【弁護士への相談・財産調査のメリット】口頭の主張を鵜呑みにせず、財産開示手続や弁護士会照会を活用して相手の資産を正確に把握し、示談交渉から強制執行まで一貫して代理人に対応を依頼することで、支払いを逃れさせず確実に慰謝料を回収できます。
不倫や浮気の慰謝料を請求した際、相手が会社員ではなく「個人事業主」である場合、様々な理由をつけて支払いを逃れようとするケースが少なくありません。
「今月の売り上げが少ないから払えない」「事業用の資金繰りが厳しいので待ってほしい」などと言われ、支払いをずるずると引き延ばされてしまうと、請求する側としても精神的な負担が大きくなります。
しかし、相手が個人事業主であっても、正当な慰謝料請求権を持つあなたには、法に基づいた確実な回収手段が存在します。相手の言葉に惑わされず、どのようなアプローチを取るべきかを弁護士法人の視点から詳しく解説します。
個人事業主が慰謝料の支払いを渋る心理とよくある口実
個人事業主やフリーランスとして働く人は、会社の給与所得者のように「毎月決まった額の収入が保証されているわけではない」という立場にあります。そのため、慰謝料の請求を受けた際、以下のような口実を使って支払いを逃れようとすることが多く見られます。
- 「案件が途切れて今月の収入はゼロだ」と生活困窮をアピールする
- 「経費の支払いや仕入れで手元にお金がない」と資金繰りの悪化を主張する
- 「事業用の口座しかないので、そこから個人的な慰謝料を引き出せない」と言い訳をする
- 連絡の頻度が極端に減り、電話に出ない、メッセージを既読無視する
これらの主張は、本当に経済的に追い詰められている場合もあれば、単に慰謝料の支払いを先延ばしにしたい、あるいは減額させたいという心理から誇張されている場合も多々あります。相手の言葉をそのまま信じて「待つ」という選択をしてしまうと、時効が成立してしまったり、財産を隠されてしまったりするリスクが高まります。
相手の「支払い能力がない」という主張を崩すためのステップ
個人事業主からの慰謝料回収においては、相手の言い分に左右されないための客観的なアプローチが不可欠です。感情的な話し合いを続けるのではなく、以下のステップで冷静に対処を進めましょう。
1. 任意の交渉から書面による合意へ移行する
口頭での約束や、チャットツールでの曖昧なやり取りだけでは、「いつまでにいくら支払うのか」という法的な拘束力が弱くなります。相手が分割払いや支払いの猶予を求めてきた場合でも、必ず「合意書(示談書)」や「公正証書」といった書面を作成しなければなりません。
この書面には、支払期日や金額だけでなく、万が一支払いが遅れた場合のペナルティ(期限の利益喪失条項)や、強制執行を認諾する文言を盛り込むことが極めて重要です。
2. 財産開示手続や第三者からの情報取得手続を活用する
「本当にお金がないのか、それとも隠しているだけなのか」をはっきりさせるためには、法的な制度を利用するのが最も効果的です。
日本国内の法制度では、裁判所を通じて相手の財産情報を調査する仕組みが整っています。特に個人事業主の場合、どこにどのような資産があるかが分かりにくいケースがありますが、弁護士を代理人に立てることで、以下のような法的手続をスムーズに進めることが可能になります。
- 預貯金口座の特定: どこの金融機関に口座を持っているかを調べる手続き
- 売掛金の特定: 取引先企業から将来受け取る予定の報酬(売掛金)を特定する手続き
- 不動産やその他の財産の調査: 保有している資産を網羅的に確認する手段
売掛金や事業用口座の差押えによる確実な回収
個人事業主が相手の場合、会社員のように「勤務先の給与から毎月天引き(差押え)する」という方法が直接使えないと思われがちです。しかし、個人事業主には「取引先(クライアント)が存在する」という特徴があります。
ここにこそ、回収の最大の突破口があります。
売掛金債権の差押えとは
個人事業主は、仕事を発注してくれている企業や個人(クライアント)に対して、業務委託料や成果報酬といった「売掛金債権」を持っています。
裁判所を通じてこの売掛金債権を差し押さえると、相手(加害者)に支払われるはずだった報酬が、あなた(被害者)に直接支払われるようになります。取引先企業に対して裁判所からの差押命令が届くため、加害者が支払いを拒むことはできず、非常に高い実効性を発揮します。
事業用口座の差押え
また、相手が普段事業の決済に使っている銀行口座を特定できれば、その口座にある預貯金を強制的に差し押さえることも可能です。「売り上げが不安定」と口では言いつつも、口座内に一定の残高があれば、その時点ですべて回収できるケースもあります。
相手が任意で支払わない場合の法的措置の流れ
相手が誠実な対応をせず、支払いを渋り続けた場合、最終的には裁判上の手続きに移行することになります。
- 内容証明郵便の送付: 弁名や支払いの催告を正式に行い、法的措置に移行する旨を警告します。
- 慰謝料請求訴訟の提起: 交渉が決裂した場合、裁判所に訴えを起こし、不倫の事実と損害賠償の正当性を認めさせます。
- 債務名義の取得: 判決や和解調書など、強制執行を行うための「債務名義」を獲得します。
- 強制執行(差押え): 前述した売掛金や預貯金口座、その他の財産に対する差押えを実行し、強制的に回収を完了させます。
この一連の流れを個人で進めるのは、法的な知識や裁判所とのやり取り、相手の取引先の特定などにおいて、非常に大きな負担となります。
まとめ:個人事業主からの回収は弁護士にお任せください
「相手が個人事業主で収入が不安定だと言っている」「連絡がつきにくく、どうやって請求すればいいか分からない」とお悩みであれば、一人で抱え込まずに弁護士へご相談ください。
弁護士は、相手の実際の資産状況や取引実態を見極め、売掛金の差押えをはじめとする最適な法的手段を選択・実行することができます。相手の言い訳に屈することなく、正当な慰謝料を確実に受け取るために、ぜひ夕陽ヶ丘法律事務所の専門サポートをご活用ください。