【負担者と弁護士のサポート】この費用は当事者間で自由に決定でき、実務上は慰謝料を支払う側(加害者側)が全額負担する合意にすることが多いです。確実に不払いリスクを防ぐ「執行認諾文言付公正証書」の文案作成や相手方との費用交渉を円滑に進めるためにも、弁護士への相談・依頼が極めて有効です。
不倫や浮気のトラブルを解決する際、慰謝料の金額や支払い方法について口頭や通常の紙の示談書だけで済ませてしまうと、後になって「相手が約束通りに支払ってくれない」「連絡が取れなくなった」という深刻なトラブルに発展することが少なくありません。
こうしたリスクを防ぎ、確実にお金回収するために絶大な効力を発揮するのが「公正証書(執行認諾文言付公正証書)」です。
今回は、夕陽ヶ丘法律事務所の弁護士が、公正証書作成にかかる具体的な費用相場から、その驚くべき法的メリット、そして費用を相手に負担させるための実務的な交渉術まで詳しく解説します。
1. 公正証書の費用(手数料)はいくらかかる?
公証役場で作成する公正証書の手数料は、民間の契約とは異なり、法律(公証人手数料令)によって全国一律で厳格に定められています。
金銭の支払いを目的とする契約の場合、記載する金額(=慰謝料の総額)の大きさによって手数料が変動します。
- 慰謝料が100万円の場合:約7,000円
- 慰謝料が200万円の場合:約11,000円
- 慰謝料が300万円の場合:約23,000円
- 慰謝料が500万円の場合:約29,000円
一般的な不倫・浮気の慰謝料請求では、100万円から300万円程度の範囲で着地することが多いため、公証役場へ支払う基本手数料はおおむね1万〜3万円程度と考えておけば間違いありません。
その他の実費・必要経費
基本手数料のほかには、以下のような実費が数千円程度発生することがあります。
- 正本・謄本の交付手数料:紙の枚数に応じて1枚あたり250円程度
- 送達手数料や郵送料:必要な場合のみ数千円程度
- 弁護士に作成代理を依頼した場合の報酬:法律事務所ごとの弁護士費用
2. なぜ「公正証書」にする必要があるのか?(圧倒的なメリット)
「ただの示談書や念書でもサインをもらえば十分ではないか」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、法的な実務の現場では、通常の書面と公正証書の間には天と地ほどの差があります。
裁判を起こさずに「差し押さえ」ができる
通常の示談書で約束を破られた場合、慰謝料を回収するためには、まず裁判所に訴訟を提起し、勝訴判決を得る必要があります。これには半年から1年以上の時間と、さらなる精神的・金銭的負担が伴います。
一方、正しい形式で作成された公正証書(執行認諾文言が記載されたもの)があれば、裁判を起こすというステップをすべてスキップして、即座に相手の給与や預貯金、自家用車などの財産を差し押さえる強制執行(差押え)手続きに入ることができます。
この「裁判なしで差し押さえができる」というプレッシャーがあるため、公正証書を作成しておくことで、相手が途中で支払いを怠るリスクを劇的に減らす(抑止力になる)という大きなメリットが生まれます。
3. 公正証書の費用は「誰が」支払うべき?
公証役場の費用は、基本的には依頼した人が窓口でいったん支払いますが、最終的な負担者をどちらにするかは当事者間で自由に決めることができます。
不倫問題の示談交渉において、当事務所が代理人としてサポートする場合、原則として以下のような条件で合意書をまとめます。
- 原則:加害者側が全額負担する
不倫という違法行為によって被害を与えたのは相手方です。そのため、「公正証書の作成にかかる一切の費用(公証役場手数料を含む)は、被請求者(加害者)の負担とする」という条項を文面に必ず盛り込みます。 - 慰謝料とは別枠で支払わせる
例えば「慰謝料200万円を一括で支払う。それに伴う公正証書作成費用は、別途〇月〇日までに相手が指定口座へ振込送金する」とするか、あるいは「実費分を上乗せした金額を総額として支払わせる」形をとります。
相手に非がある事案であれば、費用負担についても強気に交渉して問題ありません。個人間で交渉すると「そんな費用まで払えない」と拒絶されるケースも多いですが、弁護士を代理人に立てることで、スムーズに相手負担の合意を取り付けることが可能です。
4. 分割払いにするときの注意点と費用への影響
一括で支払うだけの資力がない相手と「毎月5万円ずつ、計40回払いで支払う」という分割払いの合意を結ぶケースも非常に多いです。
このような長期の分割払いにする場合、公正証書手数料の計算方法に少し注意が必要です。
公証役場の手数料は、分割払いであっても原則として「慰謝料の総額(この場合は全期間の合計額)」を基準にして算出されます。そのため、数年間にわたる長期の分割合意であっても、極端に手数料が跳ね上がることはありません。
ただし、分割払いの公正証書を作成する際には、以下のリスク対策が絶対に必要です。
- 期限の利益喪失条項の設置
「分割金の支払いを1回でも(または2回連続して)怠ったときは、何らの催告を要せず、残金全額を一括して支払う」という条項を必ず入れます。これが抜けていると、たとえ相手が支払いを滞らせても、その月の分しか差し押さえができません。 - 遅延損害金の明記
万が一支払いが遅れた場合に備えて、年〇%の遅延損害金を請求できる旨を定めておきます。
5. 公正証書作成をスムーズに進めるための手順
実際に公証役場で公正証書を作成するまでの一般的な流れは以下の通りです。
- 慰謝料の金額や支払い方法の合意
まずは当事者間で、慰謝料の金額、支払い期限(または分割計画)、公正証書費用の負担、守秘義務、接触禁止条項などの条件を固めます。 - 公証役場へのドラフト(原案)提出と事前審査
作成する公証役場を選定し、合意内容をまとめた原案をFAXやメールで事前に送付します。公証人が内容に法的不備がないかチェックします。 - 当事者による署名・捺印の日時予約
公証人によるチェックが完了したら、実際に公証役場に出向く日時を予約します。 - 公証役場での本手続き
原則として当事者双方が公証役場に出向き、本人確認書類(実印と印鑑登録証明書、身分証明書など)を持参の上、作成された公正証書の内容を確認して署名・捺印を行います。
※仕事が忙しい、または相手と顔を合わせたくないといった理由がある場合は、弁護士に代理人としての出頭を依頼する(代理作成)ことで、ご自身が公証役場に行かずに手続きを完了させることが可能です。
不倫の慰謝料問題における「公正証書」は、将来の未払いリスクを防ぐための最強の盾となります。
公証役場の費用は、慰謝料の金額に応じて1万〜3万円程度と決して高額なものではなく、多くの場合で相手方に全額負担させることが可能です。しかし、文面の書き方ひとつで「強制執行ができない紙切れ」になってしまうリスクや、相手に言いくるめられて不利な条件でサインさせられてしまう危険性も潜んでいます。
公的な相談窓口や弁護士会等では、慰謝料の金額交渉から、法的に完璧な公正証書原案の作成、公証役場との折衝、さらには代理人としての出頭手続きまで、依頼者様の負担を最小限に抑えながら確実にお金が回収できるようトータルでサポートいたします。
「相手が分割払いに応じるか不安」「自分で公正証書の手続きをする時間がない」「適正な慰謝料額がいくらか分からない」などでお悩みの方は、ぜひ当事務所の初回無料相談をご利用ください。あなたの平穏な日常を取り戻すため、経験豊富な弁護士が親身に対応いたします。