いたします。
「自分たちのケースではどのように均分受給されるのか」「遠方に住む兄弟がいるがどうすればいいか」など、疑問や不安がございましたら、どうぞお気軽に当事務所の無料相談をご利用ください。専門の弁護士が丁寧にお話を伺い、スムーズな解決へと導きます。
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