【確実に回収するための弁護士による担保確保】安全に慰謝料を回収するためには、売買契約への介入や、売却代金の受取口座を弁護士預かり口座(または指定口座)に直接指定させることが不可欠です。さらに、売却期限や支払方法を法的拘束力のある公正証書や合意書に明記し、不払い時の強制執行認諾文言を設定しておくことで、相手の逃れを防ぎ確実に債権を回収することができます。
不倫・浮気の慰謝料を請求された側(または請求する側)において、現金一括での支払いが困難なケースは少なくありません。その際、相手方から「自分が所有している自動車を売却して、その代金を慰謝料にあてる」という提案がなされることがあります。
一見すると誠実な解決策に思えるかもしれませんが、法律実務の現場では、この「車の売却代金による支払い」には非常に多くのリスクや落とし穴が潜んでいます。相手の言葉を鵜呑みにしてしまうと、車だけが手放されて売却代金が他の借金の返済や遊興費に消えてしまい、結果的に慰謝料が1円も支払われないという最悪の事態を招きかねません。
この記事では、不倫相手が「車を売却して慰謝料を作る」と主張した際に、確実に債権を回収し、トラブルを防ぐための具体的な担保確保の法律実務について、夕陽ヶ丘法律事務所の弁護士が詳しく解説します。
車売却による慰謝料支払いに潜む3つの大きなリスク
相手が「車を売る」と言ったとき、そのまま相手の自主的な行動に任せてしまうと、以下のようなリスクが発生します。
- リスク1:売却代金が別の用途に使い込まれる
車の売却によってまとまった現金が入ると、その場しのぎのパチンコや借金返済、生活費などに流用されてしまい、肝心の慰謝料に回されないケースが後を絶ちません。 - リスク2:売却手続きがずるずると引き延ばされる
「買い手が見つからない」「ディーラーとの交渉に時間がかいている」などと言い訳を重ねられ、実際には車を売る気がないまま時間稼ぎをされるおそれがあります。 - リスク3:車の名義やローン残高の問題で計画が頓挫する
車検証を確認したところ、実はローンが残っており、金融機関や信販会社の所有権がついていて勝手に売却できなかった、あるいは親族の名義だったというトラブルが多発します。
これらのリスクを未然に防ぎ、確実に約束を実行させるためには、法的効力を持った事前の「担保確保」が絶対に必要となります。
確実に売却代金を回収するための実務的対策
不倫相手に車を売却させてそこから慰謝料を回収する場合、弁護士は以下のような実務的なステップを踏んでスキームを構築します。
1. 車の権利関係と価値の事前確認(査定・ローン残高のチェック)
まず大前提として、その車に本当に出るだけの価値があるのかを確認しなければなりません。高級車であっても、ローン(自動車ローンやディーラーローン)が大量に残っている場合、売却しても手元にお金が残らない(むしろマイナスになる)可能性があります。
- 車検証を取り寄せ、所有者名義を確認する
- 自動車ローンの残債証明書を提示させる
- 中古車買取業者による査定額を書面で提出させる
ローンの残債が売却額を上回る(オーバーローン状態)場合は、車を売却しても慰謝料の足しにはならないため、別の支払い方法(分割払いや親族からの援助など)を検討する必要があります。
2. 売買代金の受取口座を「弁護士預かり口座」に指定する
ここが最も重要かつ実効性のある対策です。不倫相手に一度でも売却代金を現金や相手個人の口座に振り込ませてしまうと、その瞬間に資金隠しや使い込みのリスクが生じます。
そのため、自動車の売却手続きの段階から関与し、売却代金の振込先を当事務所(弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所)の預かり口座、または事前の合意に基づいた厳格な指定口座に直接振り込ませる契約を締結します。
これにより、相手が売却代金に手を触れる隙を完全に断ち、確実に慰謝料として受領することが可能になります。
3. 売却期限と不履行時のペナルティを合意書に明記する
口頭の約束では、相手がいつまで経っても車を売ろうとしない場合に法的な対抗措置が取りにくくなります。必ず以下の内容を盛り込んだ「示談書(公正証書)」を作成します。
- いつまでに(具体的な年月日)自動車を売却完了させるか
- どこの買取業者を通じて売却するか
- 売却代金の全額(または慰謝料相当額)をどの口座に振り込むか
- 万が一、期限内に売却・入金が行われなかった場合の違約金や、即時強制執行を認める条項
特に、公正証書(執行認諾文言付き公正証書)を作成しておけば、万が一相手が約束を破って代金を支払わなかった場合、裁判を起こすことなく相手の給与や預貯金に対して直ちに差し押さえ(強制執行)を行うことができます。
請求する側・される側、それぞれの立場における注意点
車売却をめぐる示談交渉では、請求する側と支払う側(減額・防衛を希望する側)の双方において、留意すべきポイントがあります。
被害者(請求する側)の視点
被害者側としては、相手の「車を売って払います」という言葉を信じすぎず、必ず書面と客観的な証拠(車検証、査定書)を揃えさせることが鉄則です。「いつまでにいくら払うか」を明確にし、少しでも不審な動きが見られた場合は、給与の差し押さえや裁判上の手続きへ移行できるよう準備しておきましょう。感情的になって相手の言うなりになるのではなく、冷徹に資金ルートを管理することが早期解決への近道です。
不倫相手(支払う側・減額防衛を希望する側)の視点
逆に、慰謝料を請求されていて「車を売って一括で支払いたい」と考えている側にとっても、誠意を示すための有効なアプローチとなります。ただし、勝手に車を処分してしまっては生活や通勤に支障が出る場合もあるため、事前に「車を売却して一括で清算する代わりに、これ以上の減額や分割の交渉に応じてもらう」といった条件面での合意を書面で交わしておくことが重要です。安易な口約束で車を手放し、後から追加で請求されるような事態を防ぐためにも、専門の弁護士を通じて正確な示談書を交わすことを強くお勧めします。
まとめ:車売却による慰謝料支払いは弁護士の介入で確実に
不倫相手が「自分の車を売却して慰謝料を作る」と申し出た場合、それは十分な解決資金を生み出すチャンスであると同時に、使い込みや時間稼ぎといったリスクと隣り合わせの状況でもあります。
確実に慰謝料を回収し、後々のトラブルを防ぐためには、以下の3点が不可欠です。
- ローンの有無や車両価値の厳密な事前査定
- 売却代金の受取口座を弁護士預かり口座等へ直接指定すること
- 売却期限や不履行時のペナルティを定めた公正証書・示談書の作成
公的な相談窓口や弁護士会等では、不倫・浮気慰謝料の請求から、こうした複雑な財産処分・担保設定に関する示談交渉まで、依頼者様の利益を守るために全面的にサポートいたします。「相手が車を売って払うと言っているがどう対応すべきか」「確実に支払わせるための書面を作りたい」といったお悩みをお持ちの方は、ぜひ当事務所の初回無料相談をご活用ください。