平成期(平成16年以前)の公営住宅エレベーター設置・改修工事

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、建設アスベスト給付金法、泉南アスベスト国賠訴訟判例、労災保険・石綿救済法および厚生労働省の最新認定基準に基づき、法律実務の視点からわかりやすく解説しています。

Q 平成16年以前に公営団地のエレベーター設置・改修工事に従事していましたが、アスベスト給付金の対象になりますか?
A 【給付金の支給要件と対象作業】平成16年(2004年)以前の公営団地におけるエレベーター新設・改修工事では、昇降路の躯体ハツリや耐火被覆の切断等で高濃度のアスベスト粉じんに曝露するリスクが高く、中皮腫や肺がん等を発症した場合は「建設アスベスト給付金(最大1,300万円)」の支給対象となります。
【就労証明と弁護士無料相談】当時の会社が倒産・廃業していたり一人親方・下請け従事であったりしても、工事記録や確定申告書、同僚の証言等で受給資格を立証可能です。請求期限(診断や死亡から一定期間)があるため、早めにアスベスト専門弁護士へご相談ください。

平成期(平成16年以前)の公営住宅エレベーター設置工事におけるアスベストの実態

高度経済成長期に大量に建設された公営住宅(団地)では、高齢化やバリアフリー化の要請に伴い、後付けでのエレベーター設置工事が昭和の終わりから平成期にかけて本格化しました。外付け式のエレベーター塔を新設する工事や、既存の階段室型住宅の建物内部・共用部に昇降路を新設する工事が全国各地で行われました。

一見すると、平成期であればアスベストはすでに規制されていたのではないかと思われるかもしれません。しかし、建築物の構造躯体であるコンクリートやモルタル、各種耐火被覆材、断熱材、さらには外壁の仕上げ材などには、平成16年(2004年)10月以前までアスベストが含有または使用されている建材が広く流通し、実際の現場で使用され続けていました。

エレベーター設置工事では、既存のコンクリート壁を削る「ハツリ作業」や、鉄骨構造物の周囲に吹付けられた耐火被覆材の切断、開口部の穿孔など、粉じんを大量に発生させる作業が不可欠です。このとき、防塵マスクを十分に着用しないまま作業を行った作業員や、周囲の解体・改修工事現場にいた職人たちが、知らず知らずのうちに高濃度のアスベスト粉じんを吸い込んでしまうという深刻な労働環境が存在していました。

エレベーター増設・改修工事でアスベストに暴露する主な作業

公営住宅エレベーター設置・改修工事において、特にアスベストの飛散および吸入のリスクが高かった作業には、以下のようなものがあります。

  • 昇降路(シャフト)新設に伴うコンクリート・モルタルのハツリ工事:既存躯体に穴をあけたり削ったりする際、含有建材から粉じんが飛散しました。
  • 鉄骨造エレベーター塔の耐火被覆・断熱材の加工および除去:鉄骨の耐火性能を確保するために吹き付けられていたアスベストを含む被覆材を削る、あるいはドリル等で穴をあける作業です。
  • 外壁・床の開口部切断作業:カッター等を用いた切断時に微細な粉じんが発生しました。
  • 古い塗料やパテ材の剥離作業:下地調整材などに含まれていたアスベストが削り取られる際に飛散しました。

これらの作業は狭隘な空間や換気が十分に行えない共用部分で行われることが多く、作業員が飛散したアスベストを長期間、高濃度で吸い込む原因となりました。その結果、数十年という長い潜伏期間を経て、中皮腫や肺がんなどの深刻な健康被害を発症する事例が後を絶ちません。

国および元請企業等に対する法的な救済制度

平成期を含む過去の建築現場におけるアスベスト被害については、国がその責任を認め、被害者救済のための法律(建設アスベスト給付金制度)が施行されています。また、一定の要件を満たす場合には、元請企業等に対する損害賠償請求を行うことも可能です。

法律上の主な救済対象者は、以下の通りです。

  • 対象となる労働者(一人親方や中小事業主等を含む):昭和43年から平成16年10月までの間に、屋内などの特定アスベスト等ばく露作業に自ら従事していた方。
  • すでに亡くなられた方の遺族:ご家族が上記のような作業に従事し、中皮腫やアスベスト肺がんなどの指定疾病で亡くなられた場合。

公営住宅のエレベーター設置・改修工事は、地方自治体(都道府県や市区町村)が発注元となり、大手から中小の建設会社・設備会社が元請け・下請けとして施工に関わっていました。「自分が関わった工事が公営住宅のエレベーター工事だった」「どのような建材が使われていたか分からない」といった場合であっても、当時の作業記録やカルテ、源泉徴収票などの資料から立証できる可能性が十分にあります。

給付金および損害賠償請求を進めるための重要なポイント

アスベストによる健康被害に対する救済金を受け取るためには、いくつかの厳格な要件をクリアし、適切な証拠書類を揃えて国への請求手続き(または裁判上の和解手続き)を行う必要があります。

スムーズに進めるためのポイントを以下にまとめます。

  • 医療機関での正確な診断と診断書の取得:中皮腫、肺がん、良性石綿胸水、びまん性胸膜肥厚などの指定された疾病にり患していることが前提となります。
  • 就労履歴・ばく露状況の証明:平成期のエレベーター設置工事に従事していたことを示す雇用証明書、健康保険の記録、給与明細、作業日報、あるいは同僚の陳述書などが重要な証拠となります。
  • 除斥期間・時効への注意:損害賠償請求権には「損害および加害者を知ったときから3年」などの除斥期間や消滅時効が存在します。ご自身の権利を守るためには、少しでも体調に異変を感じた時点、あるいは病気と診断された時点で速やかに動くことが不可欠です。

特に、平成期に施工された比較的新しい現場の記憶であっても、法律上の要件を満たしていれば救済の対象となります。「もう何年も前のことだから証明できないのではないか」「自分の病気がアスベストによるものか確証がない」と諦めてしまう前に、専門的な知見を持つ弁護士にご相談ください。

当法律事務所では、公営団地やニュータウン等における建設アスベスト被害の調査・請求において豊富な実績を有しています。相談者様やご家族のご負担を最小限に抑えながら、適正な給付金および賠償金の獲得に向けて全力でサポートいたします。初回のご相談は無料ですので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

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