一問一答・よくある質問Q&A

不倫相手の妻との不貞裁判で「和解(判決なし)」で終わる割合はどのくらい?

大阪弁護士会所属 弁護士 井上正人 監修

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 弁護士法人 夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、民法第709条(不法行為)、第719条(共同不法行為)、第770条(離婚原因)の規定および多数の不倫・浮気慰謝料請求・減額交渉の実務実績に基づきわかりやすく解説しています。

Q 不倫相手の妻から不貞裁判を起こされた場合、判決まで行かずに和解で終わる割合や減額・支払いゼロを目指すポイントは何ですか?
A 【和解の割合と理由】不貞慰謝料請求訴訟の約7割以上は、判決ではなく当事者間の合意による和解で終結します。裁判官からの和解勧告をきっかけに、お互いが早期解決や訴訟リスクの回避を目的として落とし所を探るためです。
【減額・解決のポイント】不貞慰謝料の相場は一般的に100万から300万円ですが、婚姻期間の短さや不倫期間の状況、既に支払われた慰謝料の有無などを主張することで減額や請求棄却を目指せます。個別の事情に応じた正確な法的防衛には弁護士への相談が不可欠です。

不倫相手の妻から突然、裁判所を通じて訴状が届いたとき、「この裁判はどのように終わるのだろうか」「最後まで争うとどうなるのだろうか」と大きな不安を抱える方は少なくありません。

裁判という言葉を聞くと、テレビドラマのように法廷で激しいやり取りが行われ、最後は裁判官が「原告の請求を棄却する」「被告は〇〇円を支払え」という判決を下すイメージが強いでしょう。しかし、実際の民事裁判、特に男女間の不貞トラブルにおいては、判決ではなく「和解」によって解決するケースが非常に多いのが実情です。

この記事では、不貞裁判における和解の割合や、なぜ和解が選ばれるのか、そして和解交渉を有利に進めて減額や支払いゼロ(請求棄却)を目指すためのポイントについて、夕陽ヶ丘法律事務所の弁護士が詳しく解説します。


1. 不貞裁判の約7割以上が「和解」で終わる理由

裁判を起こされた場合、すべての事件が判決まで進むわけではありません。法的な手続きが進む中で、原告(妻)と被告(あなた)双方が歩み寄り、裁判所の関与のもとで合意書を交わして終了する「訴訟上の和解」が選択されることが大半です。

司法統計や実際の家事・民事事件の実務においても、不貞慰謝料請求訴訟の7割から8割程度は和解で終結していると言われています。これには以下のような明確な理由があります。

  • 裁判官からの「和解勧告」がある: 審理が進むと、裁判官は双方の主張や証拠に出揃った段階で、「これまでの事情を考慮すると、このような金額と条件で和解してはどうか」という具体的な提案(和解勧告)を行うことがよくあります。
  • 判決のリスクをお互いに回避したい: 判決が出てしまうと、勝訴か敗訴かが白黒はっきりつきます。原告側にとっては「思ったより低い金額しか認められなかった」「証拠が足りず敗訴した」というリスクがあり、被告側にとっては「高額な慰謝料全額の支払いや、職場への発覚リスクなどがそのまま公文書(判決書)に残る」というリスクが生じます。
  • 柔軟な条件設定ができる: 判決では基本的に「金銭の支払い命令」しか下せませんが、和解であれば「分割払いに応じる」「口外禁止条項(守秘義務)を入れる」「これ以上の接触禁止を誓約する」など、当事者の希望に合わせた柔軟な解決条件を盛り込むことができます。

2. 裁判で「判決」まで進むケースとは?

圧倒的な割合で和解が多い一方で、どうしても和解に至らず、裁判官の「判決」言い渡しまで進んでしまうケースもあります。

以下のような状況では、当事者間の主張が真っ向から対立し、妥協点が見出せないため判決に至りがちです。

  • 不貞行為の事実そのものを完全に否認している場合: 「肉体関係は一切存在しない」「相手が勝手に言っているだけであり、不貞の証拠がない」と主張し、被告側が一切の責任を認めないケースです。
  • 金額の隔たりが大きすぎる場合: 原告側が300万円といった法外な高額請求を譲らず、被告側は「一切支払いたくない」または「せいぜい数十万円が妥当だ」と主張して、双方が一歩も引かない場合。
  • 感情的な対立が極めて激しい場合: 金銭的な問題よりも、「相手をどうしても許せないから裁判官の口から言い渡された判決文が欲しい」という原告側の強い感情がある場合。

もしあなたが「不貞の事実がそもそもない(無過失・証拠不十分)」と主張する場合は、中途半端に和解でお金を払うのではなく、あえて和解を拒否して裁判官に「請求棄却(支払い義務なし)」の判決を出してもらうための闘い方を選択することになります。


3. 和解を選ぶメリットとデメリット

不貞裁判で和解を選択することには、多くのメリットがありますが、同時に留意すべきデメリットも存在します。

和解の主なメリット

  • 解決までの期間を短縮できる: 判決まで進むと証人尋問や複雑な書面のやり取りで半年から1年以上かかることもありますが、和解であれば数ヶ月程度の早期解決が可能です。
  • プライバシーや精神的負担の軽減: 裁判が長引くほど、日常生活や仕事への悪影響、精神的ストレスが大きくなります。早期に幕引きを図ることで平穏な日常を取り戻せます。
  • 減額の余地が生まれやすい: 裁判官の心証(どちらが優勢か)を踏まえた上で提案されるため、最初に請求された金額から大幅に減額された和解金で決着することが多々あります。

和解の主なデメリット

  • 多少の金銭的負担が発生することがある: 完全な無実であっても、相手が一定の証拠を出している場合、裁判を長引かせるリスクを避けるために「解決金」という名目で少額の支払いに応じて和解する選択をとらざるを得ないケースがあります。
  • 相手の要求を一定程度呑む必要がある: 自分の希望通りの条件だけで終わるわけではなく、相手側との妥協点を探る必要があります。

4. 和解・裁判を有利に進めて「減額」や「支払いゼロ」を勝ち取るポイント

不倫相手の妻から裁判を起こされた場合、ただ受動的に裁判所の言いなりになっているだけでは、高額な慰謝料の支払いを命じられるか、不利な条件での和解を強いられてしまいます。

ご自身の正当な権利を守り、減額や支払いゼロ(請求棄却)を目指すためには、以下のポイントを意識することが極めて重要です。

① 相手の請求している証拠の法的有効性を精査する

原告側が提出してきた証拠(LINEのスクショ、写真、録音データなど)が、法的に不貞行為(肉体関係)を証明しうるものであるかを厳密にチェックします。決定的な証拠が欠けている場合、和解交渉において「こちらの責任は認められないため、解決金は支払えない、または大幅な減額しか応じられない」と強く主張する根拠になります。

② 減額事由(婚姻関係の破綻・婚姻期間の短さなど)を主張する

仮に不貞の事実があったとしても、慰謝料が減額される要素は数多く存在します。

  • 不倫が始まる以前から、夫婦の婚姻関係がすでに実質的に破綻していた
  • 夫婦の婚姻期間が非常に短い、あるいは別居期間が長い
  • 相手の配偶者(不倫相手の夫)からの暴力(DV)やモラハラがあった
  • すでに多額の求償権や離婚協議の状況に配慮すべき事情がある

これらの事情を法的な書面(答弁書や準備書面)で的確に主張・立証することで、裁判官の心証をこちら側に引き寄せ、和解金額を大幅に引き下げさせることが可能です。

③ プロの弁護士を代理人に立てる

裁判手続きは、専門的な法律知識や書式のルール、裁判官との交渉スキルが求められます。ご自身一人で対応しようとすると、相手の弁護士のペースに巻き込まれて不利な和解条項に署名させられてしまう危険性があります。

早い段階で不倫・浮気慰謝料問題に強い弁護士を代理人に立てることで、相手との直接の連絡を断ち切り、裁判官に対しても論理的かつ法的な反論を行うことができます。その結果として、裁判を起こされても和解によって高額な請求を回避し、最善の解決を導くことにつながるのです。


まとめ

不倫相手の妻との不貞裁判は、約7割以上が判決ではなく「和解」によって解決しています。和解は、裁判官の客観的なアドバイスのもとで早期かつ現実的な解決を図るための有効な手段です。

ただし、ご自身の主張をしっかりと行わなければ、相手の言い分が通った高額な和解金を受け入れることになってしまいます。「裁判を起こされてどうすればいいか分からない」「少しでも慰謝料を減額したい、あるいは支払いを拒否したい」とお悩みの方は、一人で抱え込まず、まずは夕陽ヶ丘法律事務所の弁護士による初回相談をご活用ください。あなたの味方となり、最適な解決方法をご提案いたします。

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弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、交通事故の賠償問題をはじめ、事業者様を狙う求人広告詐欺の被害救済やオフィス・テナント等の原状回復トラブルなど、不測の事態に直面した皆様の精神的・経済的なご負担を少しでも和らげ、正当な権利の実現と円満な解決へと導くためのサポートを徹底して行っています。

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