【やむを得ず分割に応じる場合は、期限の利益喪失条項や強制執行を受諾する公正証書の作成が不可欠です。】弁護士に依頼して示談書を厳格に作成することで、1回の滞納でも残額を一括請求できる法的防衛策を講じ、確実な回収を実現できます。
不倫の慰謝料を請求された相手から、「一度には払えないので、分割払いにさせてほしい」と言われるケースは少なくありません。その際、「毎月の支払いは難しいから、半年に1回、ボーナス月にまとめて払う形にしてほしい」と提案されることがあります。
しかし、この「半年に1回の分割払い」という条件を安易に呑んでしまうと、後々大きなトラブルに発展したり、慰謝料を全額回収できなくなったりする危険性があります。
本記事では、夕陽ヶ丘法律事務所の弁護士が、不倫相手から「半年に1回の分割払い」を提案された際のリスクと、被害者側が取るべき正しい対処法について詳しく解説します。
なぜ「半年に1回の分割払い」は危険なのか
慰謝料の支払いを分割にすること自体は、相手に一括で支払うだけの資力がない場合、実務上よく行われる妥協策です。しかし、それが「半年に1回」という長期的なスパンになる場合、以下のような重大なリスクが生じます。
- 連絡が取れなくなるリスク(音信不通):期間が半年も空くと、その間に相手の転居、転職、連絡先変更などが起こりやすくなります。最悪の場合、次の支払期日が来た時にはすでに音信不通になっているという事態が起こり得ます。
- 心理的プレッシャーの低下:毎月支払う形であれば常に不倫の代償を意識させることができますが、半年ごとだと「次まで時間がある」と相手の心理的負担が軽くなり、支払いの意識が薄れてしまいます。
- 回収不能リスクの増大:期間が空く間に相手の生活状況が悪化したり、他の借金を抱えたりして、いざ支払期日になって「お金がない」と開き直られる確率が高まります。
被害者側が貫くべき基本原則
慰謝料を確実に回収するためには、以下の原則を念頭に置いて交渉に臨むことが重要です。
- 原則は「一括払い」:慰謝料は、本来であれば示談成立時に一括で支払われるべき性質のものです。まずは一括払いが可能かどうか、親族からの援助や借入も含めて検討するよう促します。
- 分割を認める場合の基本は「毎月定額」:どうしても一括が困難で分割に応じる場合でも、期間は原則として「最長でも1〜3年以内(全36回程度まで)」とし、毎月決まった期日に定額を指定口座へ振り込ませる形が鉄則です。
やむを得ず分割に応じる場合の必須対策
相手の経済状況等を考慮し、どうしても「半年ごとの分割」や長期の分割を認めざるを得ない場合でも、法的効力のある書面を交わすことでリスクを最小限に抑える必要があります。
1. 期限の利益喪失条項の必ずの設置
分割払いは、本来の期日よりも前に全額を請求されないという債務者の利益(期限の利益)を前提としています。したがって、合意書面(示談書・公正証書)には、必ず「分割金の支払いを1回でも怠ったときは、何らの催告を要せず、当然に全額を一括して支払う」という文言(期限の利益喪失条項)を盛り込まなければなりません。
この条項を入れておくことで、最初の半年分の支払いが遅れた時点で、残額の全額を一括請求する法的権利を即座に行うことができます。
2. 強制執行認諾文言付き公正証書の作成
口頭や一般的な私製の示談書だけで分割払いに応じるのは大変危険です。もし相手が途中で支払いを放棄した場合、裁判を起こして勝訴判決を得なければ強制執行(差押え)ができません。
そのため、公証役場で「強制執行認諾文言付き公正証書」を作成することを強くおすすめします。この公正証書を作成しておけば、万が一相手が支払いを滞納した際、裁判を経ることなく、給与や預貯金などの財産差押え手続き(強制執行)に直結させることができます。心理的なプレッシャーを与える意味でも非常に有効です。
弁護士に依頼するメリット
不倫の示談交渉において、相手の巧みな言い訳や「払えない」という主張に押し切られてしまう方は少なくありません。
公的な相談窓口や弁護士会等では、慰謝料請求の代理人として、相手の支払い能力の精査、無理のないかつ確実な分割回数の設定、そして将来の不払いリスクを完全に遮断するための強力な示談書・公正証書の作成までをトータルでサポートいたします。
「半年に1回にしてほしいと言われているがどう返答すべきか迷っている」「確実に慰謝料を回収したい」とお悩みの方は、ぜひ法テラスや弁護士会の無料法律相談窓口のご利用をご検討ください。あなたの権利と平穏な日常を取り戻すため、最適な法的解決策をご提案いたします。