【弁護士による増額・費用負担交渉のメリット】相手が費用を渋る場合でも、支払いを怠った際の強制執行による法的リスクや財産差し押さえの可能性を弁護士が論理的に説明し説得することで、示談条件として加害者側の全額負担や合意の円滑な成立を引き出し、将来の未払いリスクを完全に防ぐことが可能です。
不倫・浮気の慰謝料トラブルにおいて、示談書を取り交わす際に「公正証書(こうせいしょうしょ)」にすべきか悩む方は非常に多くいらっしゃいます。 一般的な私文書の示談書ではなく、公証役場で作成する公正証書にしておくことで、万が一相手が慰謝料の支払いを滞らせた場合に、裁判を起こさなくても給与や財産の差し押さえ(強制執行)が可能になるという絶大なメリットがあります。
しかし、いざ公正証書を作成しようとすると、「公証人に支払う手数料(費用)をどちらが負担するのか」という問題で揉めるケースが後を絶ちません。 「自分は払いたくない」「折半にしたい」「相手が全額払えと言うから納得いかない」と不倫相手がごね始めたとき、被害者側としてはどのように対応すればよいのでしょうか。
法律事務所夕陽ヶ丘法律事務所の弁護士が、実務上の具体的な解決策と交渉のポイントを詳しく解説します。
公正証書の費用は法律でどちらが払うと決められているのか?
まず前提として、公正証書の作成手数料(公証人手数料)を法律の規定で「必ずどちらが負担しなければならない」という決まりはありません。
法律上は、当事者間の合意によって自由に決めることができます。そのため、以下のような取り決めがなされることが一般的です。
- 折半(50%ずつ負担する)
- 慰謝料を支払う側(加害者)が全額負担する
- 慰謝料を受け取る側(被害者)が全額、または一部を負担する
「不倫をしたのは相手なのだから、公正証書にする費用も当然相手が全額払うべきだ」と考えるのは非常に自然な感情です。しかし、法律的な強制力があるわけではないため、相手が「そこまで払う筋合いはない」と拒否した場合には、スムーズに話が進まなくなってしまうリスクがあります。
なぜ不倫相手は「公正証書費用」を払いたくないと言うのか?
不倫相手が公正証書の作成費用を出し惜しんだり、支払いを強烈に拒否したりする背景には、主に以下のような心理や理由があります。
- 経済的な負担を少しでも減らしたい:慰謝料の支払総額に加え、さらに数万円〜十数万円の手数料を払う余裕がない、または惜しいと感じている。
- 自分の不貞行為を公にしたくない:公証役場という公的な場所で手続きを行うこと自体に心理的な抵抗感や恐怖感がある。
- 将来の差し押さえ(強制執行)を警戒している:公正証書に「強制執行受諾文言」が入ることで、将来少しでも支払いが遅れたらすぐに財産を差し押さえられるというリスクを本能的に嫌がっている。
特に、相手が「分割払い」を希望している場合、公正証書にしておくことは被害者側にとって極めて重要ですが、加害者側からすると「毎月の支払いのプレッシャーが常につきまとう怖い書面」に映ります。そのため、何とかして公正証書化を避けようと抵抗するケースが多いのです。
相手が費用を払わないと言ったときの効果的な交渉術
では、不倫相手が「費用は払わない」「私文書の示談書で十分だ」と主張して譲らない場合、どのように交渉を進めればよいのでしょうか。実務で効果的なアプローチをご紹介します。
1. 「支払いの確実性を担保するための必要経費」として説得する
公正証書は、被害者側が一方的に得をするためのものではありません。加害者側にとってもメリットがあることを伝えます。
例えば、「公正証書にしておけば、毎月きちんと支払いを続ける限り、あなた(不倫相手)にとっても無用な裁判沙汰や追加の法的紛争を防ぐ確実な証拠になる」という点を論理的に説明します。
2. 慰謝料の総額と費用の負担を「パッケージ」で交渉する
交渉のテクニックとして、慰謝料の金額そのものと、公正証書の手数料負担をセットで提案する方法があります。
例えば、「慰謝料の総額を〇〇万円とする代わりに、公正証書作成費用はそちら(不倫相手)が全額負担すること」「もし相手が全額負担するなら、慰謝料の端数を少しだけ値引きする、あるいは分割払いの回数を柔軟にする」といった条件譲歩のカードを切ることで、結果的に相手に費用を納得してもらいやすくなります。
3. 公正証書にしないリスクを明確に伝える
「もし公正証書にせず、通常の示談書(私文書)のままで途中で支払いが滞った場合、直ちに給与や財産の差押えを行うことができません。その結果として裁判を起こすことになり、結果的に弁護士費用や遅延損害金などを含めて、あなた(不倫相手)の総負担額がさらに膨れ上がることになります」と警告します。
公正証書費用をケチることが、かえって相手自身の将来のリスクを高めることを理解させることが重要です。
どうしても相手が折れない場合の落としどころ
あらゆる説得を試みても、不倫相手が「どうしても公正証書の手数料は一円も払いたくない」と頑なな姿勢を崩さない場合、被害者側としてどのような判断を下すべきでしょうか。
実務の現場では、以下のような選択肢を検討することがあります。
- 一時的にこちら(被害者)が全額立て替えてでも、公正証書を作成する:将来の不払いリスクを防ぎ、確実な回収手段を確保するメリットの大きさを優先する方法です。
- 費用を折半(50%ずつ)で妥協する:全額負担は拒まれましたが、折半であれば相手が応じるケースでは、早期解決を優先してここで手を打つことも選択肢の一つです。
- 公正証書を諦め、他の確実な担保措置を講じる:(※非推奨ですが)どうしても費用や手間面で公正証書が難しい場合、第三者の保証人を立てさせる、あるいは実印を押印し印鑑登録証明書を添付した公正証書に準ずる書面を作成するなど、次善の策を検討します。
ただし、慰謝料の分割払いや長期にわたる支払いが予定されている案件において、公正証書をスキップすることは、将来的に「連絡が取れなくなった」「途中で払われなくなった」という最悪の結末を招く危険性が極めて高くなります。そのため、できる限り相手に費用を負担させるか、あるいは折半にしてでも公正証書化を強く推奨します。
まとめ:公正証書の費用負担は弁護士に代理交渉をご依頼ください
不倫相手との間で「示談書の公正証書化」や「その費用負担」を巡る話し合いは、感情的になりやすく、被害者ご本人だけで交渉を進めると相手に言いくるめられてしまうリスクがあります。
「相手が怖くて強く出られない」「費用のことで言い返されて困っている」「確実に法的効力のある書面でトラブルを終わらせたい」とお悩みの方は、ぜひ一度、法テラスや弁護士会等の公的相談窓口へご相談ください。
弁護士などの専門家が代理人として交渉の前面に立ち、慰謝料の回収はもちろん、公正証書の作成費用についても不倫相手側に適切に負担させるよう、厳格かつスムーズに手続きを進めさせていただきます。あなたのお悩みを一日でも早く解消するため、私たちが全力でサポートいたします。