【示談成立における実務上の重要な注意点】口頭の約束だけで支払いを待つことは避け、必ず弁護士名義の口座への着金を確実に行いましょう。また、お金が振り込まれたことを確認した上で、清算条項や求償権の範囲を明確に定めた完全和解の合意書を締結することが不可欠です。トラブルを防ぎ確実に慰謝料を回収するためにも、示談書作成や交渉は弁護士にご相談ください。
不倫・浮気の慰謝料を請求された側、あるいは請求する側において、相手方から「自分は公務員なので、職場の共済組合からお金を借りて一括で支払う」と提案されるケースがあります。
この提案を受けたとき、請求する側としては「本当にそのお金で支払ってもらえるのか」「何か法的な問題やリスクはないのか」と不安になるかもしれません。
今回は、相手が公務員の共済組合からの借入を理由に慰謝料を支払うと言ってきた場合の法的な位置づけや、実務上注意すべきポイントについて、夕陽ヶ丘法律事務所の弁護士が詳しく解説します。
公務員の「共済組合貸付」とはどのような仕組みか
国家公務員や地方公務員が加入する共済組合には、組合員向けの福利厚生として「貸付事業」が用意されています。これは銀行などの一般的な金融機関よりも比較的低い金利で、給与から天引きする形で返済を行える制度です。
慰謝料の支払いを求められた際、手元に十分な貯蓄がない公務員の加害者が、この共済組合の生活資金貸付や普通貸付などを利用して、一括で慰謝料を工面しようとすることは実務上珍しくありません。
資金源が共済組合であっても慰謝料として受領して問題ない
結論から申し上げますと、不倫相手がどのような手段で資金を調達しようとも、それが法令に違反しない正当な手段(借入金や親族からの援助など)である限り、被害者側がその受領を拒む法律上の理由は基本的にありません。
むしろ、分割払いにされると将来的な未払いのリスクが生じますが、共済組合からの借入によって一括弁済(一括払い)が実現するのであれば、回収の確実性は非常に高いといえます。
共済組合からの借入を提案されたときの注意点
相手が「共済組合から借りて払う」と誠実な態度を見せていたとしても、法的な手続きや証拠の残し方を誤ると、後々トラブルに発展するおそれがあります。以下のポイントを必ず押さえてお進めください。
- 口頭の約束だけに頼らず、必ず書面(示談書・合意書)で支払いの合意を残す
- 「共済の審査に通ったら払う」という曖昧な言葉だけで、長期間の猶予を与えない
- お金の出所を確認しつつ、確実にこちらの手元(指定口座)に全額が入金されるまで和解を完了させない
- 示談書には「清算条項」を盛り込み、後から追加の請求ができないようにする(あるいは逆に、求償権の処理について明確にしておく)
審査落ちのリスクに備える
共済組合からの借入は、誰でも無条件で希望通りの金額が借りられるわけではありません。既存の借入状況(カードローンやマイカーローンなど)によっては、共済組合の審査に落ちてしまう可能性もゼロではありません。
そのため、「共済から借りて払う」という相手の言葉を鵜呑みにして何週間も待たされた挙句、「やっぱり審査に通らなかったので払えません」と言い逃れをされるケースが想定されます。
このような事態を防ぐためにも、支払期限を厳格に定め、期限までに支払われない場合の違約金や、分割払いを認めない旨などをあらかじめ書面で合意しておくことが重要です。
安全に慰謝料を回収するための実務的なステップ
不倫トラブルにおいて、お金のやり取りと合意書の締結は慎重に行う必要があります。弁護士が介入する場合、以下のような手順で安全かつ確実な解決を図ります。
1. 示談交渉と合意書の作成
まずは、慰謝料の金額、支払い期日、支払い方法(今回は共済組合からの借入金による一括振込)を明確にした示談書(公正証書にするのが理想です)を作成します。この段階で、相手が本当に共済組合で手続きを進めている進捗状況を書面やメールなどで報告させるとより確実です。
2. 弁護士名義口座への着金確認
お金の受け渡しは、原則として弁護士の預かり口座(または依頼者様の指定口座)への振込を指定します。現金の手渡しは、後になって「支払った」「受け取っていない」という水掛け論のトラブルになりやすいため絶対に避けてください。
- 振込手数料の負担割合をあらかじめ合意書に明記しておく
- 着金が確認できたことを、銀行の入出金明細などで厳格にチェックする
3. 完全和解の成立
弁護士口座への着金が確認できたことをもって、示談が完全に成立したことになります。これにより、不倫・浮気に関する金銭的な問題はすべて解決(クリア)され、平和な日常を取り戻すための第一歩を踏み出すことができます。
まとめ:相手の資金調達方法に不安がある場合は弁護士にご相談を
不倫相手が「共済組合から借りて支払う」と言ってきた場合、それは一括払いで早期解決を図るための現実的な手段となり得ます。しかし、相手の言葉をそのまま信用して手続きを進めると、審査待ちの間に連絡が取れなくなったり、条件面で不利な合意をさせられたりするリスクも潜んでいます。
公的な相談窓口や弁護士会等では、慰謝料の金額交渉だけでなく、相手の支払い能力や資金調達方法に応じた最も確実な回収プランの策定をサポートしております。
「相手が本当に払えるのか信用できない」「共済組合からの借入を前提とした示談書の書き方が分からない」といったお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度、当事務所の初回無料相談をご利用ください。あなたの権利を守り、最も有利な形で解決へと導きます。