昭和期建設の団地内小・中学校校舎一斉建設における断熱施工

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、建設アスベスト給付金法、泉南アスベスト国賠訴訟判例、労災保険・石綿救済法および厚生労働省の最新認定基準に基づき、法律実務の視点からわかりやすく解説しています。

Q 昭和期に団地内の小中学校建設で大工・内装工として働きアスベストを吸い込んでしまいました。国からの給付金や賠償金を受け取るための条件と手続きはどうすればよいですか?
A 【給付金制度の要件と受給額】昭和期の団地開発に伴う小・中学校校舎の急ピッチな建設現場において、天井吸音板やけい酸カルシウム板の切断・張り付け作業などでアスベスト(石綿)を吸い込み、中皮腫や肺がんなどの指定疾病を発症された大工・内装工の方やそのご遺族は、国に対して最高1,300万円の建設アスベスト給付金を請求することができます。提訴の期限は原則として損害賠償請求権の除斥期間(提訴期限)内である必要があるため、早急な確認が不可欠です。
【証拠収集と弁護士無料診断への相談】作業歴を証明するためには、当時の就労を裏付ける源泉徴収票や雇用保険被保険者記録、また医療機関の診断書やカルテなどが重要となりますが、資料が手元になくても弁護士が調査をサポートすることが可能です。泣き寝入りせず、まずは専門の弁護士による無料診断を活用し、受給要件を満たしているか、どのような証拠が必要になるのかを速やかに相談することをおすすめします。

昭和期の団地開発と学校建築ラッシュの背景

高度経済成長期、日本各地で大規模な住宅団地やニュータウンの造成が相次ぎました。数万人規模のファミリー層が転入したことにより、深刻な社会問題となったのが児童・生徒数の急増です。これに対応するため、地方自治体や住宅公団は、団地内に新しい小学校や中学校を次々と建設しました。

工期が極めて短く制限される中、鉄筋コンクリート造や鉄骨造の校舎建築現場では、多くの大工、内装工、左官工、設備工などの職人たちが連日作業に追われていました。効率的かつ安価な不燃・断熱・吸音材料として、当時広く普及していたアスベスト(石綿)含有建材がふんだんに採用されたのです。

当時、現場で作業にあたっていた職人の方々は、防塵マスクを十分に着用しないまま、石綿を含む板材の切断や削り出し、天井への張り付け作業を日常的に行っていました。数十年を経た現在、その当時の粉塵吸い込みが原因となり、中皮腫や肺がんといった深刻な健康被害を発症するケースが後を絶ちません。

小・中学校校舎建設における石綿含有建材の使用実態

団地内の学校建築において、特に多くの石綿が使用されていたのが天井の吸音天井板けい酸カルシウム板(第1種・第2種)などの内装材です。

学校建築では、教室内の音の反響を防ぎ、授業に集中しやすい環境を作るために、多くの吸音材が天井や壁に施工されました。また、廊下や特別教室、給食室、体育館の周辺など、防火性能や断熱性能が求められる場所には、けいカル板や耐火被覆材が大量に運び込まれていました。

大工や内装仕上げ工は、これらのボード状の建材を現場で寸法通りに切断するため、電動丸ノコなどの工具を頻繁に使用していました。その際、周囲に舞い散る細かい白い粉塵が石綿を含んでいるとは知らず、そのまま吸い込んでしまっていたのです。

  • 天井吸音板の施工: 教室や職員室の天井にビス留めや貼り付けを行う際、のこぎりでの切断や穴あけ作業で粉塵が飛散しました。
  • けい酸カルシウム板の加工: 壁面や柱の耐火被覆、水回り周辺の下地材として使用され、現場での加工時に大量の石綿粉塵を発生させました。
  • 断熱材・保温材の取り付け: 配管やダクト周囲の断熱施工において、吹き付け石綿や成形保温板の調整作業が行われました。

建設作業従事者を対象とした国の給付金制度

昭和期の建築現場で石綿粉塵を吸い込み、健康被害を被った労働者やそのご遺族に対しては、国が責任を認めて建設アスベスト給付金を支給する制度が整えられています。

この給付金を受け取るためには、いくつかの厳格な要件を満たしている必要があります。主な要件は以下の通りです。

  1. 就労要件: 昭和40年(1965年)から平成12年(2000年)までの間に、日本国内の建設作業現場(団地内の学校校舎建設現場などを含む)で労働者などとして作業に従事していたこと。
  2. 疾患要件: 石綿への暴露が原因で、中皮腫、肺がん、著しい呼吸機能障害を伴う良性石綿胸水、びまん性胸膜肥厚、あるいは石綿肺を発症していること。
  3. 請求期限: 法律に定められた期限内(原則として提訴・請求の期限に注意が必要です)に手続きを行うこと。

個人事業主や一人親方として働いていた方であっても、労働者に準ずる者として保護の対象に含まれる場合があります。また、すでに亡くなられている場合でも、ご遺族からの請求が可能です。

損害賠償請求と専門弁護士への相談の重要性

国からの給付金支給に加え、当時の建材メーカーに対して損害賠償請求を行う道も開かれています。石綿含有建材の危険性を警告せずに出荷・販売し続けたメーカーの責任を追及することで、より十分な救済を受けることが可能です。

しかし、数十年も前の建設現場での作業実態を証明することは容易ではありません。 「どの団地の、どの学校の建設工事に、いつからいつまで従事していたか」 「どのような作業を担当し、どのメーカーの建材を扱っていたか」 これらを証明するためには、当時の雇用主からの証明書、確定申告書、給与明細、医療記録、さらには当時の同僚の証言など、多岐にわたる証拠を集める必要があります。

弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所では、アスベスト被害に関する豊富な受任実績と専門知識を有しており、昭和期の団地や学校建築における施工実態の調査から、必要書類の収集、国やメーカーとの交渉まで、一貫してサポートいたします。

「自分が作業していた現場も対象になるのだろうか」「どのような書類を集めればいいか分からない」といった疑問や不安をお持ちの方は、ぜひ一度、当事務所の無料法律相談をご利用ください。秘密厳守で丁寧にお話を伺い、最善の解決方法をご提案いたします。

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弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

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