【弁護士への相談と対処法】相手の感情的な圧力や「裁判にするぞ」という脅しに屈して安易に示談書にサインしてしまうと、不利な条件を飲まされるだけでなく、高額な違約金を請求されるリスクがあります。不当な要求を拒絶しつつ適正な慰謝料額への減額交渉を有利に進めるためには、署名・押印する前に不倫問題に強い弁護士へ早急に相談し、法的妥当性のない条項を削除した適法な示談書を作り直すことが最善の防御策となります。
不倫の示談で「退職や転居」を要求されるケースが急増中
パートナーの不倫が発覚した際、被害を受けた側(配偶者)やその代理人弁護士から、慰謝料の請求と同時に様々な条件を突きつけられることがあります。その中でも、「同じ職場にいるなら会社を辞めろ」「うちの近所から今すぐ引っ越せ」といった、退職や転居を迫る要求は決して珍しくありません。
精神的なショックや怒りから、一刻も早くトラブルを終わらせたいという心理につけ込み、到底呑めないような理不尽な条件が示談書に盛り込まれるケースが後を絶ちます。しかし、相手の感情に圧倒されて、その要求をすべて飲み込む必要はまったくありません。
本記事では、示談書に記載された退職要求や引っ越し要求に法的な強制力があるのかどうか、そして不当な要求に対してどのように対処すべきかを、弁護士の視点から詳しく解説します。
示談書にある「会社を退職しろ・引っ越せ」に従う義務はない
冒頭のQ&Aでもお伝えした通り、示談書や念書に「会社を辞めること」「今の家から引っ越すこと」と記載されていたとしても、それに従う法的な義務は原則として一切ありません。その理由は主に以下の通りです。
- 憲法で保障された基本的人権(職業選択の自由・居住移転の自由)の侵害にあたるため
- 不倫の慰謝料請求という民事上の金銭賠償の枠を超えた、過剰で不当な要求であるため
- 脅迫や心理的圧迫によって無理やり締結させられた合意は、公序良俗違反(民法90条)として無効になる可能性が高いため
日本国憲法第22条では「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」と定めています。どれほど不倫によって精神的苦痛を与えたとしても、被害者が加害者に対して「人生の進路や生活基盤を変更させる強制力」を持つことは認められていません。
もしサインしてしまったらどうなる?法的効力のリスク
「その場しのぎで早く終わらせたかったから、つい退職や引っ越しを誓約する示談書にサインしてしまった…」という相談も多く寄せられます。すでに署名・押印してしまった場合、法的リスクはどのようになるのでしょうか。
基本的には、公序良俗に反するような著しく人権を制限する合意内容や、脅されて無理やり書かされた示談書は、法的に無効と判断される可能性が高いといえます。しかし、相手が「契約違反だ」としてさらに高額な違約金を請求してきたり、会社に乗り込んできたりするトラブルに発展するリスクは十分にあります。
そのため、「一度サインしてしまったからもうダメだ」と諦めるのではなく、できるだけ早い段階で弁護士に相談し、合意の無効主張や示談内容の再交渉を行うことが極めて重要です。
示談書でよくある「その他の不当な要求」とは
退職や引っ越し以外にも、不倫の示談交渉の場では、相手側から法的根拠の薄い過剰な要求がなされることがよくあります。以下のような条項が含まれている場合は注意が必要です。
- 接触禁止条項の過度な範囲設定: 万が一偶然すれ違った場合や、業務上の連絡すら一切禁止し、違反するごとに数十万円の違約金を支払うという条項
- 過大なSNS・口外禁止条項: 本件について第三者に一切話すことを禁じ、少しでも漏らした場合は莫大なペナルティを課すという条項
- 不当に高額な慰謝料: 当事者の収入や婚姻期間、不倫の期間・程度に見合わない、明らかに相場を逸脱した慰謝料の請求
これらの要求は、相手の怒りや復讐心が前面に出ているケースが多く、冷静な話し合いによって適正な内容へと修正していく必要があります。
不当な示談書を突きつけられたときの正しい対処法
もし相手や相手の弁護士から、退職や引っ越しを強要するような不当な示談書を提示された場合は、以下のステップで冷静に対処してください。
- その場で即答を避ける: 「一度持ち帰って検討します」「弁護士に相談してから回答します」と伝え、その場での署名・押印は絶対に避けてください。
- 要求された証拠を保存する: 相手から送られてきた示談書、LINEのメッセージ、メールなどはすべて手元に残し、破棄しないようにしてください。
- 弁護士に示談書のチェックを依頼する: 不倫問題・慰謝料請求に強い弁護士に相談し、その要求が法的に妥当なものかどうかを診断してもらいましょう。
弁護士が代理人として交渉の場に立つことで、相手の感情的な勢いを抑え、法的な相場や常識に基づいた適切な示談内容へと着地させることができます。
まとめ:理不尽な要求は一人で悩まず弁護士にご相談を
不倫をしてしまった側であっても、基本的人権や生活を守る権利は当然にあります。「会社を辞めろ」「引っ越せ」といった理不尽な要求に怯える必要は一切ありません。
弁護士法人公的な相談窓口や弁護士会等では、不倫・浮気の慰謝料請求や、過剰な条件が盛り込まれた示談書の減額・防衛交渉に関して数多くの実績がございます。相手からの不当な要求にお悩みの方は、どうぞ公的な相談機関の初回無料相談をご利用ください。