【時効を防ぐ手続きと相談の重要性】時効の完成が迫っている場合、裁判上の請求や催告などの「時効の完成猶予・更新」手続きを早急に行う必要があります。国家に対する最大1,300万円の建設アスベスト給付金制度と併せて、元請け企業への賠償請求を検討される場合は、就歴やカルテ調査を含めてアスベスト問題に精通した弁護士へ早めに無料相談することをおすすめします。
建築現場などでアスベスト(石綿)に曝露し、中皮腫や肺がんなどの健康被害を被った場合、国家に対する給付金請求だけでなく、当時の元請け企業に対して損害賠償を請求できる可能性があります。
しかし、この損害賠償請求には「消滅時効」という法的な制限が存在します。時効が成立してしまうと、本来受け取れるはずの正当な賠償金が請求できなくなってしまいます。
この記事では、元請け企業に対する損害賠償請求権の時効(5年と20年)の仕組みや起算点、そして時効の進行を止めるための具体的な手続きについて詳しく解説します。
2つの消滅時効:5年と20年のルール
アスベスト被害に基づく元請け企業への損害賠償請求権(不法行為に基づく損害賠償請求権)は、民法によって2つの時効期間が定められています。どちらか一方の期間が経過すると、権利が消滅してしまいます。
- ① 損害及び加害者を知った時から5年(短期消滅時効)
- ② 不法行為の時から20年(除斥期間・長期消滅時効)
それぞれの起算点(いつからカウントが始まるか)と詳細について見ていきましょう。
① 損害及び加害者を知った時から5年(相対的時効)
一つ目の時効は、被害者本人が「アスベストによる健康被害(損害)を受けたこと」と、「その原因を作った元請け企業(加害者)を知った時」から進行する5年間の時効です。
実務上、この「知った時」とは、以下のようなタイミングを指すことが一般的です。
- 医師からアスベストが原因の疾病(中皮腫、肺がん、石綿肺など)であると診断された時
- 弁護士に相談し、過去の就労状況の調査を通じて、具体的な元請け企業を特定できた時
- 国に対する給付金訴訟の過程で、責任のある元請け企業が判明した時
「病気になった原因がアスベストにあること」や「どの元請けの現場で吸い込んでしまったのか」を明確に認識した日から5年が経過すると、この時効が完成してしまいます。
② 不法行為の時から20年(絶対的時効)
二つ目の時効は、被害者が損害や加害者を知っていたかどうかにかかわらず、「不法行為の時(アスベスト作業を伴う工事が行われていた時など)」から20年が経過すると権利が消滅するというものです。
法律上、この期間は「除斥期間(または長期の消滅時効)」と呼ばれます。
アスベストの最大の特徴は、曝露から発症までに数十年(通常30〜40年以上)の長い潜伏期間があるという点です。そのため、アスベストを吸い込んでから20年以上経過した後に発症するケースが極めて多く見られます。
「工事から20年以上経っているから無理ではないか」と諦めてしまう方もいらっしゃいますが、近年の裁判例や法改正の動向、あるいは被害の継続性(複合的な曝露など)を考慮し、専門的な法的アプローチによって請求が認められるケースもあります。ご自身だけで判断せず、必ず弁護士にご相談ください。
時効の完成を阻止する「時効の更新・完成猶予」手続き
「5年」あるいは「20年」の時効が迫っている場合、あるいは時効が心配な場合には、法律に定められた手続きを行うことで、時効の進行を一時的に止めたり(完成猶予)、時効のカウントをリセットしたり(更新)することができます。
主な手続きは以下の通りです。
- 催告(内容証明郵便の送付)
元請け企業に対して損害賠償を請求する旨を記載した内容証明郵便を送付することで、6ヶ月間だけ時効の完成を猶予させることができます。この猶予期間内に次の法的措置を取る必要があります。 - 裁判上の請求(訴訟提起)
裁判所に損害賠償請求訴訟を提起する方法です。訴えを提起している間は、時効の完成が猶予され、裁判が確定すれば時効はリセット(更新)されます。 - 支払督促や調停の申し立て
裁判所を利用した法的手続きを行うことでも、同様に時効の完成猶予や更新の効果が生じます。 - 承認
元請け企業側が、被害者からの請求に対して債務の存在を認める(一部を支払うなど)発言や対応をした場合、時効が更新されます。
これらの手続きは正確な法律的知識とスピードが求められるため、時効が不安な方は速やかに弁護士へ依頼することをおすすめします。
一人親方・中小事業主・倒産企業の場合の注意点
アスベスト被害に遭われた方の中には、ご自身が一人親方や中小企業の事業主であったというケースも少なくありません。また、当時工事を発注した元請け企業がすでに倒産・廃業している場合もあります。
元請け企業が倒産している場合であっても、以下のような方法で賠償や救済の道が残されている場合があります。
- 倒産した法人の後継企業や、責任を承継している法人の特定
- 清算結了していない法人や、責任保険(労働保険・賠償責任保険)の活用
- 国に対する建設アスベスト給付金の請求(国からの賠償金・給付金は、一定の要件を満たしていれば元請けの倒産に左右されずに受給可能です)
一人親方や中小事業主の方の労災保険の特別加入状況や、元請け企業との関係性は複雑であることが多いため、専門的な調査が必要となります。
時効を逃さないために、今すぐ弁護士にご相談ください
アスベストによる健康被害は、身体的な苦痛だけでなく、残されたご家族の生活基盤にも大きな影を落とします。元請け企業に対する損害賠償請求権には厳しい時効(5年・20年)があるため、「少しでも体調に不安がある」「時効が近づいているかもしれない」と感じた段階で、一刻も早く行動を起こすことが極めて重要です。
夕陽ヶ丘法律事務所では、アスベスト被害および建設アスベスト給付金・損害賠償請求に関するご相談を多数承っております。過去の就労記録やカルテの調査、元請け企業の特定、そして時効の完成を阻止するための迅速な法的サポートを行っております。
相談料は無料ですので、時効や賠償金請求について少しでも疑問や不安がある方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。
⚠️ 【新規ご相談受付一時停止のお知らせとお詫び】
現在、相談枠の上限に達しているため、当事務所におけるアスベスト(石綿)健康被害給付金・賠償金請求に関する新規個別相談の受付を一時停止しております。ご不便をおかけし誠に申し訳ございません。
- 独立行政法人 環境再生保全機構(石綿健康被害救済制度):
0120-389-931(平日 10:00〜17:00 / 通話料無料) - 厚生労働省 労災保険相談ダイヤル(建設アスベスト給付金等):
0570-006031(月〜金 8:30〜17:15 / ※申請はお近くの労働基準監督署へ) - 法テラス(日本司法支援センター): 0570-078374(平日 9:00〜21:00、土曜 9:00〜17:00)
- 全国の弁護士会 法律相談センター: 全国の弁護士会にて各種法律相談が開設されています。
